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映画 『土を喰らう十二ヵ月』あるがまま、執着しないカッコよさ

U-NEXTにて独占配信、
本編+限定 未公開映像特典付き(約31分)を初見。


【 ざっくりあらすじ 】

妻に先立たれた作家のツトム〈沢田研二〉は
さんしょ と名付けた愛犬と山暮らしをしている

春夏秋冬、畑で取れた季節の野菜で料理を作り
編集者で恋人の真知子〈松たか子〉が山を訪れれば迎い入れて共に過ごし、
物書きをする静かで穏やかな日々だったが___


この映画の存在を知ったのはYouTube、
フォローしている映画メディアで予告がアップされていて
沢田研二さん と 松たか子さん が年の差カップル…?!ということにまず惹かれた。
予告の雰囲気や料理監修を 土井善晴先生 がされていることも合わさり、観たい欲を掻き立てられた。


そうした経緯で本日 観終わった訳だけど、
とても好みな作風の映画だった。

ゆっくりと季節が移ろいゆく中で
季節のものを収穫、料理し、食べる喜び
好きな人と過ごす穏やかなひととき
それなりに煩わしそうな親戚との関係
生きること、死ぬこと…

様々な経験を経たであろう沢田さん演じるツトムのブレなさ、
起こることに対してあるがままに受け入れ
けして執着しない姿がジェントルマンで素敵だった。

松さん演じる真知子は、
監督の妄想から生まれたキャラクターだそう。
ツトムから出された食べ物をおいしそうにペロリと平らげ、
筆が進まなければ適度に鼓舞し
一緒におかってに立って料理したりと
さっぱりした性格の女性だった。
と、思ったらおそらく同時進行する したたかさというかそんな面も感じたり... 
そこが都合のいい妄想で終わらない女性像な気がした。

【 そうかな…? 】

特典の初日舞台挨拶で監督がツトムを身勝手と評していたけれど、
そうかな…?と個人的には思った。

まあ真知子からの電話に気づかなかったり、
一緒に住まないかと言っておいてやっぱり一人でいたいと言ったことに対してかなと思ったけれど、
それは老いて行く自分に年下の真知子を付き合せるのが悪いと思ったからかなと
私は大人の男性のやさしさを感じた。

もしあそこで、
「俺が死ぬまで一緒にいてほしい!行かないでくれ...」
と泣いてすがってきたら正直興ざめするもの。
まあそんな弱さがあったと仮定してそれも含めて愛していたなら、
振り回される覚悟で抱きしめてあげたいかも。


【 食欲掻き立てられる料理&食事シーン 】

季節のものを季節のうちに食べる、
これは食べることが大好きな家族がよく言っていて実際に食卓に並んでいたので、
劇中の料理シーンや食事風景に妙に親近感がわくものがあった。

派手さはないのに華やかで
見るからに栄養満点な素材のよさを引き出す和食がやっぱり素敵だなと、
慣れ親しんだその味や食感やダシの旨味が観ているだけで思い起こされるような感覚がして
食欲を掻き立てられた。

こんなこと言っておきながら
実はあまり食べることが好きじゃないけれど、
そんな人間でも惹かれるものがあった。

監修の土井先生、美味しそうに撮るカメラマンさんすごい。


【 その他の登場人物たち 】

沢田さん演じるツトムの亡くなった妻の、
兄弟の夫婦を 尾美としのりさん と 西田尚美さん が演じていたけれど、
夫は妻に完全に尻に敷かれていて
嫁は頑固で気難しい姑(奈良岡朋子)の死をぞんざいに扱う感が半端なかったな〜。

西田さんはなんとなく優しくてハツラツとした妻のイメージを持っていたので意外な役だったし、
尾美さんのおどおど感や田舎のおばちゃんたちに囲まれてグイグイバシバシ叩かれる姿が
あっ、本当にいそうとクスッときながら
もっと自信持って!ってなる役だった。

火野正平さん演じる大工さんの
あっ、本当にいそう(Part2)の
さりげない田舎のおっちゃん感も印象的だった。


なんだか日本人でよかったな、
定期的に観たいなと思える作品に出会えました。


【映画ノベライズ本】


【原作エッセイ】


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