小説・成熟までの呟き 36歳・1

題名:「36歳・1」
 2026年春に、美穂は36歳になった。この年、大きな出来事があった。結衣と2人で女子旅をすることになったのだ。美穂の家族と結衣の家族が、「普段頑張っているママに羽をのばしてほしい」という思いがあった。行き先はヨーロッパ・イギリスのロンドンで、理由は本場のガーデニングや紅茶を味わいたかったためである。中東を経由して、ロンドン・ヒースロー空港に到着した。空港は規模が大きくて、多くの便が発着する。まず向かった場所は、自然史博物館である。塔のような精巧な建物で、中には恐竜の骨格があって迫力を認識した。植物学でも動物学でも資料が豊富で、2人にとっては魅力的だった。百貨店では紅茶を手に入れた。夜には街のパブでフィッシュ&チップスとビールを味わった。翌日、ピカデリーサーカスという広場に行った。多くの人々がいて、「ここは文化の交流地点なのかな」と思った。その日の夜にはイングランド発祥のサッカーの試合を観戦した。最寄り駅には既に多くの人々がいて、試合でも得点が入ると多くの人々が興奮した。帰り道には騎馬がいた。翌日、2人はテムズ川沿いを歩いた。ロンドン橋・タワーブリッジ・ロンドン塔といった名所があったが、中でもビッグベンとウェストミンスター宮殿の存在感は大きかった。駅からは郊外に向かう列車に乗り、ハンプトン・コート宮殿の方へ向かった。現地には整った庭園があり、心は満たされていった。その後、ウィンブルドンにも行った。テニスの試合自体は観戦しなかったが、毎年のように開催される国際大会の会場の外観を見たときには喜び合った。その地域は、想像していた以上に静かだった。パディントン駅は昔から知っていて、その場にいると楽しくなった。ベイカー・ストリートはシャーロック・ホームズゆかりの地で、幼い頃から読書が好きだった結衣にとっては特に興奮する場所だった。最終日の朝にはハイド・パークに行った。中心部にあるのにもかかわらず、広くてゆったりとできる場所だった。移動は主に地下鉄を使った。首都圏の地下鉄に乗ったことがある2人だったが、ロンドンの地下鉄には歩んできた歴史の重みを感じた。最後の夜、2人は以下のような会話をした。「今回は、結衣と2人で弾けるような旅ができて嬉しかった!」「今は30代半ばだけどね。でも久しぶりに楽しい気持ちになったなあ。」「家族での日々の生活はかけがえのないものだけど、自由に動き回れることってなかなかないからね。」「美穂と2人で旅をしたのは今回は初めてだけど、互いに興味のあることをできて嬉しかった。ありがとう!」「私こそ、ありがとう!」長い髪の美穂に対して、短い髪の結衣となっていて、髪の長さが双方で対照的だった。でも、今回の旅では2人ともにスカートを穿いてリラックスした気持ちになった。ロンドンの夏は涼しくて、心地よかった。2人にとってはプラスとなった旅だったようである。

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