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新井の漫画感想『二月の勝者』6巻

10月発売『二月の勝者』6巻。今日やっと最新刊を読みました。このマンガ、大好きです。

中学受験を題材にしており、吉祥寺にある「桜花ゼミナール」という架空の塾が舞台ですが、作者が2年以上入念な取材してできたこの作品は、デフォルメされていながらリアル。謎もあってマンガとしてとても面白いと思います。

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テレビでも紹介されてるそうですが、扱っている題材はやはり中学受験、それもほとんど東京だけなので非常にニッチです。

このサイトによれば首都圏(なぜか私の地元群馬を除く)の中学受験生は6万人。東京で大学受験を5年間仕事にしてきた私にはピンとくる名前の学校も多く、偏差値帯も想像できて「成績下がってこの学校目指すのね、わかる〜」「お、文化祭のモデルになってるのこの学校だな」と楽しめます。しかし大半の読者はそうではないのではないでしょうか。

首都圏以外の人(私の地元群馬も含めて)は、東京を中心とした私立中高一貫校の名前など開成などごく一部を除いてほとんど知らず、地元の公立中学校から公立高校を目指す場合がほとんど。ではなぜ、このニッチなマンガが人気なのでしょうか。

確かにさっき書いたように今作はマンガとして面白いです。しかしそれだけで人気が出るものではありません。

中体連のサイトを見ると、一番競技人口の多い男子サッカー18万人なので1学年約6万人。しかしこれは全国で見たらの話で、関東に絞れば学年の人数は2万人程度まで減ります。関東の男女のサッカー、野球、バスケ部人口を合計すると、やっと1学年6万人程度となり、中学受験をする人数と並びます。

おお、首都圏における中学受験生というのはメジャー部活の人口と同じくらいいるのか、とそこでやっと気付きました。余談ですが高校野球は高野連の公式ページによれば1学年4万8千人(初めて学年5万人を切ったそうです)。

しかも受験生の親というのは単純に考えて倍います。過去ウン十年と中学受験した当事者、その保護者、これから中学受験を考えている保護者、そして私のような受験関係者も含めれば読者層はどれほど多いことか!更に更に、それだけ刺さる人がいながら中学受験を真剣に描いた作品がなかったのも大きいです。少し調べても母親のエッセイマンガくらいしか出てきませんでした。客観的に、様々な視点が見られる本作の人気は、出るべくして出たと言えるでしょう。

しかしこの、過去に例のないジャンルに挑戦して面白い作品にした高瀬志帆先生、スピリッツ編集者の方は本当にすごいですね。誰かの模倣ではなく、潜在的なニーズを見つけて商品を作る。こういうことをしたいですね。受験マンガは『ドラゴン桜』が大人気で、今も2を連載していますがあれは大学受験でしかも勉強法に力を入れているので、高校野球と少年野球くらいジャンルに違いはあるかな、と思っています。



ちなみに、前の職場の上司が黒木先生に似てたのでこの作品を進めたところ共感できると言っていました。さすが灘中受験生を指導していた方。元気にされているかな。

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