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"Switch"〜五人の魔法使いの挑戦〜【7】

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V.I.にはないけれど。

驚きの「ウルトラマンユニ」がサンプルとして上がってきた―
この時点で初めて、彼女たちは「ユニフォームリニューアル」という現実・重責に直面したはずです。

これまでは「机上の空論」として、「あんなユニフォームが良い」「こんなユニフォームが良い」と、ある意味、言葉遊び的に議論をしてきました。
ここで一転して、サンプルユニフォームが出来上がってきたことにより、「ことの重大さ」を実感したはずです。

話し合いはすれど、どうしていいか分からない…

特にメンバーの中で、話し合われていたのが、「色」。
現状は「ピンク」。このピンクはV.I.(ヴィジュアル・アイデンティティ)にある色であり、コーポレートカラーとしても定着している色です。

今のユニフォームを変えるには、まず、“色”をがらっと変えたい―その部分から、議論がスタートしていました。
しかし、「ウルトラマンユニ」を上げてくる際のミーティングでは、その「色」について、彼女たちは押し黙っていました。

なぜなら、ピンクに変わる色…それがネイビーだからです。

ネイビーはV.I.にはそもそも設定されておらず、V.I.から大きく逸脱する色を使うには、それ相当の“根拠”が必要です。でなければ、“感覚”や“気分”で変えたと思われてしまいます。
残念ながら、彼女たちにはその“根拠”を示すことができません。なので、流されてしまったのです。

ただ、「ウルトラマンユニ」がサンプルとして上がってきた事実を突きつけられた今、彼女たちは「やっぱり自分たちがしっかりと声を上げなければいけない」と感じたはずです。
なぜなら「ユニフォームを変えたい」と言い出したのは、この若いスタッフからの発信だったからです。

そこで、一旦、自分たちが考えるユニフォームを再度取りまとめる時間を作り、メンバーで話し合いました。

彼女たちは絶対に「ネイビー」を使いたいのです。

その理由としては…
「ユニフォームのイメージを変えたい」「年配の人も着こなせる色にしたい」「男女の色を分けたくない」…という思いを持っています。

当社がブランディングを依頼している会社に問い合わせたところ、「根拠を明確にすれば、追加をすればいい」という回答をもらいました。

そこで、広報部Dと話し合い、「ネイビー」の根拠を探りました。

  1. 深く根付いてきた「藍染(あいぞめ)」により、日本で古来広く用いられた色。最も濃い紺は褐色=「勝ち色」として、武士の時代には「縁起の良い色」として好まれた。

  2. 上記の理由から、開国後の明治時代には海外から「ジャパン・ブルー」と称えられ、日本を象徴する色とされてきた。

  3. どこまでも広がる海や空、ひいては地球をイメージ。

上記理由から、あぷりの根幹を成す「日本」、そして、グローバル化してきた企業を表す「海」や「空」、そして「地球」全体へ飛び出していくという「グローカル」企業体としての姿勢を表せる色として、『あぷりグローカルネイビー』を考えました。

ベトナム×インドネシアという海外の人材が「空」や「海」を渡り、「日本」で交わり、ワンチームになるという様を表現しました。

また、サブカラーにはホワイトを採用。ホワイトは元々「あぷりダイナミックホワイト」という色が設定されています。
白は、空に浮かぶ「雲」や打ち寄せる「白波」を表現。雲や波といった「困難」を乗り越えていく強い意思を表しています。
また、色合いとしてネイビー全面のユニフォームに視覚的な重さが出るので、白、ピンクを使うことで視覚的な重さを緩和させています。

ポイントに、各施設カラーを梅の花のマークにあしらったワンポイントをつけてみました。

また、ポケットの形状も真四角にするのではなく、「花」由来の丸みを帯びた形状にしてみました。イメージは下の通りです。

メンバーはこの提案書を元に、代表とユニフォーム制作業者にプレゼンをしました。5人の内、2名はベトナム人スタッフ。「日本語がうまく話せるか不安…」と言っていましたが、彼女たちの“思い”が伝わり、このデザイン案でサンプルを作ることとなりました。

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