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鴨東物怪録

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記事一覧

鴨東物怪録5「祭」

鴨東物怪録5「祭」

( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/n439963b1200b )

呉竹のよよにあふひの祭かな  三浦樗良

 世の中には、二種類の大学生が存在する。一つは、四月には心機一転勉学に精を出そうとするも、ゴールデンウィークという高い壁に阻まれ、ひと月後には挫折している大学生。もう一つは、四月すらまともに講義に出ない大学生である。しかし、たとえ後者のように講義に

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鴨東物怪録4「目借どき」

鴨東物怪録4「目借どき」

( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/ne308590228d1 )

顔拭いて顔細りけり目借どき  岸田稚

 春眠暁を覚えずと言うが、季節を問わず二日酔いに朝は訪れない。となると、春の二日酔いには昼さえやってこない。意識を取り戻したときには、短針はすでに右上を指している。
 そういったわけで、目覚めたときにはとうに昼を過ぎていた。
 どこにいるのか把握する

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鴨東物怪録3「流し雛」

鴨東物怪録3「流し雛」

( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/nd5719e33f042 )

流し雛堰落つるとき立ちにけり  鈴木花蓑

 呼び出されて表へ出ると、大家の老婆が、手のひら大の丸い藁を手に、門前で待っていた。
 藁の中央には、かろうじて一対の男女だということが分かるシンプルな人形(ひとがた)が載っている。大家曰く、去年の雛祭りの日に下鴨さんで買った雛人形らしい。家の穢

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鴨東物怪録2「節分」

鴨東物怪録2「節分」

( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/n89e6d7917755

節分の宵の小門をくぐりけり   杉田久女

 諷詠館に越してから一月も経たないのに、その間に不思議なことが立て続けに起こっている。そこで、大家の老婆に相談したところ、馴染みの霊媒師を紹介してくれるという話になった。
 果たして信用してよいものか疑問ではあったが、霊媒師というのがどんなものか

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鴨東物怪録1「寒の入り」

鴨東物怪録1「寒の入り」

抽斗の重きを寒の入りとせり   森賀まり

 喧嘩をして家を出たのだから、贅沢を言っていられる立場ではないのは分かっていた。しかし、まさか空調もない下宿屋に厄介になるとは思わなかった。

 それは、地震があれば真っ先にぺしゃんこになることは間違いない、家賃三万管理費無しと立地の割に手頃なのも頷ける外観の物件だった。しかし、冬休みのうちに越してしまいたかったのと、不動産屋からの強い勧めで、その日のう

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