樹木医Sakurai

樹木医Sakuraiが植物情報や柑橘情報を発信します。 樹木医21期。造園会社勤務。

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最近の記事

柑橘日記【スターライトネーブル】

品種名: スターライトネーブル 血統: 白柳ネーブルの枝変わり アーニャは1つ目のステラを獲得したことで、周囲の友達にスターライトアーニャと呼ばせていたが、 この品種は枝変わりにより黄色を獲得したことで、スターライトネーブルの称号を与えられた。 通常のネーブルより黄色くなることで、酸味がプラスされると思いきや、味は甘味が強化され、逆に酸味は減っていると思う。 枝変わりで色が赤に近づいて甘くなる品種はたくさんある。 例えば… 夏みかん(黄)→甘夏(薄オレンジ色)→紅甘夏(

    • 柑橘日記【セミノール】

      名前: セミノール 出場: 35試合 105打数 27安打 打率.257 5本塁打 強打を期待され入団した助っ人外国人。 開幕スタメンを勝ち取るも、自慢の打撃で結果を残せず不調のまま5月途中に左足首にケガをしてスタメン落ちし、そのまま登録抹消。その後再登録の兆しがないまま自由契約へ。 …という妄想をしてしまう名前(失礼) 本当の血統は、 ダンカングレープフルーツ×ダンシー という、グレープフルーツとオレンジの交配で誕生したアメリカ生まれの品種。実は日本に来てから60年以

      • 柑橘日記【春峰(しゅんぽう)】

        品種名: 春峰(しゅんぽう) 血統: 清見×水晶文旦 一風変わった味がするみかん、春峰。 最初全然食べ慣れなくてなかなか手が伸びなかったんだけど、2個目の1房目を食べてからだんだん美味しく感じてきて最後の頃は食べ足りなくなってもっと欲してた…恐ろしい子。 まるで、最初聴き慣れないから遠ざけてたけどだんだん耳馴染みがよくなっていって、そこから長きに渡ってハマり続けるミスチルのカップリング曲みたい。 その気になる味は、明度が高い甘さはないんだけど、色んな甘さがミックスされた

        • 柑橘日記【デコポン】

          品種名: デコポン 血統: 清見×中野3号ポンカン 知名度が高くキャッチーな名前の高級柑橘といえばデコポン。 デコポンといえばその変わった凸型のフォルム。この形は唯一無二…と言いたいところだが、不知火(しらぬい)という品種も同じフォルムをしている。 …では、両者の違いは何なのか? 実はデコポンも不知火も同じ種類で、「糖度13度以上かつ酸度 1.0 %未満」の条件を満たした不知火がJAを通して販売される場合にだけ「デコポン」と名乗ることが出来るのだ。 ただでさえ強い戦闘民

        柑橘日記【スターライトネーブル】

          柑橘日記【トロビタオレンジ】

          品種名: トロビタオレンジ 血統: ワシントンネーブルの交雑種 トロビタオレンジは、先日紹介した、日本の柑橘業界発展に大きく貢献した清見の親品種の1つである。 味はとてもよく、種は入るけど甘味と酸味のバランスがよいのに加え、さわやかな香りもほとばしる。 最初「トロビタオレンジ」という名前を聞いた時、どこかの地方の名前かなと思った。アメリカのカリフォルニア州トロビタ地方で発見されたオレンジ…と説明されたら何の疑問も持たずに受け入れてしまいそうだ。 この「トロビタ(trov

          柑橘日記【トロビタオレンジ】

          柑橘日記【レモネード】

          品種名: レモネード 血統: レモンの交雑種 レモネードは、通常、レモン汁に蜂蜜などの甘味を加えて調整した飲み物のことを指す。 このレモネードという品種は、既に甘味が調整されていると錯覚するほど酸味がほどよく甘酸っぱい果汁をもつ、まさにレモネードを食べている感じだ。 レモネードを絞ったら甘味を加えずともさぞかし美味しいレモネードになるのでは?と思い、まずはレモネードの定義を調べてみた。 すると、レモネードとは「レモンの果汁に甘味をつけて冷水で割った飲み物」と書かれていた。

          柑橘日記【レモネード】

          柑橘日記【清見(きよみ)】

          品種名: 清見 血統: 宮川早生×トロビタオレンジ 存在が偉大すぎる柑橘といえば清見。 日本で初めて温州みかんとオレンジの交配に成功したのが清見であり、みかんとオレンジの掛け合わせを示すタンゴール(みかんを表すタンジェリンのtang+オレンジのor)という分野自体を切り拓いた草分け的品種。 せとかも、不知火も、せとみも、はるみも、はれひめも、紅まどんなも、血統を遡ると全て清見にいきつく。 そして今あなたが食べている柑橘も、清見がなかったら誕生していなかったかもしれない。進

          柑橘日記【清見(きよみ)】

          柑橘日記【湘南ゴールド】

          品種名: 湘南ゴールド 血統: 黄金柑×今村温州 柑橘の中に陽キャ陰キャがあるとすれば、湘南ゴールドは確実に陽キャであろう。 親の黄金柑から受け継いだトロピカルな果汁と、種が入らなくて剥きやすい温州みかんの性格を引き継いで、さらには湘南という陽成分たっぷりな地名に「ゴールド」なんてついちゃったらそりゃあウェイウェイしちゃうよな。おそらく休日はサーフィンにいそしんでるであろう。 黄色系柑橘を食べたことない人はぜひ手に取ってみてほしい。 お肌の色からは想像つかない甘さにびっく

          柑橘日記【湘南ゴールド】

          柑橘日記【紅甘夏】

          品種名: 紅甘夏 血統: 甘夏の枝変わり 枝変わりとは、樹の一部分の枝だけが違う形質を示す現象のことで、いわゆる突然変異のひとつ。 部分的に枝の性質が変わったからと言って、そこを採って育てても、その性質が消えてしまったり、ちゃんと育たなかったりする…そんな狭き門を潜り抜けた猛者たちだけが品種として生き残る。 この紅甘夏は、甘夏の枝変わりとして知られている…が、なんと、その甘夏も夏みかんの枝変わりである。 すなわち紅甘夏は枝変わり2進化属で、言わば枝変わり界のサラブレッド的存

          柑橘日記【紅甘夏】

          柑橘日記【ブラッドオレンジ タロッコ】

          品種名: ブラッドオレンジ タロッコ 血統: 不明。発祥はイタリア。 ブラッドオレンジといえばモロとタロッコ。そんなブラッドオレンジ二強のうちのひとつ。 こないだ生搾りブラッドオレンジジュースを宇和島で頼んだ際、店員さんに「何の品種ですか?」と聞いた。 返ってきた答えは、まさかの「モロッコ」だった。 答えにたじろぎながらも、生搾りジュースが入ったでかい透明なビンを確認すると、大きめのタロッコと、小さめのモロが入っていた。 つまりは、店員さんはタロッコとモロがミッ

          柑橘日記【ブラッドオレンジ タロッコ】

          柑橘日記【河内晩柑(かわちばんかん)】

          品種名: 河内晩柑 血統: 不明。文旦から派生したと言われている。 大正時代に発見されてから、現在も第一線で活躍するスーパーベテラン柑橘。 しかも、3月後半くらいから店頭で姿を現すと、夏前までしばらく居座り続ける、活躍する期間も異常に長い柑橘会の大御所芸能人。 なぜそんなにも活躍の場が多くて長いのか…だって代えがいないのだもの。 河内晩柑がいなくなったら、その代えが務まる柑橘などいない…そんな大きな存在。 美生柑、愛南ゴールド、宇和ゴールド、ジューシーオレンジ、ジューシー

          柑橘日記【河内晩柑(かわちばんかん)】

          柑橘日記【農6】

          品種名: 農6 血統: キングマンダリン×無核紀州 正式名称はかんきつ中間母本農6号、通称農6。 育種のために生み出された研究用の品種…のはずがその味の良さから販売されるようになった品種。 柑橘の勉強しなければ出会いようがなかった品種ランキングがあるとすれば、確実に上位に食い込む謎の名前。 こんな名前に反応して購入する一般層はそういない。 肝心の味は、とても濃くて美味しい。酸味も甘味も濃くて、親のマンダリンの味をそのまま引き継いでると思う。 しかも、血糖値上

          柑橘日記【農6】

          柑橘日記【せとか】

          品種名: せとか 血統: 口之津37号(清見×アンコールNo.2)×マーコット 先日、柑橘ソムリエという資格を取るべく宇和島へお邪魔した時の事、 試験期間中に、先輩柑橘ソムリエに宇和島のスーパーで売ってたマーコットをお裾分けしたところ、返礼品として受け取ったのがこちらのせとか。 せとかは、親の一方が「口之津37号」という清見とアンコールNo.2を掛け合わせた品種で、もう片方の親がマーコットという品種である。 このせとかの親品種にあたるマーコットを渡したら、より品種改良の進

          柑橘日記【せとか】

          アブラチャンの黄葉

          アブラチャンの黄葉グラデーション。 何を隠そう、アブラチャンといえば、公式に「ちゃん」付けされている唯一の樹木なのである。よって、アブラチャンに親しみを込めて呼ぶ際はアブラチャンちゃんになる。 …というのは冗談で、「チャン」とはザックリ言うと油のことで、「アブラ」はもちろん油のことなので、アブラチャンは訳すと油油になる。 …というのは半分冗談で、アブラチャンは実にも材にも油分を多く含むので、そんな名前がついている。決して小ぶりな葉っぱがかわいいからちゃん付けした訳ではな

          アブラチャンの黄葉

          どんな紅葉を美しいと思うか

          ここ数年、この季節になると紅葉(黄葉)の色集めを行っている。 やることは綺麗な落ち葉を拾って、グラデーションになるよう並べなおして記録するだけなのだが、これを大げさに言うと色集めになる。 論文を書くために行っているわけではないので、科学的根拠としては乏しいのだが、やってみるとジワジワと楽しい。 例えば、紅葉の代表種イロハモミジを色集めするとこうなる↓ モミジといえば紅葉(こうよう)。 紅葉(こうよう)といえばモミジ。 紅葉(こうよう)と書いて紅葉(モミジ)と読ませるほどに

          どんな紅葉を美しいと思うか

          ショクダイオオコンニャクの美

          東京の小石川植物園でショクダイオオコンニャクが咲いたというニュースを聞き、観に行ってきた。 まずは、簡単にショクダイオオコンニャクを説明している下記のショート動画をどうぞ。 このショクダイオオコンニャク、自生地のボルネオ島では、約7年に1度しか 花を咲かせない。日本の植物園では種から花を咲かせるまで10数年かかるらしい。1年で咲くような植物のサイクルを考えると、これはとても長いように思える。 一方、僕は齢30半ばを過ぎているが、一向に咲く気配がない。 もし僕が咲いたらニ

          ショクダイオオコンニャクの美