雪を聴く
雪の降る景色が好きだ。
雪のサラサラ、パチパチと降る音。
藪の中でけものが動く音。
呼吸の音。
凍てつく景色の中で意識と体温が明瞭になる。
降る雪が俄かに白い空へ逆巻いてゆくような、正しい孤独に立ち会うのが好きだ。
本を読むのは雪を聴くことに似ている。
静寂の中でこそ交わせる対話を知っている人は喧騒の無音も知っている。
真昼の中に夜を見つけ、真夜中の泉の気配を辿ることができる。
雪あかりや月へ手を伸ばす人。
けれどその頬と手は青白く眩い。
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