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映画秘宝再々創刊、って大丈夫か?

 XのTLでこの話が流れてきた時は「マジで?」だった。しかしこの一言は九割方「大丈夫か?」というニュアンスである。

 出版元の解散ゆえに惜しまれつつも休刊した時と違い、二度目の休刊はまるで様相が違っていた。当時の編集長が起こした不祥事と、それの後処理が全て悪手だったこと。そこから明るみになった編集部内の軋轢。創刊時を支えていた主要ライターが雑誌から既に距離を置いてて、さらに独自の声明や退職を発表したあたりから「あ、これはもうダメな流れだ」と思っていたらやはりそうなった。まさに真逆。

 思えば秘宝という雑誌は「『キネ旬』みたいな映画の語り口なんか要らん!俺たちが読みたい映画評論はこれだ!」とばかりに、文字通り映画&評論界隈に殴り込みをかけた一冊だった。その企みは成功し、MOOKから隔月化、ついには日本で一番売れてる映画雑誌になったのは揺るがない事実である。実際MOOK版は読んでて楽しかったし、隔月化してからも最新作はもちろんそれらに合わせて旧作映画の特集をガッツリと組んでくれるのは実に嬉しかった。

 それだけに二度目の休刊は「そんなことで終わるのかよ……」というガッカリさが先に来てしまった。その際は「この手の評論は二十世紀末から続いたサブカル文化の延長線上にあり、それが終焉の時を迎えた」といった文章を見かけて、そういうものなのか、などと黄昏れていたものだが……そんな雑誌が再々創刊するという。終焉なんてどこへやら、根っこがとんでもなく強い草のようである。

 ただ関係者も入れ替えたとはいえ、はたしてその内容はいかほどか。反応をざっと見た限りでは、やはり「それで大丈夫なのか?」という声が大きいようだ。元の雑誌に携わった方が「今後も関わる意思はない」とポストするのでは、先行き不安でしか無い。

 自分としては、少なくとも最初の休刊と同時に止まってしまった『特撮秘宝』の復活を強く希望する。ただ関係者が大きく入れ替わった環境下で、あの時と同じ濃い文章を書けるライター諸氏が集まってくれるのかどうか。
 
 「九割方は『大丈夫か?』」と書いたが、特撮秘宝の復活はさらに九分九厘無さそうな気がしてきた。とりあえず来年、どう刷新されたかは見届けておきたい。

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