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(株)遊人がネットショップ「家飲み料理専門店ぎんすけ」を立ち上げクラファンで460万円の共感を得られた道筋とは?【対談取材】

※取材の2日後、クラウドファンディング
500万円を達成されました!
2020.05.08

noteへの投稿2回目にして、早くもゲストに登場頂くことになりました。
私が取材を熱望したお相手である株式会社遊人 麻田俊樹さんです。クラウドファンディングにて現在進行形で460万円の共感・購入予約を獲得中の取組について取材をさせて頂きました。


【取材のいきさつ】
緊急事態宣言が出された2020年4月7日に、私はネット上に「家飲み料理専門店」というショップを見つけて大変興味を持ちました。しかしその数時間後にそのショップサイトに「OPEN延期のお知らせ」が出されました。。
約2週間後、4月25日になって、クラウドファンディングサービスのMakuakeにて改めてOPENが告知され、「外出自粛により、飲みに行けない多くの人に、心弾むような専門店の料理を楽しんでもらいたい!」という想いに共感が集まり2020年5月6日現在、残り2日間の募集期間を残して460万円を超える先行購入を獲得しています。その手法に迫ります。


【対談取材した人】麻田俊樹さん

株式会社遊人 代表取締役。
1983年兵庫県生まれ。 大学卒業後、飲食店で修業し、2014年大阪で「焼鳥と焼野菜ぎんすけ」を創業、2015年株式会社遊人を設立。 地域で多くの方に愛され繁盛し、「焼鳥と焼野菜ぎんすけ」を3店舗、「魚と炭火炉ばたのぎんすけ」を2店舗、計5店舗を5年で出店、運営している。 お店のコンセプトは「日常の贅沢。」 食材は日本全国から取り寄せ、塩や醤油などの調味料にまでこだわり、「またこのお店の料理が食べたい!」「また来たい!」と思って頂ける料理、おもてなしに力を入れている。

※この事例を読んで頂く際のご注意
ご本人もおっしゃっていることですが、この事例が「現在進行形の事例」である為、時間の経過を待たないとそれが「成功事例」であるかどうかは断言できません。ただ、コロナショックの最中にあって、今後の飲食業の動きを追いかける為に非常に参考になる1つのケースであることは間違いないと思い紹介しています。自店舗にどの部分を取り入れるか、または取り入れないかは、ご自身の慎重なご判断に寄って決めて頂ければと思います。また、飲食業界全体が今後の方向性を模索している状況で、必要な情報だと考えて全体に公開を認めて頂いていますが、株式会社遊人さんの固有のノウハウが多く含まれているので、後に有料記事に設定する等して公開を限定させて頂く可能性がございます。ご興味頂ければテキストコピーをおすすめします。


それでは!早速、色々とお聞きしていきます。

荒井静雄(以下、荒井):
「開封するだけで食卓が居酒屋に!」ということで、居酒屋さんの料理を自宅で食べられるようにと、居酒屋料理の宅配事業を立ち上げられました。この取組を始めようと思ったきっかけは何だったんですか?また「家飲み料理専門店」で行こうと思ったのはなぜですか?

麻田俊樹さん(以下、麻田):
もちろん、コロナショックがきっかけです。世の中がこういうことになる直前に新店舗をOPENしたんです。だから丁度資金的にも大きなキャッシュアウトをした直後でタイミングが悪く、何か売上を作らないと本当に怖かった。社運をかけてと言ってもおかしくないと思います。3月末ぐらいにやろうと決めて、4月7日に通販サイトをBASE(月額費用0円でオンラインショップを立ち上げられるサービス)を使って立ち上げました。

荒井:
その日、すぐにサイトを「準備中」に変えてOPENを延期されましたね。その理由もお聞きしたくて。

麻田:
見られてたんですね(笑)そうなんです。理由は1つだけで、商品の賞味期限を自分たちで勉強して実際に試して、大丈夫と確信して設定していたのですが、いざお客様に買ってもらうとなると、やっぱり第三者である専門機関さんに調べて貰おうと。だから掲載後2時間ぐらいでサイトを準備中に変えて、細菌検査を専門機関に依頼しました。2週間はその検査期間だったんです。

荒井:
そして2週間後、クラウドファンディングサービスのMakuakeさんでの先行OPENという形を採られました。どういう意図だったんですか?

麻田:
自社のサイトをOPENするだけでは、認知が足りなくて売れないと考えました。たくさんの人に知って頂く方法を考えたときに、これだと思いました。
外出自粛の今が、家飲みのニーズは一番あると思っていて、自宅で美味しい居酒屋料理を食べたい人は多いのではないかと。クラウドファンディングなら広く知って頂けるのではないかと。

荒井:
どのクラウドファンディングサービスを利用するかは、何を基準に決めたのですか?

麻田:
Makuakeさんは、今はまだ無い物や事を知らせることにこだわりがあると教えて貰って、最初はMakuakeさんにしました。
今後は他のサービスも利用して共感を集めていきたいです。ただ、順番を間違えるとMakuakeさんが使えないということになる可能性がある聞いて。それはMakuakeさんが今はまだ無い物や事にこだわられているところだから、他で世に出してしまうと扱って貰えない可能性があると先輩から聞いて。今回の募集期間が終わったら、CAMPFIREさんでも「家飲み料理専門店」というプロジェクトに共感を頂けるような企画を行う予定です。目的はおうち時間を応援する家飲み料理専門店をより多くの方に知ってもらうことなので、良いツールは使わせて貰いたいです。

※対談内容のまま記載しています。実際のサービス規定等は各社にお問合せください。

荒井:
そしてクラウドファンディングで30万円を集めるという目標設定で、実際には目標をはるかに達成して、その後も共感を集め続けられています。先ずはクラウドファンディングのページをOPENするまでの準備で気をつけたことやポイントを教えてください。

麻田:
はい。先ずはクラウドファンディングを既にやったことがある先輩や仲間に色々と教えて頂きました。目標額は自分が「これぐらい集まったらいいな」という額より少し下に設定して、「達成する」ことがけっこう重要だと。応援してくれた人たちも喜んでくれるし、共感を集めているプロジェクトだという認知がついて、さらに応援して貰いやすくなると。また、サイトに掲載する写真などのビジュアル面も、自分たちの伝えたいことをちゃんと表現できているかどうか、ここは別の飲食企業でデザインを専門にやっている仲間がいて、手伝って貰いました。サイトに使っている料理の写真などは全部プロに頼むと高くつくので自分の携帯で撮影していますが。Foodieというアプリを使って美味しそうに撮ってます。さらに、ページ内のメッセージを、飲食店以外の人に見て貰って、伝わるメッセージになっているかをチェックして頂きました。IT企業にお勤めの方であったり、主婦の方であったり。自分たちだけで言葉を考えると、どうしても業界内の意識が言葉に出て一般に伝わりにくいこともあると思ったので。例えば、私たちは「おうちで温めるだけで美味しい料理が食べられる!」と書いていたものを、主婦の方が「どうやって温めて、何分温めるのかを書かないと、本当に簡単なのか分からない」とおっしゃいました。そこで、「たった3分の湯煎で完成」に変えるなど、本当に皆さんに知恵を借りましたね。あと、先輩に教わったのが、「とにかく初日が大切だぞ」と。初日にぐんぐん数字が伸びることで、注目されると。なるほどと思って、この取組のことを応援すると言ってくれる仲間を自分たちの周りでしっかり作っておいて、「ページ開設の初日に、応援お願いね!」と。それで軌道に乗りました。

荒井:
なるほど!すごく具体的なノウハウですね。自分たちの周りの仲間が共感してくれていないものに、不特定多数の皆さまが共感してくれるわけがないですもんね。

麻田:
その通りだと思います。その応援のタイミングだけ、「初日にお願いね!」と。

荒井:
そこから今日まで、具体的には4月25日~5月6日までで、460万円を超える購入予約を獲得されています。ページ開設後の流れを教えてください。また、成功のポイントを分析されてますでしょうか。

麻田:
先ず流れですが、目標金額を30万円に設定して、初日に150万円の先行購入を頂きました。そのまま有難いことにぐんぐんと共感が増えていき、460万円になっています。
成功の要因として、以下のように分析しています。

【成功要因(考察)】
1.「家飲み居酒屋専門店」というコンセプトが伝わりやすかった
2.そのコンセプトに対するニーズがあった。
3.包丁いらず、手間いらずというのがうけた
4.お弁当やデリバリーでは満たせないニーズがあった

荒井:
ありがとうございます。とても分かりやすいです。補足として、4のお弁当やデリバリーでは満たさせないニーズについて、具体的にはどういうことでしょうか。

麻田:
それぞれ良い面もあるとは思いますが、デメリットもあります。
お弁当だと、「買いに行かないといけない」
デリバリーだと、「注文してから来るまでに時間がある」

その点、家飲み料理専門店だと、3分の湯煎ですぐに食べられますので、食べたいと思った時に専門店の味が楽しめます。

荒井:
なるほど!その続きでちょうど聞きたかったのが、9品セットや13品セットと品数によって価格設定されています。セットの中身の料理についてですが、もっともっとたくさんのメニューが実店舗にはあると思います。今回チョイスした料理は、どういう観点でチョイスしたのですか?

今回は、こういったメニューですね。

(セット内のお料理例)
牛タンシチュー
サワラ西京焼き
ブリ大根
牛すじ煮込み
いぶりがっこのポテサラ
ブリ腹のみりん干し
中落カルビ焼
京都ポークの豚角煮
竹の子土佐煮
ピリ辛よだれ鷄
山芋ワサビ漬け
ドライフルーツのクリームチーズ
丹波あじわい鶏の西京焼き

上記のメニューは、どんな観点で選ばれましたか?

麻田:
それも明確です。以下の5つの観点です。

①家で食べる機会が少なそうなもの
②居酒屋の雰囲気が出るもの
③プロの手が加わったもの
④日持ちが可能なもの
⑤おうちで包丁いらず、手間いらず

荒井:
それは食べたいですね!笑
クラウドファンディングについては一旦以上としまして。
次の質問ですが、この事業は何が大変ですか?

麻田:
本当は「売ること」も大変なのでしょうけど、そこは幸い一旦クリアしました。あとははっきり言って、衛生面です。最初に2週間通販ページを止めた時に賞味期限のエビデンスを取っていたと言いましたが、衛生面、食中毒のリスクを最小にしないといけません。うちは今チルド商品を送っている(5月1日から商品の発送を開始している)のですが、真空機で真空パックしたあとに中心温度が120℃の状態で20分間以上加熱しています。菌の中には100℃で死なない菌がある為です。その後に、すぐに間を置かず氷水で急冷しています。菌が繁殖しやすい温度帯を出来るだけ早く通過しないといけませんので。また、先ほど、そうざい製造業の免許を取ったと言いましたが、この事業は飲食業ではなくて「製造業」であると本当に感じています。HACCP基準を勉強して、その基準に則って商品の製造をしています。

荒井:
離れた場所にいるお客様に食べ物を届けるんですからね。

麻田:本当に怖いですよね。僕らの会社の総料理長が衛生面にとても詳しくて本当に助かっていますが、そういった方がいないと本当に怖かったです。そしてお客様のお口に届くまでに何があるのか私たちには見えませんので、「何があっても大丈夫なように」作らないといけないと思っています。今って、想像ですけど外出自粛中の家庭が多いと、運送会社さんも大忙しなのではないかと思っていて、平常時に出来ていたことが今しっかりと出来ているんだろうか・・・とか、心配なので、お客様に届くまで安全であるように、僕たちの手元を出るところまでで可能な限りの注意を払っておかないといけない。

荒井:
今現在、私の方では冷凍食品工場の方と色々とお話をしていまして、それは、飲食店の美味しい料理を冷凍食品としてOEMで製造できないかという相談をしてるんです。

麻田:
すごい興味があります。

荒井:
美味しい料理を作ることと、美味しい通販商品を製造することは別かもしれないと思いまして。

麻田:
まさにそうだと思います。私が感じているのは、今やっていることは「製造業」だぞ、細心の注意で衛生面を気を付けないといけないぞと。ただし、同時に私たちは「飲食業」なんだぞと、「サービス業」なんだぞと。「製造業」として安全な商品を作るけど、「飲食業」として気持ちをお客様に届けないといけないぞと。出来た商品を箱に詰めるだけではダメだと思っていて、気配りをしたい。お店に予約して来てくれた人にウェルカムカードを用意しておくように、宅配の箱の中にポストカードにメッセージを書いていれるなど、人の心を感じることをやっていきたい。だから、「この事業の大変なところはどこか」というご質問でしたが、この事業は「製造業」と「飲食業」を両方MAXでやっているという大変さがあって。。。充実してます。。

荒井:
めちゃくちゃ勉強になります。先ほど言った冷凍食品工場と飲食店のコラボっていうのは、まさに人の温かみと、万全の衛生管理を、マッチングしたものが出来ないかなと。

麻田:
すごく興味がありますね。

荒井:
今回は、先ずはたくさんの方に、OPENに麻田さんの取材記事を見て頂きたいと思いますので、飲食業以外の方々もご覧になりますので、食材費や各種サービスコストの中身のことは伏せますが、初期に掛かった機材等のコストだけ皆さんに教えてあげて頂けますでしょうか。

麻田:
この事業を始めると決めてから掛かったのは合計で50万円~60万円ぐらいですね。内訳は真空機は必須ですが3台で40万円ほどでした。ただしこれはとても安く買わせて貰って普通はもっと高いです。あとは、そうざい製造業の免許取得で2万円、商品シールや食品表示シール等のツールで10万円、追加で購入した冷蔵庫が10万円。ですね。

荒井:
もともとあった物で、今回の事業に必須のものは何ですか?

麻田:
うちで言えばスチームコンベクションです。大量に同時に出来るのもよいですね。

荒井:
ちなみにですが、そうざい製造業の免許を取得されたのはいつですか?取得までの流れも教えてください。

麻田:
取得は最近です。3月後半にこの事業をやるぞと決めて、保健所にお電話して、チェックしに来てくれて、設備を見て貰ってOKが出ました。
飲食店の営業許可があったら、設備のチェックだけですね。基準を満たしているかどうかですので。テストなどはありません。

荒井:
たくさん聞かせて頂いてありがとうございます。
あといくつかの質問をして終わりたいと思います。
この事業の現状の課題を教えてください。

麻田:
課題は認知向上ですね。クラウドファンディングが上手く行って最初の購入者の皆さまには応援して頂いて、良い滑り出しが出来ましたが、継続的な告知というところは、バリエーションとノウハウを増やして行きたいですね。今持っている武器としては、もともと実店舗の顧客リストを持っていて今で12,000名の実来店顧客の氏名と住所を持っています。その、実店舗の顧客に対する直接のDMはまだこの件についてはやっていないので、工夫をして興味を持って貰えるようにしたいです。お一人お一人手書きメッセージも書いて、そこにQRコードを載せて通販サイトをご紹介するなど、したいですね。それ以外にも打ち手がもっともっと欲しいです。

荒井:
リピート促進の手法は検討されていますか?

麻田:
先ずは「美味しい、また食べたい」ということかと思っています。

荒井:
私も今、「おうちで外食気分」というプロジェクトをしていて、人気の飲食店の皆さまと一緒に、ご家庭の「おうち時間」を応援しようと、「おうちにいながら、テンションが上がるプロのお食事」が食べられるという企画をやっています。そこにご出店の皆さまも、リピーター作りのノウハウを今まさに試行錯誤して作っていってらっしゃいますので、麻田さんもそこに入って色々と情報交換させてください。

麻田:
ぜひ、色々と情報交換したいです。

荒井:
最後に、今はまだ緊急事態宣言も延長されたというタイミングですが、この事業の今後の展望と、同じ飲食業の皆さまに向けてメッセージを頂けますでしょうか。

麻田:
はい。事業の展望ですが、「家飲み料理専門店」に対するニーズのピークは今この瞬間だと思っています。コロナの収束に伴って必ずニーズは落ちていくと思っています。ただし、いくらかのニーズは残ると思っていて、そのニーズをしっかり取れれば、来店売上と違って席数がないので、しっかりと自店がニーズを押さえれば売上になると思っています。ここで出来た認知やブランド力を実店舗の強みにもしていきたいと思っています。
そして、メッセージですが、この取組は飲食業の仲間からもたくさん興味を持って頂いて、問合せも頂きます。クラウドファンディングを始めた4月25日直後は、「これは新しい収益の柱として飲食業の仲間は全員やった方がいいぞ」と、思っていました。しかし、本格的に製造と出荷が始まった今は、ちょっと違います。衛生面、コンプライアンス(法律・許認可)面、本当にしっかりやらないといけない。はっきり言ってめちゃくちゃ大変です。ホスピタリティは飲食業だけど、管理は完全に製造業であり、飲食業と製造業の両方を本気でやってるというような感じです。作りたての熱々料理を目の前のお客様に食べて貰うのとは全然違う。ただし、何でもそうでしょうが、やったらやっただけ見えてくるものもあり、それがまた新しい展開を生むかもしれないと思ってます。頑張って行きましょう!
こんなんでいいですか?笑

荒井:
最高です。勉強になりました。ありがとうございました!
あ!ちなみにですが、麻田さん。5月6日の今現在、Makuakeでの先行購入が460万円を超えています。あともう少しで500万円ですね!応援購入の締切が5月8日!あと二日間ですね!

麻田さん:
そうですね、500万円いったらすごいですね、Makuakeのリンク貼っておいてくださいね(笑)

【家飲み料理専門店ぎんすけ Makuakeページ】

【家飲み料理専門店ぎんすけ ネットショップ(準備中)※5月7日現在】

【荒井プロジェクト「#おうちで外食気分」まとめサイト】

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