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プレゼントってお母ちゃんが置いてるんでしょ?

「プレゼントってお母ちゃんが置いてるんでしょ?」

脱衣所で歯磨きをしていた私に小2長男が小声で告げる、ドアはぴっちりと閉め、ややこわばった面持ちで。

また来たか、私は思った。
ハロウィンが終わり世間がクリスマスを知らせてくる頃から、長男は何度かこの疑問を私にぶつけてきた。以前「プレゼントはお母ちゃんが置いてると思うんだよね」という問いに「そう思うんだ~」と返したら「それは教えられない?」と返されかなり困惑した。

そして今回、以前とは違い長男は確信めいているようだった。
あぁ、もうサンタの存在を否定してしまうのか、まだ小2でしょ?私だって親に「どうせお母さんがプレゼント置いてるんでしょ?」と言ったのは小5くらだったような気がする。その時だって半信半疑で否定して欲しい気持ちもあったけど、あっさり認められた上に「来年からはサンタからのプレゼントは無しね」と言われショックだった。

私は渦巻く頭で「どうしてそう思ったの?」と問うたが、長男は「前から考えてた」「気になってる」「教えて欲しい」と言うばかりで、なぜ母=サンタだとばれたのかを教えてくれなかった。
それでも根気強く「お母さんが置いてるって思ったのはどうして?」と聞くと…

「サンタさんがお母さんにプレゼント渡してると思う」

…ッツ、セーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーフッツ

……危なかった、もう少しで自らネタバレする所だった、本当に危なかった、あきらめモードだった。
長男は「母=サンタでサンタはいない」と言っていた訳ではなく「サンタから受け取ったプレゼントを置いていたのが母」なのかを確認したかっただけなのだ。
それを理解した私は長男を膝にのせ、小声で「…よく気づいたね、次男には内緒だよ、まだサンタさんが置いてくれてるって思ってるからね」と言うと長男の顔がぱぁーっと満面の笑みになり、やっぱりね!と誇らしげな表情になり、うん秘密は守るよ!といった凛々しい顔にと変わっていった。

その後も「プレゼントはいつ持ってくるの?」「サンタさんが来たら起こして欲しい」「プレゼントってお金かかるの?」等質問攻めにあったがすべて「サンタさんから言っちゃダメって言われてるから」で乗り切った。
そして「(サンタのソリの)鈴の音とか聞こえないけどなぁ…寝てるからかなぁ…」とぶつぶつこぼしながら長男は脱衣所を後にした。

かと思えば再びドアが開き「大人になったら全部わかる?」との声、「うん、そうだね」と返す。
大人になったら全部わかるだろう。
はじめはもしかしたらサンタさんがいないと分かって悲しんだり、憤ったりするかもしれない。でも君が大人になって、もし子どもができて、プレゼントを準備する機会があれば、この私の気持ちも分かったりするのかな。

それはきっと、何にも代え難い素敵な気持ちだよ。

そんな事をしみじみ考えていたらリビングの方から長男が次男にドヤっている声がうっすら聞こえてきた。「…次男君も大きくなったらわかるからね…」等言っているようだ。
そのうちまた長男がやってきた、開いたままのドアから深刻そうな顔を出して。どうした、さっそくうっかりもろもろ喋ってしまったのか。

「…おかあちゃんどうしよう、次男くんに『サンタさんがいる』って教えちゃった…」
「…大丈夫だよ、次男くんもサンタさんがいる事は知ってるから」

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