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『骨を彩る』彩瀬まる(2017)|読書感想文 

【本の紹介】 夢に出てきた有るはずの指のない亡き妻、元担任の葬式に来た人来なかった人、疎遠だった実父の墓参り、ゲーム友達、宗教2世のクラスメイト。ちょっとした謎とこれまでとこれからの人生。人生の機微を優しくつづった、連作短編集。


感想

淡々と問題に立ち向かう強さ

主人公たちは、それぞれに問題を抱えているけれど、主人公たちは逃げようとはせず、ひどい言葉を投げかける相手は理解しようとすらします。問題を解決するところまでは書かれていませんが、彼らなら考え続けて、きっと素晴らしい答えを出すでしょう。私は、すぐ諦めて問題を放り出してしまう人なのでそんな彼らを見習いたいです。少し勇気をもらいました。

骨と彩り

最初この本のタイトルを見た時、骨のインパクトが強くて、ホラー小説か、悲しい物語なのではないかと思ってしまいました。しかし、骨の話も少し出てきますが、決して怖い話ではありませんでした。むしろ、色彩の描写が鮮やかで、小説なのにとてもカラフルで爽やかな、温かみのある物語でした。

人生と荷物の話

古今東西、いろいろな小説に、それぞれが人生で抱えているものを荷物に例える表現が出てきます。この本にも出てきました。荷物は、軽かったり重かったり、それは時に、知識であったり、経験であったり、人間関係であったり、性格や病気であったり、いろいろなものを指していますがとても印象に残るので好きな表現です。

最後に

同じ幻冬舎文庫の作品と言うこともあって、3つ前の記事で感想を書いた『山女日記』(https://note.com/arai_nami/n/n6dbc70dab87e)と似た雰囲気でした。ただこちらの方が、登場人物たちの年齢が若干低めです。そして、主人公が男性の場合もあります。『山女日記』が重すぎた人、年齢的に合わないと感じた人にはいいかも知れません。

今回の本

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