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コロナの今後を考えてみる ~朝生の新春特番をみて考えたこと~

戦略コンサルタントのアップルです。

実質新年最初の投稿になります。
今年もよろしくお願いいたします。

朝まで生テレビの新春特番をみて、今後コロナがどうなっていくかも含め色々と考えることがあったので、やや雑駁ではありますがアップルが感じたこと、考えたことを記事にしておきます。

今年の最大の争点は?

今年の最大の争点はなんといってもコロナがいつ収束するかでしょう。不確実性があるため、誰も現時点で確実なことは言えないと思いますが、何らかの見立てや仮説をもっておく必要があると思います(特にアップルのような戦略コンサルタントは)。

振り返れば、アップルがnoteをはじめた4月、5月ごろ、コロナに関する記事をいくつか書いていましたが、緊急事態宣言を経てしばらくしたら収束していくだろうと楽観的に考えていました。当時、「アフターコロナ」という言葉が良く使われていたことからも、「コロナはしばらくしたら落ち着くだろうから、その後の経済社会の変化を考えて先取りすべきだ」という論調があったように思います。アップルも当時こうした論調に(安易に)乗っかり、アフターコロナの文言を入れたタイトルの記事を2、3本書きました(例えば以下の記事)。

さて、今になって振り返ってみると、春の緊急事態宣言の後、第二波が夏(7月~9月)に到来し、さらに現在第三波が到来しています。

・第三波はいつ納まり、その後どう推移するのか?
・今夏予定されている東京五輪は開催できるのか?
・景気はいつから、どのように持ち直していくのか?

こんな疑問や不安をみなさんお持ちのことかと思います。

朝生の新春特番:今年はコロナを徹底討論

そんな折、大晦日の朝まで生テレビで「ド~する?!新型コロナと2021日本」と題した討論が行われました。アップルは録画をした上で、(本を読みながらとかではありましたが)最初から最後まで一通りみました。タイトルのとおり、コロナについてみっちり5時間、政治家や様々な分野の有識者が議論を重ねました。

朝生の新春特番は毎年みるようにしています。年始に頭を働かせる上では有用な番組だからです。番組をご覧になった方はお分かりだと思いますが、この番組は基本議論が「発散」します。各分野の論客がけんか腰に言いたいことを言い合って、長時間やるわりには結論めいたものが全く出ずに終わります笑。

もう少しやりようはある気がしますが、アップルの解釈では、この番組は議論をまとめることは一切重視せず、「ひたすら発散させて、視聴者に何かしらの視点や論点を気づいてもらう」ことを目的にしているのだと思います。

そういう意味では今回の新春特番も、色々インプットが得られましたし、色々と思いを巡らせるきっかけになりました。以降、雑駁ではありますが、感じたこと/考えたことをいくつか記していきます。

1.ポジショントークをするから議論がかみ合わない

この手の討論番組に共通する話ですが、各分野の論客には何らかの「ポジション」があります。自身の立場を擁護したり主張したりするような発言が多くなりがちです。

今回も、東京医師会長は、医療現場のひっ迫というスコープで持論を展開していました。また、スポーツコンサルタントの春日氏(元日体協)は、五輪をいろんな制約を設けてでもなんとしてでも開催すべきと主張していました。共産党の議員はセーフティネット(コロナ禍の困窮者を救うべき)にフォーカスして主張していました。自民党の議員(片山さつき他)においては、野党議員などからの指摘に対して「それはちゃんと考えているしもう手をつけている」と反論する場面がしばしばありました。

つまり、それぞれの方が、それぞれの目線やスコープでポジショントークを繰り返していたということです。

皆さん、それぞれの分野を代表するような方々なので、ポジショントークになるのは仕方ないです。ポジショントークをするためにこの番組に出ると割り切っている人もいるでしょう。しかし、お互いポジショントークをしていると議論はなかなかかみ合わないです。矛盾する主張が平行線のままになりがちです。

本来、これらをうまく差配し議論をアウフヘーベンするのがファシリテーターの役割ですが、司会の田原氏も中立的な立場でファシリテーションするタイプの方ではないため、5時間かけた割には議論の深まりが限定的だと感じました(ただ上述のとおり、これは番組サイドとして意図的にそうしている可能性が高いと思います)。

2.とはいえポジショントークにより救われる人も

議論を深めるという観点では参加者がポジショントークに固執するのは良くないですが、様々な立場に置かれた視聴者の目線に立つと、自身の立場を擁護するようなポジショントークをしてくれる人が一人でもいることは心が救われるだろうなとも思いました。

印象的だった例は2つです。

①国民民主党の伊藤孝恵議員という方(この番組をみるまで存じ上げませんでした)が、シングルマザーを含めた子育て女性のコロナ禍での困窮を何とか救済しないといけないということを強く主張されていました。ご自身が女性であり、母親であることも強く影響していると思いますが、かなりこの課題に対して熱意・思い入れがあることを感じました。コロナ禍の論点の全体像からすれば、ごく一部の論点ではありますが、コロナ禍で困窮する女性からすれば彼女のような議員が存在し、メディアで熱く主張し、少しでも現状を改善すべく行動を起こしていることは大きな心の支えになるでしょう。

②メディアでよくみる政治学者の三浦瑠璃氏が、一人だけ緊急事態宣言はやるべきではないということを主張されていました。田原さんも「なんで三浦さんだけこんなに叩かれているのに違う主張をするのか?」と言っていましたが、よくよく聞くと、知人の飲食店などの経営者がとても困窮しており、その人たちを擁護するポジショントークをしてくれる人がいないから、自分がその役を買って出ているとのことでした。これも、コロナにより経営が傾きかけている経営者の方にとっては心強い発言だったと想像します。

ポジショントークというのは、議論の生産性を下げるデメリットがある一方、「代弁者」として誰かの心の支えになるというメリットもあるということですね。

3.システム思考の欠如が日本の弱点

ポジショントークと表裏一体のこととして、日本人のシステム思考の欠如はやはりあるのだろうなと感じました。

番組の後半で三浦氏が指摘して、確かにそうだなと思いました。物事や事象はすべて相互作用しており、「こちらが立てばあちらが立たず」ということは良くあります。今回のコロナでも、「経済を守るか、コロナ禍の命や医療を守るか」という矛盾構造の中でどこに落としどころをもっていくかという議論が続いています。経済擁護派はGo Toのような政策を支持しますし、医療擁護派はGo Toとは何事だと憤ります。

このような二項対立ならまだ事は単純ですが、実態は他にもいろんなファクターが相互に絡み合っています。つまりコロナ問題は、様々な問題が複雑に絡み合う「システム」になっています。

先ほどのポジショントークは、そうしたシステムのごく一部を切り出して意見するものだと言えます。これはシステムを捉えていないので、それに基づいて主張される施策や打ち手が最適解なのかどうか判断しかねます。誰かがシステム全体を俯瞰し、その構造を読み解き、全体最適の観点からどこにどう手を打つべきかを考えるべきです。

図解すると以下のとおりです。

システム思考

これこそまさに政治の役割だと言えますが、我々国民が触れる情報を見る限り、政府がこういう全体構造を明確に描いた上で施策を打っているようには思えません。そもそも政治家や官僚にシステム思考できる人材がどれほどいるか、甚だ疑問です。

アップルは、日本人はシステム思考や構造化する力が総じて弱いと感じています。システム思考の欠如。ここを強化することが、今回のような有事への対応力を高めるためにも、平時に経済社会を良くしていくためにも大きなポイントになるのではないかと思います。

4.コロナは今後どうなるか?(一つのシナリオ)

最後に今後の予測というかシナリオについて。

不確実性があるので一つのシナリオでしかありませんが、朝生でのインプット、議論されたことをアップルなりに咀嚼すると、中心シナリオは以下のようなものでないかと思いました。

①緊急事態宣言が近く発令される(関東中心に)

②それによって感染者数は若干納まるが、東京で毎日数百人の高止まりの状況が続く

③そうこうするうちに、2月頃、ファイザーのワクチンが承認され、ワクチン接種が進む。これによってだいぶん国民の安心感が醸成されるとともに、免疫獲得により感染率も低減する

④東京五輪は開催される。但し選手以外の外国人は入国禁止。日本人の観戦者もかなり限られた人数に抑え込まれる

⑤夏から秋にかけて収束が進んでいく

⑥2021年度末に、ようやく「アフターコロナ」と言える状態になる

楽観的なシナリオなので、当然違う結果になるかもしれません。なぜならシナリオには変数があり、その変数がどちらに転ぶかによって未来の絵姿は変わるからです。

アップルが想定するシナリオ分岐変数は次の3つです。

1.ワクチンの承認時期
2.変異種にワクチンがどれくらい効くか
3.政策スタンス(経済重視orコロナ封じ込め重視)

(ほかにも想定すべきシナリオ変数があれば、ぜひコメント欄でご指摘願います!)

今後もシナリオ仮説をもちながら、各種情報をインプットの上シナリオ仮説の進化と検証を進めていきたいと思います。


今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!


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