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noteのビジネスモデルの全貌

戦略コンサルタントのアップルです。

noteをはじめて2ヶ月半ほど経ちました。アップルもブログを書くのは大学生のときちょこっとやって以来でしたが、noteというメディアは使いやすいし、何よりシンプルなのがいいという感想をもっています。

戦略コンサルタントという職業柄、noteをユーザーとして使っているうちにnoteの運営会社(note株式会社)に興味を持ち始めたので、そのビジネスモデルの全貌や、今後の成長性に関するアップルの見立てを記事にしておきます。

noteという会社に興味がある人、noteがどういうビジネスモデルで回っているのかを理解したい人には参考になると思いますので、是非ともご覧ください!

noteの運営会社は?

ご存じの方も多いかもしれませんが、noteの運営会社について簡単にまとめておきます。

noteの運営会社は「note株式会社」になります。今年の4月にこの社名に変更されており、それまでは「株式会社ピースオブケイク」という社名でした。創業は2011年と、創業から10年も経っていないのでベンチャー企業と言ってよいと思います。

note株式会社は、noteのほかにcakesというコンテンツ配信サイトを運営しています(こちらの方がnoteよりリリースが先)。noteは2014年にスタートしていますが、着実に成長を続け、今年の4月には月間アクティブユーザー数が4,400万にまで達しています。

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このようにnoteのプラットフォームが大きく成長し、運営会社の中核をなすまでになったので、今回社名をnote株式会社に変更することになったようです。

なお、直近の決算公告をみると、まだ赤字です。

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この手のITプラットフォームビジネスは先行投資が嵩みますし、利益はフラットフォームがある程度の規模に達したところからぐっと伸びる特性があるので、今時点で赤字でも違和感はありません(例えば、Twitterは2013年の上場後もしばらく赤字が続き、2018年にようやく黒字に転じています)。

従業員数は現在100名弱。「そこそこデカくなってきたベンチャー」という規模感の印象です。

ユーザー目線でのnoteの特徴

noteはクリエイターとそれを消費する消費者とをつなぐメディアです。アップルは主にクリエイターとしてこのメディアを利用していますが、ほかの方が書かれた記事もちらほら読んでいます。

ブログサイトがあまたある中で、ユーザー目線で感じたnoteの特徴について率直に感じたことをまず書いてみたいと思います。

①シンプルイズベスト
一番最初に感じたのがこれです。仕事やプライベートでググっていろんな記事を検索すると、いろんなブログサイトにヒットしますが、総じて感じるの「広告、うぜえ」というものです。

バナーや余白、さらには記事の途中に広告が入ってきて、目をチカチカさせたり、記事を読みづらくさせている。こういうブログサイトがほとんどだと思います。

対して、noteは、広告が一切画面に出てきません。白いキャンバスに、記事だけが表示されている。まずこれが新鮮でした。

また、編集機能が極限までそぎ落とされている点も新鮮でした。多くのブログサイトは、ブログ記事をその人なりにアレンジできるよう、様々な編集機能が付いています。例えばアメブロだと、絵文字が色々使えたりとか。絵文字が使えないにしても、文字のサイズ、色、フォントを自由に変えられるサイトが多いように思います。

対して、noteは、文字に色を付けられません。黒一色です。またフォントサイズも見出しでしか買えられません。文字の脚色機能としてあるのは「ボールド(太字)」だけです。

こうした、「広告がない」「編集機能がない」というシンプルさに共感したのが、一番最初の印象でした。

②有料記事の機能が魅力的
noteはクリエイターの発掘と育成をミッションに据えた会社です。
noteの公式サイトから引用しましょう。

ミッション
「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」

ビジョン
「noteがあることで、人々は本当に伝えたいことに専念できるようになる。」

クリエイターが多少なりともnoteで食べていけるように、この有料記事というシステムがあるのだと思いますし、こういうシステムがあること自体がクリエイターの励みになっているのではないかと思います。

あと、サポートという投げ銭システムもありますね。これも特徴です。

アップルも有料記事を僭越ながら一本だけ書きましたが、数名の方にご購入いただき、数百円の額ではありますが自分の記事でお金を稼げたことに多大なる喜びを感じました(笑)。

※ご参考まで、現時点唯一の有料記事はこちらです。ポーターの基本戦略の使い方を事例とともにまとめた記事です

③アクセス解析機能がしょぼい!
これはクリエイターの皆さんが少なからず感じている点だと思います。アクセス解析機能が他のブログサイトに比べてかなり限定されています。

ダッシュボードの中にアクセス状況というページがあり、ここで記事別のPV、スキ数、コメント数が時系列で確認できますが、開示されているデータはこれだけです。

ブログライターとしては、PVの流入元(検索流入なのか、note内からなのか、SNSからなのか、等)が最も気になったりするわけですが、それすらもデータが開示されていないので、PDCAが回しづらいというのが正直な感想です。

ですがこれも、noteの思想を反映してあえてこうしている可能性があるんじゃないかと思います。

そもそもつい最近まで、noteはSEO対策をあまりしていなかったようです(最近は強化を進めているようですが)。この背景には、noteというメディアの中で世界が完結することを志向していたことがあるんじゃないかと思います。

noteのメディア内で完結する世界を志向しているからこそ、流入元を特定するようなアクセス解析は不要だと考えているのかもしれません。

また、アクセス解析機能が充実すると、クリエイターはそのデータを追っかけすぎて「自分が発信したいもの」ではなく「読者が求めているもの」にシフトしていく可能性があります。つまり、コンテンツが”大衆迎合”になっていくリスクがあります。

note株式会社としては、「クリエイターには、自分自身がいいと思うものをコンテンツとして発信してほしい」という想いがありそうなので、あえてこうしているんじゃないかなと思います(完全にアップルの仮説ですが)。

noteのビジネスモデル

noteのビジネスモデルは、いわゆるフリーミアムモデルに当たります。

ほとんどのクリエイターは無料でコンテンツを提供し、またほとんどのユーザーは課金せずに無料のコンテンツを消費しています。一方で一部の有力なクリエイターは有料のコンテンツを提供し、そのファンが有料でコンテンツを買っています。

noteの主たるマネタイズはこうした有料コンテンツの販売手数料です。コンテンツを売る一部のクリエイターから、販売手数料として一定割合の金額を抜く。これはまさにフリーミアムモデルです。

また、noteは、協業パートナーとして出版社などと提携しています。

noteのプラットフォームの中で、ごく一部ではありますがものすごくいいコンテンツをもったクリエイターが出現します。そういうクリエイターはnoteの”外”でもカネになります。

最も手っ取り早いマネタイズが出版です。noteのコンテンツをまとめ、それを本として出版する。そのレベルのクリエイターはnote内やSNSにも多くのファンがいるため、それらのファンによる購入で一定の部数が見込めます。だから出版社も出版に乗りやすい。こんな感じです。

以上のような話も含め、noteのビジネスモデルの全体像を絵にしてみましょう。

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noteはクリエイターとユーザーとをつなぐプラットフォーマーです。TwitterなどのSNSとの相乗効果によりこのプラットフォームは太っていきます。

プラットフォームが太っていく中で、有料コンテンツを配信するクリエイターやそれを消費するユーザーが増えていきます。有料コンテンツのトランザクションが増えるにつれ、その手数料収入によりnoteのマネタイズも太くなっていきます。

さらに、プラットフォームが太っていく結果、ハイパフォーマーなクリエイターの出現数も増え、協業パートナーとの間でのマネタイズも太くなっていくというわけです。

なかなかうまくできたビジネスモデルだと感じます。

noteの将来性は?

最後にnoteの将来性についてのアップルの見解を述べておきます。

クリエイターやユーザーをうまくひきつけられているメディアなので、しばらくはアクティブユーザーを増やしながら成長を続けるでしょう。

正念場は、noteの認知度が天井に達したときでしょう。

クリエイターによる質のいいコンテンツがnoteの成長ドライバーですが、認知度が天井に達すると、新たなクリエイターの発掘が細っていきます。

また、「俺も/私もクリエイターになってやろう」と一念発起してnoteにコンテンツを供給していたクリエイターも、PVやスキのパフォーマンスがふるわない人は、「あー、俺の/私のコンテンツはあんまり需要がないんだ、、そろそろ疲れてきたし辞めるか、、、」という感じで離脱し始めるでしょう。

このようにnoteの認知度が天井に達することは、成長ドライバーであるクリエイターの数やコンテンツの数が天井に達することを意味します。このときにどのようなビジネスモデルの転換が図れるかが、再成長の肝になると思います。

何らかの新規事業に進出するという方向性もありますし、noteというプラットフォームにさらに惹きつける何かの機能を加えるという方向性もあるでしょう。おそらくnote株式会社もその辺を見据えて策を考えているはずです。

我々noteユーザーにとっても、今後のnote株式会社の戦略に要注目です!
アップルとしても定点観測していきたいと思います。


今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!

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