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掛け算作用素のスペクトラム

掛け算作用素のスペクトラム   実数直線のある区間$${\left[ a,b \right]}$$ で定義されたルベッグの意味で2乗可積分な関数の空間を$${{{L}^{2}}\left[ a,b \right]}$$とおく。すなわち、$${f\in {{L}^{2}}\left[ a,b \right]}$$は$${{{\int_{a}^{b}{\left| f\left( x \right) \right|}}^{2}}dx<+\infty }$$ を意味する。これは暗黙

    • シフトのスペクトラム

      シフトのスペクトラム $${n\times n}$$行列$${A}$$ と$${n}$$次ベクトル$${v\ne 0}$$ が存在し、$${Av=\lambda v}$$を満たす複素数$${\lambda }$$があれば、この $${\lambda }$$は固有値、$${v}$$ は固有ベクトルと呼ばれる。これを式 $${\left( A-\lambda I \right)v=0}$$と書き直すと、この関係は $${A-\lambda I}$$には逆が存在しないことを示してい

      • 局所コンパクト空間locally compact spaces

        局所コンパクト空間locally compact spaces   $${X}$$ を集合として、$${X}$$の部分集合からなる族$${\mathcal{S}}$$ の要素がつぎの3条件を満たしているとする。 (1)$${\phi ,X\in \mathcal{S}}$$ (2)$${\mathcal{S}}$$の任意個の要素の和はまた$${\mathcal{S}}$$に属する (3)$${\mathcal{S}}$$の有限個の要素の積はまた$${\mathcal{S}}$

        • HahnーBanach拡張の一意性の条件 strictly convex

          HahnーBanach拡張の一意性    定理:(Hahn-Banachの拡張定理) $${X}$$を線形ノルム空間とする。$${Y}$$ を$${X}$$ の部分空間とする。このとき、$${g\in Y'}$$に対して、$${f\in X'}$$ が存在して、$${f\left| Y \right.=g}$$ かつ$${\left\| f \right\|=\left\| g \right\|}$$となる。 $${f\left| Y \right.=g}$$という記号は、

        掛け算作用素のスペクトラム

          球面の弱位相による閉包は球そのものになる。

          球面の弱位相による閉包は球そのものになる。     $${X}$$ をノルム空間とする。球面$${S=\left\{ x\in X:\left\| x \right\|=1 \right\}}$$に属する点列$${{{x}_{1}},{{x}_{2}},\cdots }$$ が$${y}$$ にノルムの意味で収束したとする。すなわち、$${\left\| {{x}_{n}}-y \right\|\to 0}$$とする。このとき$${\left| \left\| {{x}_{n

          球面の弱位相による閉包は球そのものになる。

          Korovkinの近似定理

              Korovkin の近似定理 K.Weierstrass1885は熱伝導方程式の解を考察中に有名な多項式近似定理を発見した。また、S.N.Bernsteinは確率論の手法を用いて、Weierstarassの多項式近似定理の直接証明を与えている。これらの結果は作用素論の立場から統一的に述べることができる。 定理1 Korovkin 1953 区間$${\left[ a,b \right]}$$で定義された 連続関数の全体$${C\left[ a,b \right]}$$

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          位相空間を用いた素数無限個の証明

                集合$${X}$$ に次の条件 (i),(ii),(iii)を満足する$${X}$$ の部分集合の族$${\mathcal{O}}$$が指定されているとき、$${X}$$に位相が定義されたという。 (i)空集合$${\phi }$$ および$${X}$$自身は$${\mathcal{O}}$$に属する。 (ii) $${\mathcal{O}}$$の任意個の集合の合併(和集合)は$${\mathcal{O}}$$に属する。 (iii)$${\mathcal{O}}

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          Stein の補題(正規分布の特徴づけ)

          Stein の補題(正規分布の特徴づけ)   部分積分をおこなうと $${\int\limits_{-\infty }^{\infty }{f'\left( x \right){{e}^{-\frac{{{x}^{2}}}{2}}}}dx=\left. f\left( x \right){{e}^{-\frac{{{x}^{2}}}{2}}} \right|_{-\infty }^{\infty }+\int\limits_{-\infty }^{\infty }{xf\le

          Stein の補題(正規分布の特徴づけ)

          関数解析学への道程-----

          関数解析学への道程----- 1.線形位相空間$${X}$$ においてその位相が$${\rho \left( x,y \right)=\rho \left( x-y,0 \right)}$$をみたす距離$${\rho }$$ により定められており、その距離に関して完備である場合$${X}$$ は$${F}$$ 空間(フレシェ空間)と呼ばれる。 線形位相空間$${X}$$ 上の擬ノルムquasi-normとは、非負実数関数$${q}$$ でつぎを満たすものである。 (a) $$

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          近似誤差とMuntzの定理

          近似誤差とMuntzの定理   $${X}$$ を内積$${\left( x,y \right)}$$ が定義された空間(たとえばヒルベルト空間)とする。$${E\subset X}$$ を$${X}$$ の部分空間としたとき、$${x\in X}$$の$${E}$$からの最良近似$${y}$$というのは、すべての$${z\in E}$$ に対して $${\left\| x-y \right\|\le \left\| x-z \right\|}$$ をみたす$${y\in

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          ある行列式の計算

          ある行列式の計算 Muntzの定理を証明するのに必要となった公式の計算をする。近似理論では誤差を行列式で評価できる。式が横に長くなるのでスマホで見る場合は横にして見てほしい。 $${{{\Delta }_{n}}=\left| \begin{matrix}\frac{1}{{{a}_{1}}+{{b}_{1}}} & \frac{1}{{{a}_{1}}{{b}_{2}}}&\cdots & \frac{1}{{{a}_{1}}+{{b}_{n}}} \\\frac{1}

          ある行列式の計算

          Alaogluの定理

          Alaogluの定理   バナッハ空間$${X}$$ の単位球$${\left\{ f\in X:\left\| f \right\|\le 1 \right\}}$$を$${{{\left( X \right)}_{1}}}$$という記号で表す。 そのとき、次の定理が成り立つ。   定理(Alaoglu) バナッハ空間$${X}$$ の共役空間の単位球$${{{\left( {{X}^{*}} \right)}_{1}}}$$は$${{{w}^{*}}}$$ トポロジーでコ

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          弱収束するl^1の点列は、強収束する:Schurの証明

            弱収束する$${{{l}^{1}}}$$の点列は、強収束する: Schurの証明   $${\sum\limits_{k=1}^{\infty }{{{\left| {{\xi }_{k}} \right|}^{p}}<\infty }}$$.$${1\le p<\infty }$$ をみたす複素数の列$${{{\xi }_{1}},{{\xi }_{2}},\cdots }$$ からなるベクトル $${x=\left( {{\xi }_{1}},{{\xi }_{2}

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          第2共役空間

          第2共役空間   $${X}$$ を係数体$${F=\mathbb{R}}$$または$${F=\mathbb{C}}$$ とする線形ノルム空間とする。$${a\in F}$$は絶対値$${\left| a \right|}$$ をノルムとするバナッハ空間である。$${X}$$ から$${F}$$ への有界線形汎関数の全体$${B\left( X,F \right)}$$ を$${X}$$の共役空間と呼び、$${{{X}^{*}}}$$ と書く。$${F}$$ が完備であるおか

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          Stone-Weierstrassの定理

              定理 ワイエルストラスの多項式近似 $${f\left( x \right)}$$を$${x\in \left[ a,b \right]}$$上で定義された連続関数とする。ある多項式の列$${{{P}_{n}}\left( x \right)}$$が存在して、 $${{{P}_{n}}\to f}$$(一様収束)が成り立つ。   これを一般化したStone-Weierstrassの定理について述べる.。   $${X}$$をコンパクトな距離空間、$${{{C}_{\m

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          Herglotzの定理

          Herglotzの定理   $${\mathbb{D}}$$を単位円$${\left| z \right|<1}$$ とする。 $${z=r{{e}^{i\varphi }}}$$,$${0\le r<1}$$,$${0\le \varphi \le 2\pi }$$とおく。ただし$${r=0}$$ のときは$${\varphi }$$ は定義しない。   定理:$${\mathbb{D}}$$で正則な関数$${f\left( z \right)}$$ が非負の実数部分$${

          Herglotzの定理