Stone-Weierstrassの定理
定理 ワイエルストラスの多項式近似
$${f\left( x \right)}$$を$${x\in \left[ a,b \right]}$$上で定義された連続関数とする。ある多項式の列$${{{P}_{n}}\left( x \right)}$$が存在して、 $${{{P}_{n}}\to f}$$(一様収束)が成り立つ。
これを一般化したStone-Weierstrassの定理について述べる.。
$${X}$$をコンパクトな距離空間、$${{{C}_{\mathbb{R}}}\left( X \right)}$$を$${X}$$上で定義された実数値をとる連続関数全体とする。
$${\mathcal{A}}$$$${\subset }$$$${{{C}_{\mathbb{R}}}\left( X \right)}$$が部分代数であるとは、
$${f,g\in \mathcal{A}}$$、$${\alpha \in \mathbb{R}}$$ に対して、
$${f+g,fg,\alpha f\in \mathcal{A}}$$ を満たすことである。
定理:Stone-Weierstrassの定理:$${X}$$ をコンパクトな距離空間、$${\mathcal{A}}$$ を$${{{C}_{\mathbb{R}}}\left( X \right)}$$の部分代数とする。
$${1\in \mathcal{A}}$$であり、$${\mathcal{A}}$$は$${X}$$の2点を分離する。すなわち、$${p,q\in X,p\ne q}$$ に対して、ある$${h\in \mathcal{A}}$$が存在して、$${h\left( p \right)\ne h\left( q \right)}$$ となっていると仮定する。このとき、$${\overline{\mathcal{A}}={{C}_{\mathbb{R}}}\left( X \right)}$$が成り立つ。
この定理からつぎの一連の結果がつぎつぎ示される。
定理:複素数のバージョン
$${X}$$をコンパクトな距離空間、$${\mathcal{A}}$$ を連続な複素関数全体$${C\left( X \right)}$$の部分代数とする。
$${1\in \mathcal{A}}$$、
$${\mathcal{A}}$$は$${X}$$の2点を分離する。
$${f\in \mathcal{A}\Rightarrow \overline{f}\in \mathcal{A}}$$ が成り立つ。
これら3つの条件下で
$${\overline{\mathcal{A}}=C\left( X \right)}$$が成り立つ。
定理:Weierstrassの多次元バージョン
$${X}$$を$${{{\mathbb{R}}^{n}}}$$のコンパクトな部分集合とする。任意の$${f\in C\left( X \right)}$$ は$${{{\mathbb{R}}^{n}}}$$上の多項式により一様近似される。
定理:フーリエ級数バージョン
$${\mathbb{T}=\left\{ {{e}^{i\theta }}:0\le \theta \le 2\pi \right\}}$$上の連続関数全体
$${C\left( \mathbb{T} \right)}$$において、3角多項式 $${\sum\limits_{k=-n}^{n}{{{a}_{k}}{{e}^{ik\theta }}}}$$ の全体でつくる空間は稠密である。いいかえれば、
任意の$${f\in C\left( \mathbb{T} \right)}$$は$${\sum\limits_{k=-n}^{n}{{{a}_{k}}{{e}^{ik\theta }}}}$$の列で一様に近似される。
Stone-Weierstrassの定理の証明を9ステップにわけておこなう。
Step1:$${f\in \overline{\mathcal{A}}}$$で、$${\varphi :\mathbb{R}\to \mathbb{R}}$$を連続関数とする。Weierstarassの定理を適用すると$${\sup \left| f \right|\le a}$$のとき、$${{{p}_{k}}\to \varphi }$$が$${\left[ -a,a \right]}$$ でなりたち、$${{{p}_{k}}\circ f\to \varphi \circ f}$$が$${X}$$上で一様に成立する。したがって、$${\varphi \circ f\in \overline{\mathcal{A}}}$$。(ここは、Weierstrassの定理を使わない証明もある。そのほうがWeierstrassの定理はこの定理の帰結となるので良いのだが、議論の容易な道を選んだ)。
Step2:これは部分代数の性質だが、説明の都合で証明のプロセスに入れる。$${f,g\in \mathcal{A}}$$のとき、絶対値$${\left| f \right|\in \overline{\mathcal{A}}}$$ 、$${\max \left( f,g \right)\in \overline{\mathcal{A}}}$$ $${\min \left( f,g \right)\in \overline{\mathcal{A}}}$$が成立する。これを証明しよう。$${f\in \mathcal{A}}$$にたいして、絶対値をとることによって得られた結果の要素を右下に$${a}$$を添え字として
$${{{f}_{a}}\left( x \right)=\left| f\left( x \right) \right|}$$,$${x\in X}$$ という表し方をする。Weierstarassの定理から、絶対値$${\left| x \right|}$$は$${x}$$の連続関数であるから、任意の$${\varepsilon >0}$$ に対して、実係数をもつ多項式$${P}$$ が存在して$${\left| P\left( x \right)-\left| x \right| \right|<\varepsilon _{{}}^{{}}}$$が、$${-{{\left\| f \right\|}_{\infty }}\le x\le {{\left\| f \right\|}_{\infty }}}$$でなりたつ。ここで$${P\left( 0 \right)=0}$$となるように選んでおける。$${P\left( f \right)\in \mathcal{A}}$$であり
$${\left\| P\left( f \right)-{{f}_{a}} \right\|<\varepsilon }$$となる。したがって、
$${f\in \mathcal{A}}$$に対して $${{{f}_{a}}\in \overline{\mathcal{A}}}$$がいえた。
$${\max \left( f,g \right)=\frac{1}{2}\left[ f+g+{{\left( f-g \right)}_{a}} \right]}$$、$${\min \left( f,g \right)=\frac{1}{2}\left[ f+g-{{\left( f-g \right)}_{a}} \right]}$$
であるから、$${f,g\in \mathcal{A}}$$のとき、
$${\max \left( f,g \right)\in \overline{\mathcal{A}}}$$、$${\min \left( f,g \right)\in \overline{\mathcal{A}}}$$も言える。
step3:仮定より$${p\ne q}$$のとき、 $${{{f}_{pq}}\in \mathcal{A}}$$が存在して、$${{{f}_{pq}}\left( p \right)=1}$$, $${{{f}_{pq}}\left( q \right)=0}$$とできる。
step4:適当な連続関数$${\varphi :\mathbb{R}\to \mathbb{R}}$$をとって、$${{{g}_{pq}}=\varphi \circ {{f}_{pq}}\in \overline{\mathcal{A}}}$$ で、$${p}$$ の近傍で1、$${q}$$の近傍で0をとり、なおかつ$${X}$$上で$${0\le {{g}_{pq}}\le 1}$$となるものとする。
step5:$${p\in X}$$ を固定し、$${p}$$ の開近傍$${U}$$をとる。strep4でとられた$${q\in X\backslash U}$$にたいして、$${p}$$の近傍$${{{\mathcal{O}}_{p}}}$$ で$${{{g}_{pq}}=1}$$ 、$${q}$$の近傍$${{{\Omega }_{q}}}$$ で$${{{g}_{pq}}=0}$$、$${0\le {{g}_{pq}}\le 1}$$となる$${{{g}_{pq}}\in \overline{\mathcal{A}}}$$が存在する。$${\left\{ {{\Omega }_{q}} \right\}}$$は$${X\backslash U}$$の開被覆であるから、そこから$${X\backslash U}$$の有限開被覆$${{{\Omega }_{{{q}_{1}}}},{{\Omega }_{{{q}_{2}}}},\cdots ,{{\Omega }_{{{q}_{N}}}}}$$を選ぶことができる。
$${{{g}_{pU}}=\underset{1\le j\le N}{\mathop{\min }}\,{{g}_{p{{q}_{j}}}}\in \overline{\mathcal{A}}}$$ とおく。
この結果$${0\le {{g}_{pU}}\le 1}$$、$${X\backslash U}$$ 上で$${{{g}_{pU}}=0}$$そして、$${\mathcal{O}=\bigcap\nolimits_{j=1}^{N}{{{\mathcal{O}}_{{{q}_{j}}}}}}$$の上で$${{{g}_{pU}}=1}$$となっている。ここで、$${\mathcal{O}}$$ は$${p}$$の開近傍であることに注意しよう。
step6:$${K}$$ 閉集合、$${U}$$開集合で$${K\subset U\subset X}$$とする。step5によって、かく$${p\in K}$$ に対して、$${p}$$の開近傍$${{{\mathcal{O}}_{p}}}$$ で$${{{g}_{pU}}=1}$$ 、$${X\backslash U}$$ で$${{{g}_{pU}}=0}$$となる$${0\le {{g}_{pU}}\le 1}$$をみたす$${{{g}_{pU}}\in \overline{\mathcal{A}}}$$が存在する。$${\left\{ {{\mathcal{O}}_{p}} \right\}}$$は$${K}$$の開被覆であるから、そのうち有限個の$${{{\mathcal{O}}_{{{p}_{1}}}},{{\mathcal{O}}_{{{p}_{2}}}},\cdots ,{{\mathcal{O}}_{{{p}_{M}}}}}$$ をえらんで$${K}$$ の開被覆とできる。そして、
$${{{g}_{KU}}=\underset{1\le j\le M}{\mathop{\max }}\,{{g}_{{{p}_{j}}U}}\in \overline{\mathcal{A}}}$$とおく。その結果
$${K}$$上で$${{{g}_{KU}}=1}$$ 、$${X\backslash U}$$ 上で$${{{g}_{KU}}=0}$$、$${X}$$ 上で$${0\le {{g}_{KU}}\le 1}$$となる関数$${{{g}_{KU}}}$$の存在が言えた。
step7: $${X}$$上で$${0\le f\le 1}$$をみたす
$${f\in {{C}_{\mathbb{R}}}\left( X \right)}$$をとる。$${k\in \mathbb{N}}$$ を固定して
$${{{K}_{l}}=\left\{ x\in X:f\left( x \right)\ge \frac{l}{k} \right\}}$$ とおく。したがって、
$${X={{K}_{0}}\supset {{K}_{1}}\supset \cdots \supset {{K}_{l}}\supset {{K}_{l+1}}\supset \cdots \supset {{K}_{k}}\supset {{K}_{k+1}}=\phi }$$ となる。
開集合$${{{U}_{l}}\supset {{K}_{l}}}$$を
$${{{U}_{l}}=\left\{ x\in X:f\left( x \right)>\frac{l-1}{k} \right\}}$$で定義すると、$${X\backslash {{U}_{l}}=\left\{ x\in X:f\left( x \right)\le \frac{l-1}{k} \right\}}$$となる。step6より$${{{\psi }_{l}}\in \overline{\mathcal{A}}}$$ で、$${{{K}_{l}}}$$ 上で$${{{\psi }_{l}}=1}$$、$${X\backslash {{U}_{l}}}$$上で$${{{\psi }_{l}}=0}$$、なおかつ$${X}$$ 上で
$${0\le {{\psi }_{l}}\le 1}$$となるものが存在する。いま、$${{{f}_{k}}=\underset{0\le l\le k}{\mathop{\max }}\,\frac{l}{k}{{\psi }_{l}}\in \overline{\mathcal{A}}}$$とおく。
このようにしてすべての$${l}$$ で$${{{K}_{l}}}$$上$${{{f}_{k}}\ge \frac{l}{k}}$$ 、$${X\backslash {{K}_{l}}}$$上で$${{{f}_{k}}\le \frac{l-1}{k}}$$となる。これから、$${{{K}_{l-1}}}$$で$${{{f}_{k}}\ge \frac{l-1}{k}}$$、$${X\backslash {{U}_{l+1}}}$$で$${{{f}_{k}}\le \frac{l}{k}}$$となる。いいかえれば、
$${\frac{l-1}{k}\le f\left( x \right)\le \frac{l}{k}}$$$${\Rightarrow }$$ $${\frac{l-1}{k}\le {{f}_{k}}\left( x \right)\le \frac{l}{k}}$$
結局、$${\forall x\in X}$$ で$${\left| f\left( x \right)-{{f}_{k}}\left( x \right) \right|\le \frac{1}{k}}$$がなりたつ。
step8: step7より、$${f\in {{C}_{\mathbb{R}}}\left( X \right)}$$が$${X}$$上で$${0\le f\le 1}$$をみたすとするとき、$${f\in \overline{\mathcal{A}}}$$となることをみた。これから、単に$${f\in {{C}_{\mathbb{R}}}\left( X \right)}$$$${\Rightarrow }$$ $${f\in \overline{\mathcal{A}}}$$を導くには$${f}$$を定数倍してやればよいだけで容易であろう。
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