人間らしく生きるとは

「人間らしく生きたいか」と問われれば、通常は「もちろん」と答えると思います。

では、人間らしく生きるとはどういう事でしょうか?逆に、人間らしくない生き方とはどういう状態でしょうか?

恐らく「家畜」や「奴隷」のような「飼いならされている」「自由がない」等の状態を「人間らしくない」と感じるのではないかと思います。

 

という事は、他人のアイデンティティを認め、尊重する。自分と違う考えを否定しないことと言い換えられると思います。

自分と違う考えを認めない。他人を頭から否定するのは「独裁政治」と同じですね。

現在の情報化社会では「ヒットラー、スターリン、チャウシェスク」など多くの独裁者の言動を簡単に知ることが出来ます。独裁者は「他人を疑い、信頼せず」このまま自由にさせたら自分に害を及ぼすかもしれないと、不安を抱えているのでしょう。

 

人間の脳は、自分の関心のある事に集中する能力を持っています。例えば、雑踏の中、他人が発している言葉を「雑音」として全く認識していない時でも、自分の名前が聞こえると一瞬で注目しますね。人間には関心が有る事に注目する能力が備わっているのです。

 

そのため、一度「疑いの目」で見始めると、無意識のうちに疑わしく見える行動ばかり注目するようになる。そして独裁者は、独裁を強める。すると更に孤独感が強まり、疑心暗鬼が強くなり、他人を疑いの目で見る。そして負の連鎖はやがて破局に至る。

 

「論語」の中に「己の欲(ほっ)せざる所は人に施(ほどこ)すこと勿(なか)れ」という言葉があります。意味は「自分が好まないことは、他人に対してもしてはならない」という事です。孔子(こうし)が弟子に「人として一生涯、貫き通すべき一語があれば教えて下さい」と聞かれて答えた言葉です。

 

「自分が好ましくないこと」それを現代風に、具体的に考えてみると

暴力をふるわれる ・無視される ・をつかれる ・気分で態度を変える ・高圧的な態度 ・悪口を言われる ・いじわるをされる ・人の欠点を言う ・納得できないことを強要される ・約束を破られる ・仕事をしない

など、人により多少の違いもあるかと思いますが、色々考えられます。

 

人間には「欲」が有ります。「欲」には食欲、性欲、自己顕示欲、睡眠欲など色々ありますが、欲は改善して成長しようというモチベーションの源泉です。しかし、この「欲」をむさぼり過ぎると、上記のような問題を引き起こしてしまうのだと思います。

 

「欲」は人間にとって薬にも毒にも武器にもなるものであり、そのコントロールは簡単ではありません。一生勉強しながら磨き続けていく必要があるのではないでしょうか。

 

その過程において「己の欲せざる所は人に施すこと勿れ」という言葉は念頭に置いておきたいと考えています。

以上

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