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報われる方法を探した話

昨年末から年始にかけて私は鬱っていた。

「死にたい」が心の中を掠めまくり、でも友達には言えなかった。ようするに口に出す前に本気で進行していた。

私には小さい子供達がいる。とても可愛い。だけど「死にたい」と何回も願ったし妄想も幾度となくした。それはなぜか。


我が家は自営業夫と専業主婦の私、そして可愛い2人の子どもという4人家族。

自営業夫は飲んでなんぼ、大切な話は飲みながら、というバブルが残ったようなパワフルな職種で生きている。

周りの経営者達も「イケドン(死語)」な感じでパワハラやセクハラなんて言葉も知らないような、まあよく言えば昔気質の業種である。令和なのに昭和に近い。

我が夫も何かあればバリカンを持ち出すような「謝罪時には坊主で(自他ともに)」を地で行くような簡単に言うとヤバい男である。が、周りに比べたらマシというところが激ヤバである。

そんな職種なので1人目が生まれた時は「付き合いが減った、あいつはダメだ」なんて散々言われて週3の飲み会が復活した。私は我慢するが後の世代には絶対するなと言い聞かせている。


そんな夫が昨年半ば頃から猛烈に忙しくなった。

週3の飲み会が「ほぼいない」に変わるまでそう時間はかからなかった。宴会シーズンの話ではない、9月も10月もそんな感じなのだ。

飲み会自体はお付き合いする業者が増えたためなのでありがたいことだがハイペース過ぎた。我が家は零細企業なので元々のキャパがない。

例えば週4で月火木土に飲み会とすると、毎日2時間残業しながらやっていた事務仕事を水金日でしなければならない。そうなると水金に深夜まで残業でヒーヒー言いながらするか日曜を潰さなければいけない。

その場のノリで深酒することもあれば朝まで付き合うこともあった、そうなると翌日の仕事に思い切り影響が出た。影響分仕事が増える。

キャパオーバーした分はどうなるか。仕事の効率が落ちてまた仕事の量が増える、時間をかけなければならない。

やっと帰ってきたら家がぐちゃぐちゃ、「掃除しろよ」と怒ると嫁は不貞腐れてる。子どものこともちゃんと出来ていない。


その時の私はどうだったか。

月火木土はワンオペ育児、水金もワンオペ育児、日曜も仕事に行ってワンオペか疲れて夫は寝ていてやはりワンオペ。要するにずっとワンオペなのだ。

ワンオペというのがどんなもんかと言うと、朝起きてまた寝たいと泣く子を起こしご飯を食べさせ幼稚園の準備を手伝い送り出し、家事をこなしながらイヤイヤが始まった下の子に付き合い遊びあっという間に降園時間になったらパパがいいと無く子を宥めながら夕飯を作り遊びに付き合い慌ただしくお風呂に入れて着替えさせて寝ない子を頑張って寝かしつけて・・・と「誰か助けてくれ」「誰か手伝ってくれ」と心底思いながらどうにかこなすものなのだ。私の脳内には何度もドラえもんが登場した。来てくれ子育てロボット。

その上私は夫の事務作業の一部を手伝っていた。主に経理書類とメールやFAX連絡だ。もちろん無給、毎月生活費で決まっている金額を貰う感じ。

私は思う、「私が子どもを見ながらどうにかこうにか事務仕事してるのになんであなたは事務所で1人集中して作業ができるんだよ」と。

何度か口に出したが「見ながらなんて出来ない」「間違うと困る」と返された。いや、私も出来るからしてるんじゃないんですけど!!こうするしかないからしてるんですよ!!

子どもを見ながらの仕事というのはリモートワークで認知されたが、まぁぁぁぁぁぁ仕事が進まない!!!!!!!嘘だろと思うくらい進まない。多分1人きりで集中すれば30分もかからないことを「のどかわいた〜」だの「〇〇ちゃんがたたいた〜」だの喧嘩したり飲み物をこぼされたり物を壊したりで中断しまくり2時間近くかかる。嘘だと思うならうちの子を貸すのでやってみたらいい。

寝かしつけ後なら出来るんじゃ?と思われるかもしれないが、親がそんな思惑をしている時に限って寝ない。なんでバレてるのかはわからない。寝たからと思って作業したことも何度もあるけれど「ままがいない〜」と泣いて起きていた。そんなもんだ。

とまぁ私は「お前の仕事なのになんで私だけ育児と並行してしなきゃいけなんだ」と心の中ではとても思っていた。


そんな折、彼がキャパオーバーしていることに気づき「私が出来る仕事ならもう少し仕事を貰おうか?」と言った。絶対に言ってはいけなかった悪魔の言葉だ。これを読んだ人は絶対言わないで欲しい。

彼は「じゃあこれとこれをお願い」と言い、その後も役所関係だったり普段の仕事じゃない仕事を「これやっといて」とどんどん任せた。

私は家事育児に加え、好き勝手歩き回りギャンギャン泣く下の子を連れて役所を巡り資料を揃えいつもの仕事に加えて増えた仕事もし・・・としているうちにどんどん首が締まっていくような感覚になってきた。その頃体調も良く無くてしんどい中それをこなしていた。掃除もできなければ子どものこともきめ細かく出来ないどころか余裕がなくて怒ってばかり。何度も子どもと泣いた。前住んでいた高層マンションならこの時点で飛び降りてたか知れない。

そしてあるワンオペの夜、蕁麻疹が出た。

体の悲鳴に気づき、少し休んだ。でもまだ本当の不調に気付いてなかった。その頃から少しずつ「死にたい」が頭を掠めてた。


そのすぐ後、秋頃、夫は事務員さんを雇おうと思うと言い出した。

2人ともキャパオーバーで共倒れしそうだったので賛成したが、そこからが酷かった。

制服はミニスカにしよう、取引先ウケがいい若い美人がいい、時給は求人誌と相談したら〇〇円(結構高い)になった、面接でこんな人が来た、可愛かった、顔が微妙だった、などどんどんイライラしてきた。

私の心を一番抉ったのは取引先の方に言った「俺の仕事が溜まりすぎてもう回らないから」「俺の仕事のサポートがいるから」の言葉。

全部俺。私は仕事してないの?私が今何してるか分かってる?


辛すぎて言葉にならなかった。

取引先の方の前だけそう言って私の前では「嫁ちゃんの仕事も多いから」くらい言ってくれてたら違ったと思う。でも夫は俺俺俺だった。一回くらい言ってくれたかもしれないけれど言ってたとしたら多分一回だけだと思う。

その頃から「努力 報われる方法」「自営妻 辛い」「感謝される方法」なんかをググるようになった。


それと並行して私の誕生日は年末だった。

だから事あるごとに「じゃあお礼は誕生日プレゼントで」「誕プレには期待しとくわw」と言ってた。

年末の宴会ラッシュの合間の誕生日、色々あるので省略するがまぁぁぁぁぁぁ大切にされなかった。誕生日の前後もプレゼントの「プ」の字すら無かった。

自己肯定感がガクンと下がったのを実感して「自己肯定感 高め方」をググった。周りの人から大切にされないことがこんなに辛いのかと驚いた。


彼は周りの人から仕事を認められ業績も伸び、大変ながら充実している風だった。「夫くんは良くやってる」と言われることも多かったらしい。私は誰からも褒められない、夫にすら感謝を口に出してもらえない。

何度か夫に「感謝してくれてる?」と聞いてみたが「感謝はしてるよ、でも俺だって大変で〜」といかに大変か返ってくるのでやめた。

私はどれだけ頑張ってもお金にもならないし感謝されないし誰にも褒められない。この努力は無駄なの?


精神崩壊手前、夫にやっと伝えた。

「もう来年は夫くんの仕事の手伝いをしたくない、世界が狭くなってるから外で働きたい」

夫はいいよと言った。

「でも入社してすぐは出来ないだろうから1月だけは手伝って欲しいのと、〇〇と〇〇だけはやって欲しい。」



ある日、友達との飲み会から帰って即寝した夫のスマホが鳴った。

-----------------今2時だぞ?


普通に中を見た、キャバ嬢からのLINEだった。

浮気か浮気じゃないかで言えば浮気じゃないが、連絡先は交換しないと約束していた。これまでも何度も約束は破られれていたがもう無理だった。


私は荷造りをした。

1人で出て行きたい、でも彼に2人を置いていって大丈夫だろうか。じゃあ3人ならどこに行けるだろう。子どもを抱えてどこに行ける?実家に帰ったら置いてはくれるけれどきっと諌められるだろうな。友達の家もお邪魔になるから行けない。

色々考えて夫にLINEした。

「別れたい、もう限界、でも準備しないといけないからまだしばらく家に置いてください。」

起きてLINEを見た夫が謝罪してどうにかその場は収まったけれど燻り、もう自己肯定感も激低、精神崩壊で不安定MAX、歩く地雷のようだった。

どこに地雷源があるかわからないというより全部地雷だったと思う。ふとしたことで大爆発する。年始を過ぎても一切夫婦の会話は無かった。



そんな折、事務員さんが入社した。

私には無理ばかり言う夫が事務員さんのワガママとも思える理由で時期がずれ、勤務状況も希望を叶え、その分の仕事は私に回る。初めて雇う事務員さんへの対応がわからなかっただけではあったが嫁からすると超絶不愉快だった。

しかも入社してもずっと紹介すら無かった。

私がやっていた仕事の資料やノートだけ持っていった。この紹介されなかったことが一番心を抉った。

なぜかは今でもちゃんと説明できない。私が歯を食いしばってやっていた仕事も、そして私自身も、蔑ろにされたと感じた。

夫のためにと頑張ったけれど全然報われないどころか塩ぶっかけられてるじゃねえか。なんだよこのクソ展開、馬鹿か!!!



第三者が入ってくれて喧嘩を収めてくれたけれど、2人を抱えてワンオペをしているある日、もう忘れたが何かが原因で突然限界を迎えた。

事務所にいる夫のところにアポなしで向かうと事務員さんもいて初めて挨拶した。そのまま子ども2人を押し付けて死に場所を求めて車を走らせた。


少し停まっていると親友の声が聞きたくなってLINEしたらすぐに返事があって少し話した。

「死にたい」と言うと「そっか、辛かったね」と言ってくれた。

「今すぐじゃなくて良くない?夜ならゆっくり話せるから話そうよ」と今思うとカウンセラーのようなことを言ってくれて少し気持ちが落ち着いた。


その途中に夫から電話がかかってきた。

「もう無理、本当に死にたい。ずっと思ってた、死にたい。」

親友と話したおかげかやっと言葉に出来た。「え、いつ迎えに来んの?」くらいのイラッとした声にそう返された夫は、夫は本当に驚いていた。「限界」「もう無理」とはずっとずっと伝えていたが夫は嫁の精神がここまで来ているとは全く思っていなかった。

何を話したか覚えてないけれど、何度目かの電話の時に子どもが「おむかえきてー」と言っていて正気に戻った。フラフラとお花屋さんに言って元気な枝物を買って迎えに行って死なずに済んだ。




その後幾度となくメンタルが弱って地雷になることもあったしメイクしながら泣くこともあった、GWには積もり積もって数時間家出したし。

メンタルが安定するまで半年以上かかった。

本当に本当にメンタルだけは壊してはいけない。めっちゃ長引く。

どうすれば報われたのか、多分どうやっても報われなかったと今では思う。


どうすれば精神崩壊しなかったかを考えてみると

・早く大袈裟な言葉で助けを求めるべきだった(「死にたい」くらい言わないと伝わらない)

・早く親友と話すべきだった

・キャパオーバーするほど仕事を引き受けるべきでは無かった

・「誰かのために」が過ぎていた

・逃げたい時は逃げるのが一番

こんなことが思い浮かぶ。

今思い返すと思いっきり体調に出てた、原因不明の咳が長引いてたし胃腸痛もしたし蕁麻疹も出たし。でも頑張っちゃってたんだよね、ママだから嫁だからって。あれはメンタル所以だから頑張るべきじゃ無かった。体が悲鳴上げてる時は無理しちゃダメだ。


私から見たらこの通りだけど、じゃあ彼は何が悪かったかと言うとそこまでないと思うんだ。

「思いやり」と「想像力」が足りて無かったくらいで。

でもここまで嫁の精神が悪化した。これって自営だけじゃなく会社員の方もそうだと思う。

子どもを産んで母親になって多少強くはなるけれどそこまで強くないってことをどうか知って欲しい。ましてやあなたの母親にはなってない。



そして今同じようなことが原因で辛いと思っている方へ。

報われる方法なんてないし、感謝される方法をググったって望む回答は得られない。元に私がググった時「全部やめてみろ」って書いてあったからね、これは本当に当たってる。頑張ってたこと全部やめてみた方がいいよ。

Twitterで「女が我慢した分だけ男は調子に乗る」と言う格言を見たけど、うちは多分まんまそれだったと思う。我慢って見えないのよ、残念だけど。食費1万円で生活できてたらこれでいいんだなって思ってしまうのと一緒。食費1万円なんてめっちゃくちゃ頑張ってどうにかできるレベルだぞ、このヤロー。



以上、乱筆になりましたが報われる方法を探しながら精神崩壊した私の記録でした。

みんなも頑張り過ぎないでね。