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私の最初の職場。 ドミニカ共和国。

良い天気ですね。もう夏が近づいて来ています。

ほぼ隔離生活52日目を迎えました。今日は私が初めて正規雇用された球団ニューヨークメッツの野球アカデミーでの経験を通して感じたことを書き記していきます。

場所はドミニカ共和国。

年間平均気温が約27℃という常夏の島。そんな暑いドミニカではメジャーリーグで活躍することを夢見て、若い選手たちが毎日熱戦を繰り広げています。 私が以前働いていたドミニカのサマーリーグとMLB球団が所有しているドミニカのアカデミーについて紹介したいと思います。

まずはドミニカのサマーリーグについて簡単に説明したいと思います。1985年にリーグは誕生して年々規模は大きくなり、MLB球団は育成施設やスタッフにより資金投資をする傾向にあります。このリーグはマイナーリーグの一番下のルーキーリーグと呼ばれるカテゴリーに属しており、今年は40チーム以上が参加しています。各々のMLB球団によって方針があり、多くのカリブ諸国の選手を発掘、育成しようと考えている球団はこのリーグに2チーム編成で参加しています。全72試合、5月末から始まり8月中旬までリーグは続きます。ちなみにドミニカで行われるウィンターリーグとは全く別ものです。

今現在、すべてのMLB球団がこのドミニカに野球のアカデミー(寮)を所有しています。というのも現在メジャーリーグでプレーしている選手の約3割はラテン系の選手たちです。そんな才能豊かなカリブ諸国の選手たちを発掘、育成する場所を提供するために作られたのがこのアカデミーです。特にドミニカは第三回のWBCの優勝国であり、数々の名選手をMLBに輩出している野球大国です。アメリカ人を除いて、メジャーリーグでプレーしている選手たちを国別で比較してもドミニカ出身の選手が一番多いのです。そんなドミニカにアカデミーを作ったのは必然的な流れなのでしょう。10年前まではベネズエラにも複数のMLB球団がアカデミーを所有していましたが、治安の悪化や試合の効率を考えてドミニカ共和国に完全にシフトチェンジしました。

アカデミーにはドミニカ、ベネズエラ、メキシコ、プエルトリコ、パナマ、コロンビア、コスタリカ、ニカラグアなどのスペイン語を母国語として使うカリブ諸国の選手たちが集まり、生活しています。年齢は16歳から22歳までの若い選手が主です。これらの国々は貧富の差がとてもあり、まともに教育が受けれない選手、家庭環境に問題があり食事を取れない選手もいます。そういったダイヤの原石を球団スカウトが発掘し、しっかりした育成プログラムのもとで磨いていきます。ほとんどの選手は1~2年の間、ここでプレーしてアメリカにある上のカテゴリーに上がっていきます。監督、コーチが選手のレベルを見極め、その選手にあったレベルで競わせ、思う存分プレー出来るシステムがこのマイナーリーグにはあります。そこの一番下のカテゴリーがこのドミニカンサマーリーグです。サマーリーグ中は寮生活を通して、野球に集中出来る環境がアカデミーには整っています。野球以外の面では心理学や英語のクラスも必修で取ることが義務づけられており、アメリカで野球選手として成功するための教育プログラムも充実しています。ここの若い選手達はとにかくハングリーです。良く練習して、良く食べて、良く寝る生活を送っています。それもそのはず、メジャーリーグでプレー出来る選手はほんの一握りです。今、アカデミーに在籍しているほんの数パーセントだけがその頂点に到達することが出来ます。プロはシビアな世界です。3~5年の間に下のカテゴリーで結果が残せない場合は契約を切られてしまいます。まずはアメリカに渡ってプレーすることを最初の目標に、若い選手達はこのアカデミーで切磋琢磨し、しのぎを削っているのです。

そんな彼らの夢、目標のためにより良いものを提供していくのが、私の役割だと感じて働いていました。常に学ぶ姿勢を忘れず、それをアウトプットし、選手の将来を見据えての教育的指導がアスレティックトレーナーには求められます。そしてドミニカ共和国で働くために重要なことは"言語"と言いたいところですが、実は"彼らの個性、文化をリスペクトすること"だと思います。そして、その環境を全力で楽しむ。

食わず嫌いは良くないです。

とりあえず動いてみる。チャレンジしてみる。

最初は嫌いだった、ドミニカが今はすごく恋しいな。

では。

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