#36 多くものを買わせるために【計画的陳腐化とモデルチェンジ】
マーケティング
マーケティングとは、簡単に言ってしまえば、消費者に物を買わせる戦略のことです。古くから多くの企業が、何とか売り上げを伸ばすために様々なマーケティングを行っています。
マーケティングの例を2つ紹介します。
自動車とモデルチェンジ
1954年代、自動車メーカーはモデルチェンジとして、新車を毎年発表していました。新車は外見こそ前年度のモデルと全く違っていても、技術的な観点から見ればほとんど同じでした。
このモデルチェンジは、人々の購買意欲をかき立てる巧みな戦略です。この手法は、現在のスマートフォン産業にも当てはまります。
毎年行われる短期間のモデルチェンジには、技術革新を速やかに製品に反映させるというメリットもあったようです。
電球と計画的陳腐化
電球の発明から約100年後の1924年、ポイボス・カルテルとよばれる白熱電球の生産と販売を支配するために結ばれた国際的な企業協約がひそかに結ばれました。
カルテルの参加企業では、白熱電球の寿命が1000時間を越えないようにするという計画的陳腐化が世界規模で実行されました。消費者に電球をたくさん買い替えさせることによって電球の売り上げを伸ばすためです。
これにより、約20年間、電球産業における正当な競争を減少させ、寿命の長い電球を製造するための技術開発を妨げたといわれています。
21世紀
21世紀、今や世界はかつてないほど劇的、あるいは急激に変化しているという言葉が聞かれますが、その原因の一つは、現代がマーケティングの時代だからといえます。
企業が短期間で新商品を出すので、自分たちの時代は、ほかの時代よりも急激に変化しているという錯覚に陥っているのではないでしょうか。
もちろん21世紀には多くの画期的な発明や発見があります。しかし産業革命が起こった19世紀にも、電話、内燃機関(自動車の動力)、蓄音機、写真、白熱電球、透明フィルム、トイレットペーパー、万年筆、有刺鉄線、マシンガン、食洗機、ミシン、ダイナマイト、ラジオ、掃除機、エアコンなど。20世紀にも、飛行機、プラスチック、セロファン、など多くの発明がありました。
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現在でも、電化製品では計画的陳腐化により、顧客が新製品を購入せざるをえないように、製品寿命が故意に短く設計されていることがあります。
そして毎年発表される新製品は、実際には旧モデルと大差なくても、あたかも最新の重要な機能が装備されているかのように宣伝されます。
それは、本当にあなたが欲しいものなのでしょうか?それとも、企業に欲しいと思わされているものなのでしょうか?
他の記事、参考文献など
最後までお読みいただきありがとうございました。
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参考資料
『 紙の世界史: PAPER 歴史に突き動かされた技術』マーク カーランスキー(著) 川副 智子 (翻訳) 徳間書店
使用させて頂いた画像
Comfreak on Pixabay
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