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2021年12月の記事一覧

論語「樊遅、仁を問う」顔淵第十二 22

「樊遅、仁を問う。子曰く、人を愛す。知を問う。子曰く、人を知る。樊遅未だ達せず。子曰わく、直きを挙げて諸れを枉 れるに錯けば、能く枉れる者をして直からしめん。樊遅退きて子夏に見えて曰く、嚮に吾夫子に見えて知を問う、子曰く、直きを挙げて諸れを枉れるに錯けば、能く枉れる者をして直からしめんと。何の謂いぞや。子夏が曰く、富めるかな、是の言や。舜、天下を有ち、衆に選んで皐陶を挙げしかば、不仁者は遠ざかれり

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論語「樊遅従いて舞雩の下に遊ぶ」顔淵第十二 21

「樊遅従いて舞雩の下に遊ぶ。曰く、敢えて徳を崇くし慝を脩め惑いを弁ぜんことを問う。子曰く、善いかな、問うこと。事を先にして得ることを後にするは、徳を崇くするに非ずや。其の悪を攻めて人の悪を攻むること無きは、慝を脩むるに非ずや。一朝の忿りに其の身を忘れて以て其の親に及ぼすは、惑いに非ずや。」

樊遅(孔子の弟子)を伴って雨乞いの祭壇に出かけたときに樊遅が尋ねた。
徳を高め、悪念を治めて、惑いを取り除

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論語「子張問う、士何如なれば斯れを達と謂うべき」顔淵第十二 20

「子張問う、士何如なれば斯れを達と謂うべき。子曰く、何ぞや、爾の所謂達とは。子張対えて曰く、邦に 在りても必ず聞こえ、家に在りても必ず聞こゆ。子曰く、是聞なり、達に非ざるなり。夫れ達なる者は、質直にして義を好み、言を察して色を観、慮って以て人に下る。邦に在りても必ず達し、家に在りても必ず達す。夫れ聞なる者は、色に仁を取りて行いは違い、これに居りて疑わず。邦に在りても必ず聞こえ、家に在りても必ず聞こ

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論語「季康子、政を孔子に問う」顔淵第十二 19

「季康子、政を孔子に問いて曰く、如し無道を殺して以て有道に就かば、何如。孔子対て曰く、子、政を為すに、焉んぞ殺を用いん。子、善を欲すれば、民善ならん。君子の徳は風なり、小人の徳は草なり。草、これに風を上うれば、必らず偃す。」

季康子が政治について尋ねた。
無法者達を殺して道を守る者を助けてはどうだろうか。
すると先生はこう答えた。
政治を行う者が人を殺してはいけません。あなたが善を追い求めていれ

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論語「季康子、盗を患えて孔子に問う」顔淵第十二 18

「季康子、盗を患えて孔子に問う。孔子対えて曰わく、苟も子にして不欲ならば、これを賞すと雖も竊まざらん。」

季康子は財産が盗まれることを心配して先生に相談したところ、先生はこう答えた。
あなたに私利私欲がなければ、たとえ褒美を与えると言っても盗む者はいないでしょう。

顔淵第十二 18

論語「季康子、政を孔子に問う」顔淵第十二 17

「季康子、政を孔子に問う。孔子対えて曰く、政とは正なり。子帥いて正しければ、孰か敢えて正しからざらん。」

季康子(魯の国の大夫)が政治について尋ねたところ、先生はこう答えた。
政治とはすべての不正を正しくすること。
あなたが正しさをもって率先して人々を導けば、不正を行う者はいなくなるでしょう。

顔淵第十二 17

論語「君子は人の美を成す」顔淵第十二 16

「子曰く、君子は人の美を成す。人の悪を成さず。小人は是に反す。」

先生がこう述べた。
人格者は人の良いところや善い行いを成し遂げさせ、人の悪いところや悪い行いを正す。自分の利益本位にことを行う、つまらない者はその逆のことを行う。

顔淵第十二 16

論語「博く文を学びて、これを約するに」顔淵第十二 15

「子曰く、君子、博く文を学びて、これを約するに礼を以てせば、亦以て畔かざるべきか。」

先生がこう述べた。

詩書をはじめとした、様々な書物を学んで、その知識を集約して実践するにあたり、相手を尊重する心をもってすれば、道にはずれるようなことはないであろう。

顔淵第十二 15

論語「子張、政を問う」顔淵第十二 14

「子張、政を問う。子曰く、これに居りては倦むこと無く、これを行うには忠を以てす。」

子張が政治について尋ねたところ、先生はこう答えた。政治に従事するならば、飽きることなく専念し、その職務を遂行するには誠意をもって行うこと。

顔淵第十二 14

論語「片言以て獄を折むべき者」顔淵第十二 12 13

「子曰く、片言以て獄を折むべき者は、其れ由なるか。子路、諾を宿むること無し。

訟を聴くは、吾猶お人のごときなり。必ずや訟え無からしめんか。」

先生がこう述べた。
訴えの内容を少しだけ聞いて正しい判決ができるのは子路(孔門十哲のひとり)だ。彼は一度承諾したことを翌日まで延ばすことはしない。

私も人並みに両者の訴えを聞いて、正しい判決を与えることはできるが、それよりはなんとか、この世の中から訴え

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論語「子張、徳を崇くし惑いを弁ぜんことを問う」顔淵第十二 10

「子張、徳を崇くし惑いを弁ぜんことを問う。子曰く、忠信を主として義に徒るは、徳を崇くするなり。これを愛しては其の生を欲し、これを悪みては其の死を欲す。既に其の生を欲して、又た其の死を欲するは、是惑いなり。」

子張(孔子の弟子)が徳を高めて心の惑いを見分ける方法を問うたところ、先生はこう答えた。
真心をこめ、嘘偽りなく正しい行動をすれば徳を高めることができる。そして愛しているときはその人の生を望み

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論語「君孰と与にか足らん」顔淵第十二 9

「哀公、有若に問いて曰く、年饑えて用足らず、これを如何。有若対えて曰く、盍んぞ徹せざるや。曰く、二にして吾猶お足らず、これを如何ぞ其れ徹せんや。対えて曰く、百姓足らば、君孰と与にか足らざらん。百姓足らずんば、君孰と与にか足らん。」

不作で歳入が足りず、どうすれば良いかを魯の哀公が有若(孔子の弟子)に尋ねたところ、有若は、年貢を一割に下げてはどうか、と答えた。

二割で足りない年貢を一割に下げるこ

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論語「駟も舌に及ばず」顔淵第十二 8 

「棘子成曰く、君子は質のみ。何ぞ文を以て為さん。子貢曰く、惜しいかな、夫の子の君子を説くや。駟も舌に及ばず。文は猶お質のごときなり、質は猶お文のごときなり。虎豹の鞟は猶お犬羊の鞟のごときなり。」論語 顔淵第十二 8

棘子成(衛の国の大夫)がこう言った。
「人は中身があればそれでよい。外見など飾る必要はない。」

これを聞いて子貢はこう言った。
「残念だ、あの人の考え方は。一度しゃべってしまったこ

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論語「子貢、政を問う」顔淵第十二 7 

「子貢、政を問う。子曰く、食を足し兵を足し、民をしてこれを信ぜしむ。子貢が曰く、必ず已むを得ずして去らば、斯の三者に於て何れをか先きにせん。曰く、兵を去らん。曰く、必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於て何ずれをか先きにせん。曰く、食を去らん。古より皆死あり、民は信なくんば立たず。」

子貢が政治について尋ねたところ、先生はこう答えた。
食と兵を十分にして人々の信頼を得ることである。

続けて子貢

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