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一級建築士設計製図試験に合格するために必要なICT

一級建築士設計製図試験の合格基準等において、「知識及び技能」を有するものをランクⅠ、すなわち合格としています。

そして、ここでいう「知識及び技能」とは、一級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」であるとされています。

辞書によれば、技能とは、『あることを行うための技術的な能力』ということになりますので、一級建築士として必要な知識や技術的な能力を試されているのが、設計製図試験であると言えます。

合格基準等において、空間構成建築計画構造計画設備計画などが採点のポイントに掲げられています。また、建築計画の詳細の一つに、『図面、計画の要点等の表現・伝達』が明示されており、これについては、平成26年までは単に『図面表現等』とされていたところです。

以上を踏まえて、一級建築士設計製図試験に合格するために必要な要件を、I・C・Tの3つの観点でまとめてみます。

1.I(Information)

情報
文字・数字などの記号やシンボルの媒体によって伝達され、受け手に状況に対する知識や適切な判断を生じさせるもの。

文字・数字などの記号等によるものが、図面、計画の要点等の答案になるかと思います。

受け手となる採点者に伝達するための媒体が答案になりますので、適切な評価や判断をしてもらうためにも、その表現力は重要な採点のポイントになってきます。

採点者すなわち人が読み取るものですから、答案は綺麗であり上手であることに越したことはありません。これでプランも良ければ良い印象を与えます。

しかし、下手だと言っても、読み取れないようなものでなければ、ちゃんと評価はしてくれるはずです。
「下手」であることと、誠意の感じられないような「雑」であることは、違うものだと思います。

2.C(Communication)

通信
何らかの方法によって他者に自分の考え・様子や情報などを伝えること。

自分が答案に意図した情報が、誤解なく採点者に伝わるか否かは、とても重要なことになってきます。

上にも書きました通り、『伝達』が採点のポイントに明示されるようになったのは平成27年からになり、この年から問題用紙に『なお、各図面には、計画上留意した事項について、簡潔な文章や矢印等により補足して明示してもよい。』と記載されるようになりました。

さらに平成28年の問題用紙からは『なお、各図面には、必要に応じ、計画上留意した事項について、簡潔な文章や矢印等により補足して明示する。』とされ、明示、すなわち考えたことがあるなら、その考えが伝わるように説明することを義務づける度合いを高めています

ちなみに、平成29年と令和元年では「必要に応じ」が削除されていますが、両年は並立助詞「や」を好んで使っていると思われる点も共通しており、出題者の文章表現の好みの範疇であるのかもしれません。

以上により、見た目の表現力に留まらず、その中身が伝わりにくいと思うところがあれば、それを採点者にわかりやすく伝える伝達力も、採点のポイントとして試されていることになります。

採点者に真意が伝わらず誤解を与えたまま評価されるようなことがあれば、それは伝達力に問題があったということになるでしょう。

3.T(Technology)

技術
物事を取り扱ったり処理したりする際の方法や手段。また、それを行うわざ。
科学の研究成果を生かして人間生活に役立たせる方法。

すでに述べました通り、一級建築士として必要な知識や技術的な能力を試されているのが、設計製図試験になります。

採点のポイントで示されているように、空間構成建築計画構造計画設備計画などの知識や技術的な能力を、答案のでき具合から評価されることになります。

空間構成を成立させるためのエスキース技術、建築計画・構造計画・設備計画を成立させるための専門的な技術、そしてこれらを集約させた結果となる的確な図面表現技術や簡潔な文章表現技術、さらに第三者にわかりやすく伝達する技術、こういった一つ一つの技術を磨いていくことが、一級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」を身につけ、磨いていくことになるのだろうと思います。


以下の記事も参考にしてみて下さい。


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企業内一級建築士資格取得研修の23年間の実績。前提となる基礎知識を積み上げながら、⾃分がわかりたいところまで辿り着くことが理解。減点要素となり得る問題点のうち、回避すべきものと許容できるものを取捨選択していくことが判断。co-師(学びあう共育者)というスタンスで発信します。