春から○○になる方へ(4月らしい陳腐な内容)

春から中学生になる方へ

 入学おめでとうございます。入学した学校は公立でしょうか、私立でしょうか。いずれにしても、いろんな小学校から来た知らない人が周りに増えると思います。
 自分の通っていた小学校や、所属していたクラスの文化は絶対ではありません。良くも悪くもです。
 絶対に正しいと思っていた価値観が崩壊するような出来事があるかもしれません。そんな自体に直面すると、かなり大きなショックを受けると思います。
 ただ、絶対に正しいことはない代わりに、絶対に間違っていることもありません。
 たとえ全否定されるような言葉をぶつけられても、一旦相手の立場に立って考えてみると、それだけで解決の糸口が見つかるかもしれません。ひょっとするとそう言わせてしまったのは自分の方に原因があった可能性があるかもしれません。もちろん、どう考えてもそれは相手が間違ってるなあという結論に辿り着くかもしれません。
 どうか自信をなくさず、挫けずに、ほとんど初めて自分の意思で人間関係を構築できる年齢になった場所で、楽しい学校生活を送れるような環境を作ってみてください。
 でも、自分一人の手には負えないなと思ったら、周りの人を頼ってください。親でも先生でも兄弟でも友達でも知らない人でも、一旦信頼してみてもいいかもと思う人に助けを求めてください。
 どうやったって一人じゃどうにもできないこともあります。勉強についていけないとか、クラスでいじめがあるとか、部活がしんどいとか、助けてほしいと声を上げることは決して恥ずかしいことでもなんでもありません。あなたのせいじゃないことの方が多いです。我慢しすぎて動けなくなってしまう前に、どうか教えてください。私でもいいです。具体的にできることは何もないかもしれないですが、嫌なことは話すだけでも気持ちは少し軽くなります。
 私は中学時代、少しの間いじめを受けていました。
 幸いなことになんとかなったのですが、今でも母校の中学へ訪れる気にはならないし、中学時代の知人が多く住む地元が苦手です。
 原因については私の態度が悪かった部分も大いにあるのですが、だからいじめられる側も悪いなんてことを言いたいわけではありません。絶対にいじめをする側が悪いです。一人で勝てっこないです。自分を省みるのは後ででいいので、もしあなたやあなたの友達がつらい目に遭っているなら、すぐに誰かに相談してください。本当に。


春から高校生になる方へ

 進学おめでとうございます。
 受験でしょうか、中高一貫でしょうか。いずれにしてもいろんなテストを受けて義務教育を終え、高校へ進学したことと思います。お疲れ様でした。
 中高一貫校でなければ、おそらく初めて「学力がだいたい均一の同い年の人がたくさんいる」という環境に身を置くことになったと思います。もちろん、その中でも順位はついていくわけですが、同程度の学力でもって受験を突破しその高校へ入学しているわけなので、だいたい均一と言えると思います。
 人間は「IQが±20以上差がある相手とはコミュニケーションが成り立たない」という説があります(出典は曖昧です)。頭が良すぎる人同士の会話を聞いていると日本語なのに何言ってるかわかんないってことが発生したり、その逆もあったり。
 でも、同じテストを受けて同じ学校に入学しているという点ではその辺の心配が大きく減ります。
 中学に気の合う友達がいなかったなあって思う人は、レベル感が合っていなかったのかもしれません。
 新しい環境で、いろんな人と話してみてください。人生の友達ができるかもしれません。私は高校時代の友人数人が生涯の友になるんじゃないかな、と予感しています。

 勉強面では、苦手な教科の好きな先生を見つけると少し楽になると思います。
 好きな先生探しは苦手な教科に限らないですが、好きな教科は授業の面白さに関係なくその内容が好きだからそれを教える教科担任も好ましく思う傾向にあると思うのでちょっと除外して。
 私は数学が超絶苦手です。なんなら算数で躓きました。高校受験の際も数学を泣きながら勉強してギリッギリ受かる点数でなんとか入学したため、高校に入っても数学の授業はちんぷんかんぷんで、「何がわからないのかわからない」状態でした。ついでにコツコツ勉強するのが苦手だったので、ほとんどのテストを一夜漬けでなんとかしてました。
 「継続できない」のと「数学が苦手」は相性が最悪で、一夜漬けでどうにかなるものじゃないので、数学はいつも捨てていた結果、赤点の常連でした。普段の授業もわかっていないうえにテスト期間に一夜漬けすら諦めているので当たり前ですね。数学ほど積み重ねの学問もないように思います。
 私の母校では、赤点を取ると「エンドレス追試」という名前の「同じテスト内容で規定の点数以上を取るまでずっと追試」という地獄だか優しいんだかわからない制度がありました。同じテストというのは、期末であればその期末テストと全く同じ内容のテストという意味です。赤点を取ったテストがまるっとそのまま出題される。
 数学が本当にわからない人は、答案を見てもどうしてその答えになるのかが全くわからないのです。途中式、マジで丁寧に一個ずつ展開してほしい。問題集もそう。話飛躍してない? その3はどこから生まれた? 大パニックです。
 私の数学の勉強は赤点を取った後に「わからないところを洗い出す」というどうしようもない作業から始まりました。
 答案を元に、その通りにやって解けるものは解き方を覚えて頑張る。見ないで解けるまで覚える。とにかく書く。
 答案を元にするだけじゃ私の数学力では理解の及ばないところがわからないところなので、「ここまでは話がわかったけれど、ここから先はどうしようもない」という箇所を洗い出します。そうやって「わからないところがわかった」ところで、先生に聞きに行きます。
 ここで登場するのが、「苦手な教科の好きな先生」です。
 好きの基準はなんでもいいと思います。雰囲気が好きとか、顔が好きとか、教え方が優しいとか、自分の部活の顧問じゃないとか、仲良くなりたい先生とか、なんでも。
 私は、1年生の時に1年間だけ数Iの教科担任をしてくれたA先生にお世話になりっぱなしでした。数Iで赤点を取り、教科担任のA先生に昼休みや放課後にわからないところを聞きに行って問題を解いて、という形で追試は1回でクリアしていました。
 恐ろしく授業スピードの速い先生で、私の理解力が足らず授業にはついていけませんでしたが、個人的に聞きに行くとすごくわかりやすく、私が納得するまで説明をしてくれる良い先生でした。A先生は「苦手な教科の好きな先生」になりました。
 以降、担当外の数A、数II、数B、全て赤点を取ってはわからないところを探してA先生に泣きついて、「こうなる前に来なさいよ」といつも言われていました。お昼休みに聞きに行っても、食事を置いて教えてくれる先生でした。社会人になった今、「本当にすみませんでした」と頭が上がりません。でも、追試はエンドレスにならずに済みました。
 人間の感情として頼られて悪い気はしないので、好きな先生にはいろんなことを聞きに行ってみてください。教科担任とか担当とかにこだわらなくていいと思います。先生にも種類があると思っていて、「授業すごいわかりづらいけど個人的に聞きに行くとめっちゃわかりやすい先生」と「授業めっちゃわかりやすいのに個人的に聞きに行くと何言ってるかわかんない先生」みたいな感じの向き不向きがある感じがするからです。どうせ聞きに行くなら好きな先生のとこに行きましょう。
 あと、何があるかわかんないから内申点は取れるだけ取っといた方がいいです。指定校推薦とか取れるかもしれないし。心象を良くしておくに越したことはありません。提出物はとりあえず出した方がいいです。とりあえず出す癖だけでもつけておかないと、大人になって提出を義務づけられる書類を放置して大変なことになりかねないからです。これはマジです。


春から大学生になる方へ 

 進学おめでとうございます。
 地元を離れ、一人暮らしが始まった方も多いかもしれません。私自身が大学進学を機に地元を離れ一人暮らしを始めた身のため、そういう前提で話しますね。
 ちょうど新歓の時期でしょうか。いろんなサークルが新入生を入れようと躍起になって活動をしていると思います。怪しいサークルに気をつけてください。ちょっとでも違和感を覚えたなら、その感覚を信じて距離を取ることを勧めます。その怪しさの正体が宗教系だったとかヤリサーだったとか、なんにせよ自分には合わないと思ったのにそこに所属する意味がないからです。高校時代に部活などを卒業まで続けた人にとっては、一度所属したところを抜けるということに罪悪感を覚えるかもしれませんが、サークルってゆるいので大丈夫です。逆に超引き止められるところには気をつけてください。
 新歓期間はいろんな先輩に履修の相談しつつ、気が合いそうな人たちのいる場所探しと思って気軽に回ってみてください。とりあえず履修の相談は絶対した方がいいです。必修がどれとか、1年生のうちに取っておくと楽な授業とか、単位数の目安とか、そういう重要な情報をフランクなわかりやすい言葉で教えてくれます。オリエンテーションで聞くと超難しく聞こえるアレを翻訳してくれるのでありがたかったです。
 そして履修登録は絶対に忘れないでください。私の周りでは忘れて卒業が致命的になった人は聞きませんでしたが、毎年Twitterでは大量に履修登録忘れて死んでる人が流れています。本当の締切の3日前には一旦登録は済ませましょう。本当の締切日と思ってる日がもう締切後だったらマジでどうにもなんないので。
 あと、過去問は絶対入手しましょう。過去問があればテストはだいたい勝てます。先輩や先輩のいる友達から借りましょう。超絶頭良いとかじゃない限り、情報ゼロで1人で大学の単位全部取るのは結構しんどいと思います。必修科目にはきっと苦手なものもあると思うので。

 大学は「だいたい均一の学力をもった同年代の人が全国から集まる場所」です。全国には本当に本当にいろんな人がいます。あらゆる刺激となりつつ、会話はそれなりにできる相手が周りにたくさんいる環境っておそらく大学が最後だと思うので、サークルでも部活でも学科でもいいので、いろんな人と交流をして、話の合う友人を見つけられれば幸せだと思います。
 サークルの同期先輩後輩は卒業以降もなんやかんや会うし、学科の友人とはこの間久しぶりに大人数で直接会えました。卒業しても当時の話で盛り上がれたり、近況を聞いて人生を考えたり、いろんな繋がりがある方が面白いので、居心地の良い場所を見つけておくと卒業後も楽しめます。

 バイトはしておくといいと思います。
 自分でお金を稼ぐって結構自由で気持ちいいことだと個人的には感じます。やりがい搾取されないようにだけ気をつけていれば、バイト先は好きな仕事を選ぶと良いと思います。
 私はスポット的なバイトも含めるといろいろ経験しましたが、飲食店が多かったです。飲食でバイトすると人に優しくなれるし、自分が客になった時も寛大になれます。思わぬ出会いをすることもあります(就職先決まるきっかけはバイト先でした)。
 自分で稼いだお金をどう使うかをはじめ、特に一人暮らしであれば1ヶ月に人間1人が生活するにはどれくらいお金がかかるのかを実感することになると思います。私は奨学金を借り、家賃と学費と通信費は親に支払ってもらいつつ、それ以外の生活費は自分でバイトをして賄っていました。結構かかるんですよね。今も思いますけど。
 バイト代というまとまったお金を手に入れたことで大きな買い物をすることもあると思います。したくなると思います。リボ払いだけは絶対にやめましょう。ものすごい額の借金になります。もういろんなところで言われてて耳にタコできるくらい目にしてる情報かと思いますが、タコ増やします。なんでダメかは詳しく解説してるサイトがたくさんあると思うので調べてみてください。クレジットカードを作る時はとりあえず「リボ払いする?の欄は○をつけない」ことだけ気をつけてください。

 

春から社会人になる方へ

 ご卒業ならびにご就職おめでとうございます。
 学歴に関係なく全ての課程を終え、売り手市場とはいえ大変な就活を切り抜けて4月を迎えたあなたはすごいです。まずは本当にお疲れ様でしたとおめでとうございます。
 学校とは全く違う環境で、バイトとは全く違う責任感で、未知の仕事に取り掛かり、毎日めっちゃ疲れると思います。
 どうか頑張り過ぎないでください。
 新社会人に即戦力は普通求めていません。できなくて当たり前です。だから、できないことに落ち込まないで大丈夫です。
 まずは普通のコミュニケーションが取れれば先輩や上司は安心します。おはようございますとか、お疲れ様ですとか、そういう挨拶がにこやかに普通にできるだけで一旦大丈夫です。
 わからないことは何回聞いても大丈夫です。わかるまで聞いてください。メモだけ取っておくといいと思います。見返せるし、全く同じことを聞いたとしても心象が良くなるので。もう数年社会人をやっていますが、「取ったメモが何書いてあるかわからん」ってことを今でもやっています。
 何回も聞くと怒る人もいますが、それは怒る側にも問題があると思います。後輩や新入社員の育成だって会社には重要なことなのにそれを放棄しているわけですから。でも、怒る人に聞くのはしんどいと思うので、怒らない人に聞きましょう。そしてその優しい先輩からは「誰に何を聞くと最短ルートで正しい答えが返ってくるか」を究極の答えとして引き出せればいいと思います。その先輩や上司も全てを知っているわけではなく、わからないことは必要なところに問い合わせて確認をした後に答えを教えてくれると思います。その問いに関する問い合わせ先がわかれば、今度は1人で答えに辿り着けます。その答えの出し方に自信がなければ、不明点とその問い合わせ先と出た答えを先輩に確認してみると良いと思います。答えを出したプロセスを確認する方が一から問いに向かうより遥かに楽なので、答えがすぐに返ってきやすいです。
 質問しやすい先輩はいろんな人から質問されすぎていて自分の仕事が進まない、みたいなことが起きている可能性があります。本人のキャパシティの問題もあるでしょうが、そうやって潰れてしまう優しい人もいます。
 職場から人は減らない方がいいです。自分がいなくても、優しい先輩がいなくても、仕事は回るし会社は潰れませんが、代わりに仕事を回してくれる人がいるから回るのです。誰かに代わって回す役目があなたに来るかもしれません。仕事が増えるって純粋に大変なことなので、持ちつ持たれつで、みんなで回せるように、疲弊させ過ぎないようにできるといいと思います。(とはいえ、こんなこと本当はマネジメントする側が考えることで、新入社員のあなたが気を遣う点ではありません。わかんないことは何回でも聞いてください。わかるまで答えます。)
 なので、優しい先輩にわからないところは遠慮せずにどんどん聞きつつ、その情報の究極の出典はどこなのかを見つけて効率的な情報収集ができると、自分も周りも楽ができてwin-winの関係が築けるんじゃないかと思います。
 気を遣わせるようなことを書いてしまいましたが、本当に気を遣わなくて大丈夫です。わからないことはわからないって言ってくれる方がありがたいです。どんな職業に就いていても、わからないことをそのままになあなあで処理すると後々痛い目を見るのは自分です。業種によっては命に関わるかもしれません。だから、わからないことはわからないって教えてください。理解できるまで教えます。

 そして、背伸びをし過ぎない方がいいと思います。
 能力が高ければ上司は期待をして少し難易度の高い仕事を振ってくると思います。責任感の強い人ほど真面目に不足なく取り組み、頑張ってしまうと思います。頑張ることは決して悪いことではないですが、常時頑張り続けるのは結構しんどいです。
 出世したいというような上昇志向がある人は背伸びをして無理もしてしまうかもしれません。でも、できないことはできないって言う勇気も大切です。「まだできる」って思われてるうちは、仕事の難易度は右肩上がりに難しくなると思います。
 難しいことにも挑戦をしないと成長できないのは確かですが、無理をしてまで頑張り過ぎる必要はないと思っています。心身に不調をきたす前に、誰かに相談してください。折れた心を回復させるのは、途方もなく大変で時間がかかります。これは現在進行形の実体験です。
 仕事は大変です。働くって大変です。楽しいこともありますが、きついことの方が正直多いと思います。忙しさやしんどさを認めて、楽しいと自分に思い込ませないようにしてください。上司と面談をする機会があったら、正直に苦手なことやしんどい仕事を伝えた方がいいです。本当に無理しないでください。


 春から新しい生活を始める皆さんへ。頑張りすぎなくて大丈夫です。どうか無理をし過ぎず、楽しく生きられるよう、インターネットの片隅からエールを送ります。

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