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チリワインは、なぜ有名なのか?

フィロキセラ

アメリカ原産のぶどうの害虫フィロキセラは、19世紀、船によってヨーロッパに運ばれてきてヨーロッパのワイン産業に壊滅的な被害を与えました。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

接ぎ木

ヨーロッパのぶどう農家の人々はフィロキセラへの対抗策として、薬剤を使ったり様々な方法を試しました。

ほとんどの方法で効果は出ませんでしたが、唯一とても効果があった方法があります。それは接ぎ木です。

接ぎ木とは、2つの違う種類の木をそれぞれ切断して、その切断面で木の上半分と下半分を無理矢理くっつけるというものです。

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接ぎ木をすると、上につないだ木が枯れてしまうこともありますが、多くは枯れずにちゃんと成長します。

フィロキセラ対策の接ぎ木の方法は、フィロキセラに耐性のある北アメリカ原産のぶどうの木の根にヨーロッパのぶどうの木を接ぎ木する、というものでした。

フィロキセラはぶどうの木の根に寄生するため、根の部分をフィロキセラ耐性のある北アメリカ原産のブドウにすることで、被害を抑える作戦です。

この方法が功を奏し、ぶどう畑はなんとか復興しました。

しかし、接ぎ木をしたために、ヨーロッパにはフィロキセラ以前にあったブドウの品種は、ほとんど残っていません。

そして驚くことに、現在もヨーロッパのワインぶどうの木のほとんどは、フィロキセラ対策のために接ぎ木をしてつくられています。

「接ぎ木をするとワインの味が落ちる!」といった意見はもちろんありました。けどしょうがなかったのです。フィロキセラがいなかったら、ヨーロッパのワインの味は今とは少し違っていたかもしれません。

ということは、「フィロキセラ以前のヨーロッパ系のぶどうから作られたワインは、もう飲めないのでしょうか?

飲めます。しかも、ほとんどのコンビニやスーパーで買えます。

チリワイン

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チリは、フィロキセラの被害がヨーロッパに及ぶ前にぶどうの苗木が持ち込まれ、ヨーロッパ系のぶどうの木でワインを作っていました。そして奇跡的にフィロキセラの被害を受けませんでした。

西は太平洋、東はアンデス山脈に囲まれていて孤立した土地であるために、フィロキセラが飛んで来にくいからです(乾燥した気候なので他のぶどうの病気も発生しにくいという、めちゃ恵まれた土地です)。

チリでは、ヨーロッパでは失われてしまったヨーロッパ原産のぶどうからワインを作ることができています。しかも接ぎ木をしなくて良いので、手間がかからず、コストも抑えられます。

チリの他にも、アルゼンチンやオーストラリアのバロッサ・ヴァレーなどが、フィロキセラの被害を受けずにヨーロッパ原産のぶどうからワインをつくっています。

私は、「安くておいしい」という理由でチリワインを飲んでいましたが、
この事実を知ってから、チリワインがさらに好きになりました。

皆さんも是非、チリワインを楽しんでみて下さい!

他の記事、参考文献など

最後までお読みいただきありがとうございました。

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参考資料
ワインの歴史---自然の恵みと人間の知恵の歩み--- 山本 博 (著)

使用させて頂いた画像
Jeff Siepman on unsplash
写真AC

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