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それからの話

それから・・・の話を書いてみようと思う。

オトナ向けのクラスを開講しようと、シュタイナー教育で行う水彩について一から学び始めた。オトナ向けだからオトナの水彩を習うわけではなく、では小学1年生の題材からかと言われればそれも違う。もっともっと根本的な色の世界から学ぶ。


一色の色の体験から、二色の色、二色の色の組み合わせ、二色が三色、三色が四色・・・・。色の組み合わせの違いの印象、ギリギリで混じり合わない時と混じり合った時の違いなど、初めの一年は気が遠くなるくらい、とにかく丁寧に色を感じることを続けた。


三原色(赤・青・黄)を画面上で重ねることで新たに生まれる色たち。パレットの上で決して混ぜたりしない。なぜ画面上で綺麗に色が混ざり合うかと言うと、水に浸けてぬらしておいた紙を画板にあげ、海綿で水を軽く拭き取った紙に水が残っている状態で筆を下ろすから。水がじわりじわりと滲んで広がっていく様は、まるで生きているようで心にふわ〜と色が語りかけてくる。


そう、色は感情と結びついているのだ。

わたしたちが色を見るとき、必ず心に何か作用が起きている。では、色盲の人は?盲目の人は?
わたしが知っている範囲では、色を違う形で補うことをしているように見えた。赤が見えにくい人は、カレー屋さんをしていた。わたしには沢山のスパイスを使って赤を体に取り込んでいるように見えた。盲目の人もきっと他の感覚器官で色を感じることをしていると思う。


色の本質を学びながら、物語、植物、動物、鉱物と絵の幅が広がっていく。物語ではお話の場面を描くのではなく、その時の感情を色に表して描く。お話好きのわたしは心が躍るとても豊かな時間になった。色がお話の感情を疑似体験させてくれたり、それを描くことで私の中の記憶の出来事を癒してくれる。色と感情が結びついていると深く理解できたのは、いろいろなパターンのお話の世界を何度も何度も描いたからだった。


そして、同じお話で同じ色を使っていても人それぞれ感じることは違うということも興味深かった。当たり前だけど100人いたら100通りの感じ方がある。色のグラデーションがあるように感情にもグラデーションがあるのだ。だから、わたしが今やろうとしていることはカラーセラピーとは少し違う。カラーセラピーは色に既に意味を持たせて診断するらしい。わたしがしたいのは診断ではなく、その人が色から感じたことを引き出すことだ。


同じお話を聞いても、同じ色を見ても人それぞれ感じ方が違うということを体験することは、自分の中の当たり前は当たり前ではなく、自分だけの感覚だと認識することになった。自分を知り、他者を知る。そこにジャッジはない。それは豊かな時間になった。


学びはオンラインで行っていた。本来、絵を学ぶなら対面で行うのが最適だと思う。なぜなら、対面だと先生が絵の具を用意してくれるから。その色は紛れもない正解の色だ。
しかし、画面上ではどうしても色味を確認するのは難しい。この色で合っているか画面上で確認してもらうのだが、パソコンの性能やその日の天気や部屋の明るさなど、実際にどう見えているかは本人しかわからない。絵は微妙な色の濃さで全く違う印象になる。そんなことを考慮すると、色を作ることができれば絵は90%できたようなものと言える。


結果、私はオンラインで学べて良かったと思っている。もちろん、実際に会うことでしか得られないエネルギーの受け渡しがあることも知っている。
しかし、対面で学んでいたら今のように色のことを理解するにはもっと時間がかかっただろう。自分でこの色味かな?もっと薄いかな?濃いかな?と、何度も何度もしっくりくるまで描き直し試行錯誤したからこそ、微妙な色の違いがわかるようになった。先生がいたら先生の答えを探していただろう。言葉にするのが難しいけど、その色は普遍的な色だけど、自分で探して辿り着いた色なのだ。先生に用意してもらった色ではない。


同じことは料理教室でも同時に行われていた。
同じ時期に始めたオンラインで学ぶ料理教室でも、味の正解は自分で見つけるしかなく、この時期わたしは答えはあるけどすぐにはわからない普遍的な答えを創意工夫していた。


でも、それはいつだってそうだと思う。


今だって、わたしはわたしのやり方を探して試行錯誤している。一足飛びでは辿り着けない、まだまだ知らない色の世界、感情の世界を探求し続け、それがどうしたら誰かのためになるか創意工夫している。いつしか人に与えられた正解を求める社会になった。でも、普遍的な答えは自分が体験した中にしかない。わたしはわたしのやり方で楽しんで自分の正解を探し続けている最中なのだ。




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