1ページの絵本(ハッサムの笛)
ハッサムの笛
今夜も10時きっかりに鳴りはじめる
低く切ない笛の音
リンバルの木で作ったその笛は
やさしくかすれた音を出す
ハッサムの家の前には
時折足を止める村人がいる
ドアの前にコインを置いていく人
ドアに背をあずけ夜通し聞いていく人
その笛を譲ってくれと言う人まで
村ではこの音色を知らない人はいない
コンコンコン
お客が来たようだ
ハッサムは笛を置き
ゆっくりと立ち上がりドアを開けた
やあリドル 元気だったかい?
リドルは森に住むきこり
とても背の低い小さな男
ここにリンバルの木を持ってきたのもリドルだった
リドルのために用意してある
とびきり小さなカップにお茶を入れ
椅子に4つもクッションを重ねて
リドルを抱きかかえ座らせた
さてどうだったんだい 森の様子は?
リドルがお茶を一口のむのを見はからってたずねた
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