【13週目】 今週、社内で話題になった事例。(コンワダさん)
こんにちは、株式会社アーキロイドの津久井です。
12月に入り、最近はアドベントカレンダーを楽しんでいます。「事例のアドベントカレンダー!!!」と謳って毎日出すことはできませんが、今月もあと3回位(31日どうしよう)出す予定です。
今週も社内で話題になった事例からいくつか紹介します。バックナンバーはこちら。
ピックアップ事例:ストレスフリーな賃貸物件検索サービス『Comfy』
【概要】
ストレスフリーな賃貸物件検索サービスComfy(コンフィ)です。最大の特徴は、日本全国を同時検索でき、条件にフィットする物件の数を地図上にヒートマップで表示することです。物件情報はSUUMOから、ベースマップはOpenStreetMapから、境界情報などは独立行政法統計センターのe-Statから、それぞれ取得しています。
【使ってみた】
実際に筆者も使ってみました。
地図が条件欄にかぶって、やや使いにくいのですが、モバイルにも対応しています。
【この事例について】
筆者自身はComfyは物件検索サービスとしてはもちろん、物件データビジュアライズサービスとして面白いと思います。サービスを楽しんでしまい、普段よりもキャプチャが多くなってしまいました。
まずは検索サービスとしての素晴らしさについて。不動産ポータルサイトの多くは、まずエリアや沿線を指定して、そこから希望の条件を入力してフィルタリングします。一方でComfyは全国一括検索で、総数と分布が地図でグラデーション表示されます。あなたの希望の条件にあう物件が、東京にはないけど、秋田県由利本荘市と鹿児島県奄美市にはあるかもしれません。それが瞬時に分かります。リモートワーク、地方移住、都心離れ、非定住が加速する今、選択肢が全国という人も多いので非常に便利だと感じました。
次にデータビジュアライズサービスとしての面白さについて。このサービスは非常にフラットな検索で、換言すれば相対的な比較が可能です。これまでのポータルサイトでは、希望の条件でフィルタリングした結果が3件しかなかったとき、それが多いのかどうかがわかりませんでした。Comfyなら、隣県に50件あるし、地方を変えれば1万件あることが、瞬時にわかります。自分が見ていたエリアでは、自分の希望は希少物件であることが相対的に分かります。希少性の高い物件ほど売り手市場になりますし、その地域のボリュームゾーンの物件であれば、大家さんサイドの競争が激しく買い手市場にあるといえるでしょう。高値掴みしやすい、割安に選べる、という相場観が瞬時にわかるとも言えます。
「あなたの町の不動産屋」に行かなければならない時代から考えると、全国の物件が絶対指標で検索できる不動産ポータルサイトの登場は革命的でした。Comfyは希望条件の周辺条件(土地だけでない、面積、価格その他)という相対比較情報を閲覧可能にする、新たな革命であると筆者は感じました。これまでコンワダさん(本事例集)で繰り返しフラットな検索・評価・比較が可能なサービスやAPIを取り上げてきていますので、筆者がこういう事例に興味が強いことをご理解いただけると思います。
ちなみに、一時は物件データの利用許諾の問題で閉鎖していたようですが、先月下旬に復活したようです。分かる情報が少ないのですが、SUUMO側が一時は差し止めたものの、最終的には認めたということであれば、このサービスにそれほどの価値があると判断しているのかもしれません。いずれそのあたりの裏側も知りたいところです。
その他の事例
その1:世界初の生体ロボット、「生殖」が可能に 米研究所
アメリカの研究者が2020年に公開した、史上初の生体ロボット「ゼノボット」の生殖が可能であるという発表です。ゼノボットはアフリカツメガエルの幹細胞から形成された1ミリ以下のロボットで、動く、群れで協力、自己修復などの能力を持っています。これが生命体かロボットかという問いに対して、研究者は「ロボットといえば金属製かセラミック製だと思っている人が大半だが、重要なのはロボットが何で作られているかではなく何をするか、つまり人間のために自力で行動するかどうかだ」と述べています。今の所、40年代のコンピューターのような初期技術で実用的な用途はありませんが、分子生物学×AIの研究例として、再生医療、海洋マイクロプラスチックの収集など、多岐にわたる可能性を秘めているそうです。
多目的最適問題に対する進化論的設計手法では、交配によって遺伝子の継承改変が行われ、より良い解に近づきます。GA(遺伝的アルゴリズム)に代表されるこうした手法は、環境に適応する生物の進化の仕組みを模倣した解法として古くから研究・実践されてきました。これまではそれがコンピューターの中での話でしたが、本事例は物理環境でその可能性を示したプリミティブな例ということなのでしょう。筆者はロボット工学にも分子生物学に明るいわけではないので、筆者なりの精一杯の理解ですが、非常にインパクトを感じています。
その2:機械学習によるフォント生成の話
筆者が妙に納得したTweetです。調べてみたところ、参考記事に登場するデザイナーさんは、ひらがな+カタカナを1ヶ月、漢字込みフォントなら2年以上の歳月をかけて作るそうです。他の例では、以前、NHK『サラメシ』で、フォント制作会社モリサワの回を見ました。同じ人偏でも機械的に配置するのではなく、つくりに合わせてプロポーションやパス頂点、滑らかさなどを一つ一つ修正することもあるそうです。一方で、アルファベットのようなシンプルな文字だと、字間や、送りなどのデザインがより求められそうな気がしました。
その3:販売開始2カ月で40億円ほぼ完売、NOT A HOTELが切り開く「カートで別荘買う時代」と次の課題
4週目コンワダさんで、販売開始の情報を取り上げたNOT A HOTEL。別荘兼ホテルであること。一棟購入だけでなくシェア購入枠があること。別荘として利用する以外はホテルとして運営され、配当を受け取れること。購入、管理、運営すべてがアプリで完結すること、などを紹介しました。詳細は下の記事を御覧ください。
NOT A HOTELは価格が高額でありながら、ネットショッピング感覚で不動産を購入することから、これまでの常識で考えたときに購入者がつくのか、またついた場合は今後の不動産購入の在り方を変える、ということで注目を集めていたと思います。
今回のニュースでは、40億円分の売出し物件がほぼ完売し、半額が入金済みとのことです。購入者層も30~40代の経営者というペルソナにドンピシャだったそうです。恐ろしいマーケティング力ですね。ゆくゆくは1000万円台のマス向け物件も展開する考えのようで、今後ますます動向が気になります。ハイエンド×アーリーアダプターにとっては、不動産をネットショッピングできることが立証されたわけなので、今後マジョリティが追従する可能性は十分にあると期待しています。
まとめ
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。今回は「ピックアップ事例」と「その他の事例」という項目を作ってみました。しっかり書きたい事例と、あっさり触れたい事例を同居させる実験です。
1週目コンワダさんでは、8事例をフラットな構成で扱いましたが、事例ごとの密度はバラバラでした。ここ最近は2~3事例を濃密に書くというスタイルで、クオリティが高くなる一方、ライトに取り扱いたい事例を掲載することがなくなってしまいました。
そこで、今回は事例ごとの熱量に落差があっても、そもそもヒエラルキーをつけて、構成的に不自然に見えないようにしてみました。実はnoteの新エディタで見出しにヒエラルキーがつけられるようになったので、構成的にこういう記事が作りやすくなったという背景もあります。noteさん神アプデありがとうございました。
とうとう自分のスタイルを見つけたかのように書いていますが、つい先週下記のようなことを書いたばっかりなので、あんまり信用しないでください。
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