ARCANUM

photo×word×collage×picture.

ARCANUM

photo×word×collage×picture.

記事一覧

Stella

美しいと寿ぐ為に生きている 瞬間の中の永遠に絡め取られるまでの呼吸 月の裏側めがけ宙へ放つ意味はある さみしさの青天 俄かに瞼を伏せる曇天 青く赫く明滅しながら 器…

ARCANUM
12日前

Question

カオス(渾沌)は始源の力だ 光陰は対立ではない 闇がまやかしではない 対立は物語のためのまやかし あまりにも物語を与えられてきたこの場において 壊れゆく姿から揮発…

ARCANUM
12日前

KHAOS

カオス(渾沌)は始源の力だ 音として聴くか 言葉として綴るか 四肢を捧げて舞うか 光が降りるから影が降りる (光陰は対立ではない 闇がまやかしではない  対立は物語…

ARCANUM
3か月前

あわい

無常なるもの連続し 遍在するものの透明 明滅するあわいの いずれとも無い 閃く遊色を兆しとしてつつしむ 剥がれ落ちる計らいの鱗を祝福し 或いは喜捨する 黎明の間際…

ARCANUM
3か月前

Arjuna

たとえば、私はそれが好きで親しみが湧くのに、誰かはそれが苦手で嫌い。 その忌避感を自分のもののように感じることはできるけれど、私はそれが好きであるが故に私のもの…

ARCANUM
3か月前

mel

指先が温まるよりもさよならの速度が早くて 洗い流された跡が人生の全てのように思えてしまう たしかにあった手触りや呼吸する起伏 瞬きの下の虹彩の奥行き 時間という軛…

ARCANUM
3か月前

波羅蜜2

私は祝福する 孤独と無音のあわいに立ち 凛とする静寂が震えるのを 神により人が被造されたなら 創造が人を美しくする その魂により 死の中に生を見出すなら 痛んでもなお…

ARCANUM
3か月前

波羅蜜1

晴天と花と雪のあいだに偲ぶ気配。 放物線を描いて届きますように。

ARCANUM
3か月前

白日

雪が降る 桜の花びらのまぼろし 旅の終わりのような陽だまり 花が気泡を放ちながら咲く 風に揺れるにおい 降る雪の中に春を思った日 そのどれもから香った 俯いて微笑む貴…

ARCANUM
4か月前

流星の庭

愛溢れる世界 痛み溢れる世界 生まれ続ける世界 死に続ける世界 生まれてしまって 狼狽えても遅い それでも 美しいと奪われてしまうことも 奇跡のように容赦ないのだね 今…

ARCANUM
4か月前

COSMOS

朝。 晴れ。 母を迎えにいく。 窓辺の光に祈りながら 「COSMOS」を歌った。 「君に似てる  愛だけがそこにある」 歌声は 空気震わせて 心震わせていたよね。 傷んでも…

ARCANUM
4か月前

frozen flower

人は、その姿の形の中へ入る前から 収まりきれないほどの 大きい愛の存在でいる あなたは 愛されることを模索するよりも その大きさに見合うほど愛したいのだ ひとつのコ…

ARCANUM
4か月前

nowhere,anywhere

悲しみを語るとき、根底にある愛が香る気がする。 怒りを語るときには、悲しみを。 愛を告げるときには、沈黙の中に祈りと孤独の星霜を。 その上に広がる空とやがて咲く花…

ARCANUM
4か月前

雪を聴く

雪の降る景色が好きだ。 雪のサラサラ、パチパチと降る音。 藪の中でけものが動く音。 呼吸の音。 凍てつく景色の中で意識と体温が明瞭になる。 降る雪が俄かに白い空へ逆…

ARCANUM
5か月前
1

月の灼熱

月を見る。 あの白さ、輪郭、グレージュの起伏。 滑らかさと奏でられている濃淡。 降り積もる雪が露わにしてゆく 意識の微細があるだろう。 その柔らかな繊毛の先にかかる…

ARCANUM
5か月前

アルカナ

通りすがりの言葉  したためられた一節 たやすく安堵しては 亡霊のように綻んでゆく 同じ言葉を重ねても 輪郭が重なるように込められた意味も重なるわけではない 重な…

ARCANUM
5か月前

Stella

美しいと寿ぐ為に生きている
瞬間の中の永遠に絡め取られるまでの呼吸

月の裏側めがけ宙へ放つ意味はある

さみしさの青天
俄かに瞼を伏せる曇天
青く赫く明滅しながら
器を内より満たす水の歓びを 天に地に捧げ
懐かしい血潮に悦んでいる
帰天するまで翳し続ける

多くのものが朽ちたあと
その物語を拾い上げて芽吹き始める
小さな手の中で無限は完成される

宇宙において
天と地が離れているからその間で花が

もっとみる

Question

カオス(渾沌)は始源の力だ

光陰は対立ではない 闇がまやかしではない
対立は物語のためのまやかし
あまりにも物語を与えられてきたこの場において
壊れゆく姿から揮発する生を嗅ぎ取る

借り物の言葉は必要ない
どう震えて血肉に還しているかを聞きたい

KHAOS

カオス(渾沌)は始源の力だ
音として聴くか 言葉として綴るか
四肢を捧げて舞うか
光が降りるから影が降りる

(光陰は対立ではない 闇がまやかしではない
 対立は物語のためのまやかし)

貴方が(わたしが)
それをなんと呼び祝福したか
祝福とは名を与え輪郭を与え取り上げること
光あれと言う閃光 光を裂いて与えられた色

光も闇も祈りの形態
あまりにも物語を与えられてきたこの場において
渾沌
光と闇

もっとみる
あわい

あわい

無常なるもの連続し
遍在するものの透明

明滅するあわいの
いずれとも無い

閃く遊色を兆しとしてつつしむ

剥がれ落ちる計らいの鱗を祝福し
或いは喜捨する

黎明の間際に
群青の音色を聴き取る

赫く赫く
国産みの奔流の如く翳す

Arjuna

たとえば、私はそれが好きで親しみが湧くのに、誰かはそれが苦手で嫌い。
その忌避感を自分のもののように感じることはできるけれど、私はそれが好きであるが故に私のものではないと認識できる。

共感は、そのものになることではない。
そのものになるということは自分の座標を捨てた錯覚だ。

たとえば、誰かと交流して胸の中心が熱く充足する体感がある。それがほんの僅かなやり取りでもだ。
その人を感じた自分がいるよ

もっとみる

mel

指先が温まるよりもさよならの速度が早くて
洗い流された跡が人生の全てのように思えてしまう

たしかにあった手触りや呼吸する起伏
瞬きの下の虹彩の奥行き

時間という軛の周りで
光や影や星や花は奔流している
氾濫している

小さい人の形にすぎない暫定の私も
軛の淵にも外にも氾濫しているけれど

この容で見る何もかもは
微笑み返す前に
殴りつける前に
握り返す前に
輪郭が失われてしまう

奔流の境界で

もっとみる

波羅蜜2

私は祝福する
孤独と無音のあわいに立ち
凛とする静寂が震えるのを

神により人が被造されたなら
創造が人を美しくする
その魂により
死の中に生を見出すなら
痛んでもなお
魂により分かち難い
被造と創造の循環の中で
寄り添うことができる

貴方は美しいと指差す
その景色に立つ貴方も
また美しい

波羅蜜1

波羅蜜1

晴天と花と雪のあいだに偲ぶ気配。
放物線を描いて届きますように。

白日

雪が降る
桜の花びらのまぼろし
旅の終わりのような陽だまり
花が気泡を放ちながら咲く
風に揺れるにおい
降る雪の中に春を思った日

そのどれもから香った
俯いて微笑む貴方の横顔は
蜜を揺らすようにゆったりと眩む
遠いようでいて
懐かしくて
まだ見ない
新しい日のようで

流星の庭

愛溢れる世界
痛み溢れる世界
生まれ続ける世界
死に続ける世界
生まれてしまって
狼狽えても遅い

それでも
美しいと奪われてしまうことも
奇跡のように容赦ないのだね
今も

せめて笑ってね
見ていてね
歌っていてね

その歌声を呼吸にして
咲いて
枯れて
放物線上
星になるまで

COSMOS

朝。
晴れ。
母を迎えにいく。
窓辺の光に祈りながら
「COSMOS」を歌った。

「君に似てる
 愛だけがそこにある」

歌声は
空気震わせて
心震わせていたよね。

傷んでもいいから
放たれ続けていた
祈りに
愛に辿り着きたい。

歌っていたあなたは
いつもそこにいるよね。

風は強くとも
光る窓辺はここにある。
光窓辺がなくとも
ここにいたあなたが
歌を忘れさせない

frozen flower

frozen flower

人は、その姿の形の中へ入る前から
収まりきれないほどの
大きい愛の存在でいる

あなたは
愛されることを模索するよりも
その大きさに見合うほど愛したいのだ

ひとつのコップが
そのものとそのものでないものとで
ここで浮き彫りになる世界で

あなたそのものとしての愛の姿
味わうべき本来の姿のひとひらを
その小さな姿の外へ見つけた
だからそれに手を伸ばしていい

期待に喜び、失って悲しみ、奪われて怒り

もっとみる
nowhere,anywhere

nowhere,anywhere

悲しみを語るとき、根底にある愛が香る気がする。
怒りを語るときには、悲しみを。
愛を告げるときには、沈黙の中に祈りと孤独の星霜を。

その上に広がる空とやがて咲く花。
花を愛でる指先、空の掌が、諦め、掴めなかったもの。
その掌へ、渡したいものは。

沈黙も伝えることも等しくできるだけ優しいものでありたい。
できるだけ。
差し出す場所は、愛する人達がいる同じ世界の中だから。

悲しいより前、憤るより

もっとみる

雪を聴く

雪の降る景色が好きだ。

雪のサラサラ、パチパチと降る音。
藪の中でけものが動く音。
呼吸の音。
凍てつく景色の中で意識と体温が明瞭になる。
降る雪が俄かに白い空へ逆巻いてゆくような、正しい孤独に立ち会うのが好きだ。

本を読むのは雪を聴くことに似ている。
静寂の中でこそ交わせる対話を知っている人は喧騒の無音も知っている。
真昼の中に夜を見つけ、真夜中の泉の気配を辿ることができる。

雪あかりや月

もっとみる

月の灼熱

月を見る。
あの白さ、輪郭、グレージュの起伏。
滑らかさと奏でられている濃淡。

降り積もる雪が露わにしてゆく
意識の微細があるだろう。
その柔らかな繊毛の先にかかる虹。

虹の閃きの奥にいつかみた夕焼け。
青空。
君の笑顔。
産まれたての小さな手のひらに燈る紅い色。
冬の河川敷で鳴っていた心臓の灼熱。
赤血球の中にも虹色はあるだろう。
祖父の硝子質の網膜に降りていたのは
冬の森の気配。

気泡が

もっとみる

アルカナ

通りすがりの言葉  したためられた一節
たやすく安堵しては 亡霊のように綻んでゆく

同じ言葉を重ねても
輪郭が重なるように込められた意味も重なるわけではない
重ならない違和感へ着地する勇気は何ものも保証はしてくれない
それでも

愛の始まりは 誰かに求め与えられるものではなく
誰も届くことのない 身代わりのできない座標へ立つこと

誰も届かない 沈黙の部屋や 静寂の庭
孤独を引き受け 一切の借り

もっとみる