ARCANUM

photo×word×collage×picture.

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最近の記事

KHAOS

カオス(渾沌)は始源の力だ 音として聴くか 言葉として綴るか 四肢を捧げて舞うか 光が降りるから影が降りる (光陰は対立ではない 闇がまやかしではない  対立は物語のためのまやかし) 貴方が(わたしが) それをなんと呼び祝福したか 祝福とは名を与え輪郭を与え取り上げること 光あれと言う閃光 光を裂いて与えられた色 光も闇も祈りの形態 あまりにも物語を与えられてきたこの場において 渾沌 光と闇と色と躍動 祈りと意志の狭間で立ち現れる真空 壊れゆく姿から揮発する生を嗅ぎ取る

    • あわい

      無常なるもの連続し 遍在するものの透明 明滅するあわいの いずれとも無い 閃く遊色を兆しとしてつつしむ 剥がれ落ちる計らいの鱗を祝福し 或いは喜捨する 黎明の間際に 群青の音色を聴き取る 赫く赫く 国産みの奔流の如く翳す

      • あわい

        無常なるもの連続し 遍在するものの透明 明滅するあわいの いずれとも無い 閃く遊色を兆しとしてつつしむ 剥がれ落ちる計らいの鱗を祝福し 或いは喜捨する 黎明の間際に 群青の音色を聴き取る 赫く赫く 国産みの奔流の如く翳す

        • Arjuna

          たとえば、私はそれが好きで親しみが湧くのに、誰かはそれが苦手で嫌い。 その忌避感を自分のもののように感じることはできるけれど、私はそれが好きであるが故に私のものではないと認識できる。 共感は、そのものになることではない。 そのものになるということは自分の座標を捨てた錯覚だ。 たとえば、誰かと交流して胸の中心が熱く充足する体感がある。それがほんの僅かなやり取りでもだ。 その人を感じた自分がいるように、自分を感じたその人がいる。同じように感じているか否かは問題ではない。 相

          mel

          指先が温まるよりもさよならの速度が早くて 洗い流された跡が人生の全てのように思えてしまう たしかにあった手触りや呼吸する起伏 瞬きの下の虹彩の奥行き 時間という軛の周りで 光や影や星や花は奔流している 氾濫している 小さい人の形にすぎない暫定の私も 軛の淵にも外にも氾濫しているけれど この容で見る何もかもは 微笑み返す前に 殴りつける前に 握り返す前に 輪郭が失われてしまう 奔流の境界でこの容をしている理由を 形あるものとして伝えるより早く

          波羅蜜2

          私は祝福する 孤独と無音のあわいに立ち 凛とする静寂が震えるのを 神により人が被造されたなら 創造が人を美しくする その魂により 死の中に生を見出すなら 痛んでもなお 魂により分かち難い 被造と創造の循環の中で 寄り添うことができる 貴方は美しいと指差す その景色に立つ貴方も また美しい

          波羅蜜1

          晴天と花と雪のあいだに偲ぶ気配。 放物線を描いて届きますように。

          白日

          雪が降る 桜の花びらのまぼろし 旅の終わりのような陽だまり 花が気泡を放ちながら咲く 風に揺れるにおい 降る雪の中に春を思った日 そのどれもから香った 俯いて微笑む貴方の横顔は 蜜を揺らすようにゆったりと眩む 遠いようでいて 懐かしくて まだ見ない 新しい日のようで

          流星の庭

          愛溢れる世界 痛み溢れる世界 生まれ続ける世界 死に続ける世界 生まれてしまって 狼狽えても遅い それでも 美しいと奪われてしまうことも 奇跡のように容赦ないのだね 今も せめて笑ってね 見ていてね 歌っていてね その歌声を呼吸にして 咲いて 枯れて 放物線上 星になるまで

          COSMOS

          朝。 晴れ。 母を迎えにいく。 窓辺の光に祈りながら 「COSMOS」を歌った。 「君に似てる  愛だけがそこにある」 歌声は 空気震わせて 心震わせていたよね。 傷んでもいいから 放たれ続けていた 祈りに 愛に辿り着きたい。 歌っていたあなたは いつもそこにいるよね。 風は強くとも 光る窓辺はここにある。 光窓辺がなくとも ここにいたあなたが 歌を忘れさせない

          frozen flower

          人は、その姿の形の中へ入る前から 収まりきれないほどの 大きい愛の存在でいる あなたは 愛されることを模索するよりも その大きさに見合うほど愛したいのだ ひとつのコップが そのものとそのものでないものとで ここで浮き彫りになる世界で あなたそのものとしての愛の姿 味わうべき本来の姿のひとひらを その小さな姿の外へ見つけた だからそれに手を伸ばしていい 期待に喜び、失って悲しみ、奪われて怒り 触れることを望み 満たされることを望む 与えられた小さな器が差異に軋むからだ

          frozen flower

          nowhere,anywhere

          悲しみを語るとき、根底にある愛が香る気がする。 怒りを語るときには、悲しみを。 愛を告げるときには、沈黙の中に祈りと孤独の星霜を。 その上に広がる空とやがて咲く花。 花を愛でる指先、空の掌が、諦め、掴めなかったもの。 その掌へ、渡したいものは。 沈黙も伝えることも等しくできるだけ優しいものでありたい。 できるだけ。 差し出す場所は、愛する人達がいる同じ世界の中だから。 悲しいより前、憤るよりも手前で。 伝わるように丁寧に。 或いは語らないこと。 根元が愛ならそれが屈折す

          nowhere,anywhere

          雪を聴く

          雪の降る景色が好きだ。 雪のサラサラ、パチパチと降る音。 藪の中でけものが動く音。 呼吸の音。 凍てつく景色の中で意識と体温が明瞭になる。 降る雪が俄かに白い空へ逆巻いてゆくような、正しい孤独に立ち会うのが好きだ。 本を読むのは雪を聴くことに似ている。 静寂の中でこそ交わせる対話を知っている人は喧騒の無音も知っている。 真昼の中に夜を見つけ、真夜中の泉の気配を辿ることができる。 雪あかりや月へ手を伸ばす人。 けれどその頬と手は青白く眩い。

          雪を聴く

          月の灼熱

          月を見る。 あの白さ、輪郭、グレージュの起伏。 滑らかさと奏でられている濃淡。 降り積もる雪が露わにしてゆく 意識の微細があるだろう。 その柔らかな繊毛の先にかかる虹。 虹の閃きの奥にいつかみた夕焼け。 青空。 君の笑顔。 産まれたての小さな手のひらに燈る紅い色。 冬の河川敷で鳴っていた心臓の灼熱。 赤血球の中にも虹色はあるだろう。 祖父の硝子質の網膜に降りていたのは 冬の森の気配。 気泡が立ち上がる向こうで 羽根を広げるけもの。 死と生のあわい。時を観る。 手の中の

          アルカナ

          通りすがりの言葉  したためられた一節 たやすく安堵しては 亡霊のように綻んでゆく 同じ言葉を重ねても 輪郭が重なるように込められた意味も重なるわけではない 重ならない違和感へ着地する勇気は何ものも保証はしてくれない それでも 愛の始まりは 誰かに求め与えられるものではなく 誰も届くことのない 身代わりのできない座標へ立つこと 誰も届かない 沈黙の部屋や 静寂の庭 孤独を引き受け 一切の借り物の言葉が剥ぎ取られて 感情への定義のフレームも諦めて 誰にも取り上げられるこ

          閃光

          生かされている、限りある命の間。 手を伸ばす。 不思議なことに貴方を近くに感じる。 人は個々で未熟だと云う。 人は個々で完全だと云う。 個々が、未熟が重なれば「ひとつ」になると云う。 林檎の実は未熟ですか。 林檎の木は完全ですか。 林檎の実を集めれば「ひとつ」になりますか。 光は割れたら虹になる。 色が混ざれば黒になる。 虹が束なって光になるわけでもない。 黒は分たれないまま白を浮き彫りにする。 「私」というコップが割れて、「私」と名付けられていた水が海に還る。 次に