無印のインフラゼロでも暮らせる家、ChatGPT×Siri、卒業設計「ケンチCUBE」の話(コンワダさん68週目)
こんにちは、株式会社アーキロイドのコンワダです。今週も社内で話題になった事例(コンワダさん)からいくつかをご紹介します。バックナンバーはこちら。
無印良品「インフラゼロでも暮らせる家」の実証実験を開始
「無印良品の家」を展開する株式会社MUJI HOUSEが移動式住宅の実用化を目指した実証実験「ゼロ・プロジェクト」の開始を発表しました。コンセプトは『インフラ・ゼロ』、『カーボン・ゼロ』、『リビングコスト・ゼロ』、『災害リスク・ゼロ』の4つのゼロです。その実現に向けて、社会インフラ領域のイノベーションを目指すU3イノベーションズ合同会社や、クリーンなエネルギを作る未来の屋根「Roof-1」を開発する株式会社モノクロームと協業していくそうです。
2023年はテクノロジーの検証やプロトタイプの開発、さらには実証実験として実際に生活する人を募集するそうです。2024年以降に「インフラゼロでも暮らせる家」として実用化を目指すとのことです。
カーボンニュートラルは当然念頭にあるけど、実際にプロジェクトに織り込むのは難しい。建築のように、物理的に大きかったり、既存業態を転換するのにとてつもない人的エネルギーが必要な産業だと、大きな壁に直面してしまいます。これまで、エネルギー消費・炭素排出と引き換えによって得られていた便益を損なうのではないかという懸念と抵抗が、大きくのしかかっているのではないでしょうか。もっとかみ砕けば「どうやったら我慢せず、不便にならずに、持続可能なように進化できるのか」の糸口を模索している段階だと思います。
業界的には無印良品がこれを企画してくれることの意義は大きいですね。無印は素朴で機能的でナチュラルなイメージがありますので、特にコアなファンはこうしたカーボンニュートラルやオフグリッドといったキーワードに感度が高いでしょう。これが無印のコアファンにどのように刺さるのかというマーケティング面と、どれほど実用性の高いものが作れるのかという機能面の両観点から注目のプロジェクトになりそうです。
一方で無印は、ノーブランド(=無印)で普通であることがコンセプトでもあります。良品計画のトップ対談の中にも「無印良品のデザインは、質と美しさを持った”普通”を探り当てる作業」という言葉がある通り、普通であることに美学を持っています。無印のコアなファン、アーリーアダプターに刺さればそれが一般(普通の人)に普及していく未来は十分に描けます。生まれてから一度も無印の商品を経験せずに大人になった人なんてほとんどいないでしょうから。
余談ですが、以前、MUJI HOUSEの方に聞いたことがあります。「MUJI HOUSEの展示場で窓から外を見ていると、遠くを歩いている人がいます。その雑多な人たちの中からこの人はうちの展示場に来る、というのは一発で分かります。頭からつま先までほとんど全部が無印ですから」。
▼Roof-1に関するnoteはこちら
▼オフグリッド住宅に関するnoteはこちら
AI事例まとめ
OpenAI「ChatGPT」と「Whisper」のAPIを発表
Tweetの通りです。ちょうど先週のコンワダさんでWhisperとGPT-3を使って、会議音声から議事録&サマリの自動生成をする事例を紹介しましたので、これは反応せざるを得ません。
▼議事録&サマリ自動生成についてのnote
ChatGPT×Siri
ChatGPTのAPIを利用した事例。これはライフハックはかどりそうですね。なんだかSiriという義体を使ってChatGPTと会話するのは妙な背徳感がありそうです。
建築設計ゲーム「ケンチCUBE」が「全国合同卒業設計展 卒、23」で最優秀賞
以前、当社のnoteを執筆したこともある林飛良さんの作品が、卒業設計の全国大会で最優秀賞を受賞しました。社を代表してコンワダさんよりお祝い申し上げます。
自身で設計したキューブを使い「住宅を設計するゲーム」を考案。それを実際に子供たちにプレイしてもらい、得られた気づきなどもまとめて紹介しています。ゲームは商品化も考えているそうですよ。楽しみです。
▼林さんの卒業設計の作品ページはこちら
▼林さんの書いた記事はこちら
まとめ
今週も読んでいただきありがとうございます。卒業設計について取り上げたので、最後にコラムというかポエムというか、コンワダさんにあるあるな思案の垂れ流しを披露しておわりにしたいとおもいます。ぜひ「スキ♡」を押してください。週刊投稿の励みになります。
卒業設計は高校野球(に似てる)
全国で卒業設計の講評会シーズンとなりました。卒業設計と言われても、多くの方にはピンとこないでしょう。一言でいえば「卒業論文の建築プロジェクト版」です。(卒業論文と卒業設計を両方取り組む大学もあります)。建築学生が大学卒業時に、卒業論文のように卒業を認定するために設計・制作する仮想の建築プロジェクトで、通常は学内で審査会・講評会が開かれ、卒業の認定と優秀賞などの選定を行います。さらに学外では、地域別や全国大会などの各種コンペが開催され、同年代の全国の学生と競います。コンペには自由に参加できるものから、学校の推薦を受けないと参加できないものまで、レギュレーションは様々です。建築学生にとってまさに大学生活の集大成。大学院まで進んだ人の中にも学生生活一番のプロジェクトだったという方は多いのではないでしょうか。
個人的には規模や社会的な注目度は比にはなりませんが、高校野球に似ていると思っています。全力でがむしゃらに取り組めること。笑う人と泣く人がいること。チャンスはその時にしかないこと。そこでの学びを活かすのも悔しさを晴らすのももう次のステージでしかできないこと。ファンが一定数いること。「あの試合(コンペ)はよかった」「彼はきっとビッグになる」と言った言説が飛び交うのも全く一緒。今活躍している建築家でも卒業設計ではいい結果を出せなかったという人もたくさんいます。甲子園に出たことないプロ野球選手もたくさんいますから。そういうのをひっくるめて青春というんだと思います。
ちなみに卒業設計(卒計)というか卒業制作(卒制)というかは大学や学部によって異なるようです。ちなみに筆者の母校では卒制と呼ばれていましたが、体感では卒計としている大学のほうが多い気がします。
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