スウェーデン留学はおすすめ?
スウェーデンに来て、ちょうど10ヶ月くらいが経ったころの話。
季節もほとんど一回りして、さすがに慣れてきたかなぁという実感が生まれ始めていたかも。外国で暮らす最初の1年間は、はじめてのことばかり。そのせいか、この10カ月もすっごーく長く感じていました。1日1日がとっても長く感じる、時間の流れ方。まるで、子どものころみたいな。
そんな歪んだ時空の中にいるような感覚で、毎日わくわく暮らす留学生活の中で、特にスウェーデン人から1番よく聞かれていた質問があって。それが、「なんでスウェーデンにしたの?」というもの。
スウェーデン人たちが抱く疑問
私が在学していたウプサラ大学は、学生数が多く、学べる学科も多くて、スウェーデンで第四の都市を学生都市と呼ばせるほどのマンモス大学。
とはいえ、交換留学で半年〜1年間ほどの期間であれば学びにくる学生が多い一方で、2年間の修士課程のプログラムにくる留学生は、やはりいわゆる3rd world出身の、東南アジア系の子たちや、学費のかからないEU圏内出身の子たちばかり。そんな中で、なんで日本人の私がわざわざスウェーデンのウプサラ大学で修士、という決断にいたったのか。その理由が気になる人が多かったみたいです。
確かに、スウェーデン全土の人口は合計1000万人。これは、東京の人口より少ない。人の多さですべてが語れるわけではないけれど、街の大きさやあそびやすさなんかは、どうしても比例してくるもの。
スウェーデン人からすると、「あんなに経済も社会も発達してて便利そうで、寿司とかラーメンとか、美味しい食べ物もたくさんいっぱいあって。カラオケとか楽しい娯楽もたくさんありそうな国の出身なのに。なんでわざわざこんな田舎に…。なにしにきたの?」って純粋に疑問に思うみたいでした。
私がスウェーデンを留学先に選んだ理由としてよく上げるのは、その治安の良さ、人々の気性の穏やかさ、そして、街並みの可愛さ。
これらは、スウェーデンに留学に来る前に何度かスウェーデンを訪れたり、何人かスウェーデン人の友達も身近にいた中で作られたスウェーデン像でもあって。これらの留学前に抱いていた印象は、スウェーデンに来て暮らしてみている今、あらためて答え合わせをしてみると、意外と合っていたなぁと思う部分が多いです。
治安の良さ
その実、スウェーデンに来てからまだ1度も、なにかを盗まれたり身の危険を感じるような思いをしたことがありません。
もちろん最低限のことを気を付けることは大切。
例えば、貴重品は肌身離さず持ち歩く。飲食店でも、私物を席に置いたままトイレに行くために席を立ったりなんて絶対しない。もし友達と一緒にカフェにいるシーンだったら、「ちょっとカバンみててね」ってしっかりお願いするけど、スマホと財布は持っていく。
電車やバスといった公共交通機関では、カバンを抱える位置に注意する。
カバンの中で、財布などの貴重品を入れる場所に配慮する。ちょっと奥に入れる。
現金をなるべく持ち歩かない。そもそもキャッシュレス社会だからいらないけれど。
夜暗くなってから、人通りの少ない道や、ちょっと暗くて怪しそうな道を1人で歩くことは避ける。※真冬は外にぜんぜん人がいないのでまた別の話。笑
これだけきちんと気を付けていれば、特になにも心配ないと感じています。
街並みの可愛さ
日本人の感覚からすると、ヨーロッパに住む人たちってまるで美術館に住んでいるように見えません?え、さすがに大袈裟?笑
スウェーデンも、ストックホルムの旧市街、通称ガムラスタンの古い町並みを始め、私が住むウプサラの街並みなども、とても可愛いんです。イギリスの首都ロンドンとかはカッコいい建物も多いと思うんですが、スウェーデンの街は、いちいちカラフルで可愛い。
19世紀やそれ以前の古い建物があちこちに残っていて、街そのものがまるでパレット。アパートなどの建物の色合いも、日本ではなかなか見かけないものばかりで、ほれぼれしてしまいます。毎日が目の保養。
人々の穏やかさ
北欧の中でも無口で有名なのはフィンランド人と言われることが多いようですが、スウェーデン人も負けず劣らず静かです。ヨーロッパでは、とにかくシャイな人々と思われているそうな。
改めてスウェーデン人の友達のことを考えてみると、たとえば一緒にカフェでのんびりしていて、しばらく無言でいたとしても、何も不自然なことではありません。特にオープンカフェなどで日当たりの良い場所だったら、目を閉じて日光浴を楽しんでいることもある。そしてふと、目を開いて「そういえばさ、・・・」って話し始めたりする。
シャイとかどうとかいうよりも、自分が話したいことがあるときは話すし、特にそうでもないときには無理にしゃべったりしない、という感じです。ただただ自分のその時々の気持ちに素直な人たち、という印象。笑
そして、とてもフレンドリーで優しい人たちなので、こっちから勇気を出して話しかけてみると、とても朗らかに答えてくれることが多い。しかしアメリカ人やラテン系の人たちほど、向こうから笑顔でハッピーにグイグイ話しかけたりしてきてくれないですし、自分から地道に歩み寄ることが必要なのも確か。これがたぶんシャイっていう印象を与えている。
また、仲の良い友達になるまでの間は、会話でも当たり障りのない返答と、丁寧だけどいささかドライなふるまいに、まるで壁を作られているかのように感じてしまうこともあるかもしれません。※私はめっちゃそう感じた笑
スウェーデン人と仲の良い友達になるのには、とても時間がかかる。1年くらい、ゆるい知り合い程度の友達を続けて。その末に、やっと自宅に招かれたり、2人で出かけられるレベルになったりできたなぁと。※もちろん個人差あり
なので、裏を返せば、短期留学の場合はスウェーデンはあまりおすすめできないかなと思います。スウェーデン人の友達を半年間の留学でいっぱいつくる、みたいなことはとても難しい印象で、現地の友達なしには、異文化交流のシーンも減ってしまうのではないかと思うからです。異文化交流って、けっこう留学の醍醐味じゃないですか?その観点で言うと、スウェーデンはハードルが高い。
もちろん日本語を勉強している人や、日本文化にとても興味のある人であれば、お互いに興味があることが重なってくるので、短期間で友達にもなりやすいこともありますが。
また、例えばグループで食事などをする場面で、留学生など明らかにスウェーデン語を喋れない人がいても、会話がうっかりスウェーデン語で進んでしまうのもスウェーデン人らしさです。
これは悪気があってやっているわけではなく、リラックスしていたりお酒が入っていたりすると、うっかり英語で喋ることを忘れてしまうこともあるらしい。母国語のスウェーデン語とそんなに変わらないレベルで英語を話せる人も多いので、本人が、言語を切り替えてたことにすらあまり気がついていないこともあるんだとか。※頑張って英語を喋っている身からすると、理解し難い現象笑
それくらい、ちょっとマイペースな人たちなかんじ。
なので、言語を英語に戻してほしいときは、「英語でお願い!」とちょっと明るく言ってみましょう。ハブかれてるんじゃなかろうか…、とか考えてしまって辛くなる前に。彼らは大抵の場合そんなに深く考えていなくて、「うわあ、ごめん!もちろんだよ!」と謝って切り替えてくれることが多いです。
そんなこんなで、少し心の壁が高かったり、マイペースで掴みどころがなかったり、空気を読むより自分の気持ちを大切にするようなふるまいにびっくりさせられることもありますが、仲良くなってみるとまた違う扉が開きます。スウェーデン人と友達になりたかったら、自分から積極的に話しかけてみたりして、距離を少しずつ、少しずつ縮めていくのが大事なのかなぁと感じています。
少し仲良くなってきたら、フィーカに誘ったりしてみて。そうするうちにお家に招いてもらえたら、「やった、扉が開いた!」と心の中でガッツポーズするかんじです。笑
まとめ
スウェーデンを選んだ理由を3つあげましたが、実際のところ、人々の穏やかさが1番の理由だったかな、と思います。
個人的には、アメリカで半年間留学をしたときに、ハッピーで社交的なアメリカ人たちの社交性をありがたく思う反面、やたら馴れ馴れしい態度にちょっと疲れちゃったことも多かったんですよね…。
スウェーデン人の穏やかさ、お互いちょっとずつ距離を縮めていく人間関係の築き方が、私は心地いいです。無理のない、素直な人間付き合いを楽しめる国だと思います。
そんな感じが好きだなぁ、と思える方には、特に。スウェーデン留学、おすすめです!
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