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小説【有明の月】連載開始記念!世界観初公開!!

新年、明けましておめでとうございます。スタジオ有明の月(旧橋本家住宅)の朝倉香絵(あさくらかえ)です。旧年中はたいへんお世話になりました。本年も脚本家・岩清水緑風(いわしみず りょくふう)先生ともどもどうぞよろしくお願い申しあげます。

佐賀県鹿島市浜町の庄金地区を舞台とした小説【有明の月】は、私たちが鹿島に到着した2022年3月に岩清水先生が構想を思いつかれた物語です。以来、浜町の方々を中心に鹿島の歴史や現状をお聞きしたり、佐賀県各地を視察してきました。市の図書館や地域の方々からお借りした多くの文献を参考にしながら実話をもとに創作しました。
前作の【戸隠古道九頭龍伝】が取材と構想に1日、執筆から20日ほどで書き上げたのとは対照的に、【有明の月】は細部にわたって入念な取材を重ねてきた作品です。いよいよこの有明の月新聞紙面にて全50回の連載を開始いたします。

小説【有明の月】の舞台


小説【有明の月】には私たちが創作活動をしている旧橋本家住宅と、隣にある鹿島市移住体験施設・旧筒井家住宅が登場します。両住宅は平成18年に国の重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に選定された浜庄津町・浜金屋町にある茅葺き屋根の日本建築です。橋本家は築136年。もともとはお菓子屋さんだったそうですが、小説では庄金にあった酒蔵という設定になっています。


茅葺き屋根の補修工事前の旧橋本家住宅(右)と旧筒井家住宅(左)

そんな橋本家と筒井家の茅葺き屋根の補修工事が、はからずも小説の連載開始に合わせて今月から約1ヶ月間の予定で行われることとなりました。先日、橋本家を設計された方と補修工事で棟梁を務められる茅葺き職人の方が工事の説明にいらした際、茅葺き屋根について様々なお話をお聞きしました。

【特別対談】    
スタジオ有明の月❌佐賀県最大の茅葺職人集団の棟梁


(棟梁)「橋本家と筒井家はカヤではなくヨシ葺きなんです。ヨシは風に強く硬いので圧倒的な耐久性があります。ただし湿気には弱いです。一方、カヤは柔らかくて風には弱いけれど湿気に強く腐りにくいんです。それぞれに向き不向きがあります。山沿いですぐにコケが生えるような場所にはカヤが向いています。平坦部の風が強い所では葺き方も変わってきますし材料はヨシが多いですね。」

(朝倉)「小説には茅葺き屋根と書きましたが、正確にはヨシ葺きなのですね。」

(棟梁)「総称なので間違いじゃないんですよね。ヨシだろうが、カヤだろうが、麦だろうがやろうと思えばどんな材料でもできるんです。海の近くでヨシが取れる所ではヨシを使っていたし、山の近くでカヤが取れる所だったらカヤを使っていたんです。屋根の上で葺いてしまえば茅葺きと呼んでいたんです。」

(朝倉)「私たちは全国を旅してきまして、福島の大内宿や岐阜の白川郷の合掌造りも見てきました。茅葺き屋根の集落はいくつかありますが、どこも観光地で住める所はありませんでした。町屋の茅葺き屋根というのは全国でもここだけですね。」

(棟梁)「観光目的や文化財として残っている所は全国でもたくさんあるんですが、茅葺きの民家が1番残っているのは佐賀県なんです。10年前の調査で320〜330軒ありましたし、今でも200軒近く残っています。全国でも300件を越すなんて佐賀だけなんですよね。というのはそれだけ職人が残っていたということですね。」

公共工事の素晴らしい実績もお聞きしました。先代の棟梁が現役だった頃、吉野ヶ里遺跡の1番大きな神殿をどの業者に依頼するかという話があり県内外から15チームが申し込んだそうです。最初は全チームに小さな住居が割り当てられ、時間、仕事の美しさ、規格通りにできているかなどの仕事ぶりを見られ、全ての面で評価されて大神殿の工事を任されたそうです。

弘法大師空海が伝えたと言われる茅葺きの文化。ヨーロッパでは著名な作曲家や芸術家の茅葺き屋根の生家が文化財として数多く残されていること。日本でも茅葺き屋根の家を持ちたい方が増え、その価値が見直されていることもお聞きしました。

昔この浜町は能古見葺きという伝統的な葺きの技術が伝承されていた地域で、30年近く前までは伝承者である当時の棟梁が浜町のほとんどの家を手掛けていらしたそうです。能古見葺きは、瓦が吹き飛ぶほどの台風でも飛ばないくらい風に対する圧倒的な強さがあり、見た目の迫力も素晴らしいそうです。
ところが残念ながら徐々にその数は減り、現在の浜町で能古見葺きが残っているのはわずか数軒となってしまったそうです。今回の筒井家・橋本家の補修工事は、10年前に施工した業者の技術で屋根の傷みが早かったことから、やはり能古見葺きにしたいという設計士さんたちの要望を受けて引き受けられたとのこと。完成すると屋根が35cmも高くなりフォルムも変わるとお聞きしました。新しく生まれ変わる橋本家住宅が今から楽しみです。


2023年2月15日に見事竣工した茅葺き屋根の旧橋本家住宅(右)と旧筒井家住宅(左)

回覧専用パーソナルメディア
有明の月新聞 2023年1月4日   新春特別号


小説【有明の月】予告編


ところで、いよいよ連載スタートする小説【有明の月】とは、どんな物語なんでしょう。2022年3月に岩清水先生がつくられた予告編をご覧いただきましょう。



佐賀県鹿島市肥前浜。庄金の酒蔵の娘 東山鈴花は高1の春休みに衝撃的な出会いをする。父が連れてきたいかにも都会風ないでたちの男が酒蔵の一部を改装して小説塾を開くというのだ。本屋が一軒もないこの町に小説塾なんて。いくらなんでもそんな町に文学的教養なんて備わるわけがない。なんて無謀なことを。そう思いつつもどんどんこの男に心惹かれる自分に気づく鈴花。そんな折、又七酒造のヒット商品、銘酒降魔の売り上げにかげりが見えはじめ…。

構想/岩清水 緑風 
共同脚本/岩清水 緑風・朝倉香絵 
執筆/朝倉香絵

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有明の月新聞にて好評連載中!

どんな物語になるのか今から本当に楽しみですね。


小説【有明の月】誕生秘話


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