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記事一覧
鴨東物怪録4「目借どき」
( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/ne308590228d1 )
顔拭いて顔細りけり目借どき 岸田稚
春眠暁を覚えずと言うが、季節を問わず二日酔いに朝は訪れない。となると、春の二日酔いには昼さえやってこない。意識を取り戻したときには、短針はすでに右上を指している。
そういったわけで、目覚めたときにはとうに昼を過ぎていた。
どこにいるのか把握する
鴨東物怪録3「流し雛」
( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/nd5719e33f042 )
流し雛堰落つるとき立ちにけり 鈴木花蓑
呼び出されて表へ出ると、大家の老婆が、手のひら大の丸い藁を手に、門前で待っていた。
藁の中央には、かろうじて一対の男女だということが分かるシンプルな人形(ひとがた)が載っている。大家曰く、去年の雛祭りの日に下鴨さんで買った雛人形らしい。家の穢
鴨東物怪録2「節分」
( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/n89e6d7917755 )
節分の宵の小門をくぐりけり 杉田久女
諷詠館に越してから一月も経たないのに、その間に不思議なことが立て続けに起こっている。そこで、大家の老婆に相談したところ、馴染みの霊媒師を紹介してくれるという話になった。
果たして信用してよいものか疑問ではあったが、霊媒師というのがどんなものか