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対面の打合せが必要なタイミングなのかもしれない|9/8〜9/14

緊急事態宣言のなかで始めた日々の記録。火曜日から始まる1週間。仕事と生活のあわい。言えることもあれば言えないこともある。リモートワーク中心。そろりと外に出始めた。ほぼ1か月前の出来事を振り返ります。

2020年9月8日(火) 市ヶ谷→自宅

始業時間より30分早くメッセンジャーでミーティング。オフィスの鍵が開いているか心配しながら出社するが、けっこうの人が出ていた。通勤時間をずらすために早く来ているのだろうか。それとも、仕事が溜まっているからだろうか。どちらもあるだろう。
勤怠システムへの入力など細々と作業をしながら、事業のあれこれを出社している人と会話する。オンラインで出来ないのは始まりも終わりもない会話なのだと思う。だから、会話をする。見事にいろいろと終わらず後ろ髪をひかれまくりながら、午後は在宅に移行。帰宅してすぐにメッセンジャーでミーティングをし、あとはメールや細々とした作業をする。
明日で千葉県に大きな被害をもたらした台風15号が上陸してから1年が経つ。復旧の遅れを伝えるニュースをいくつか読む。

県内で長期の停電による熱中症などで8人が亡くなり、8万1千棟以上の住宅に被害が出た台風15号から9日で1年となるのに合わせて、千葉県庁では幹部らが出席して復旧・復興本部会議が開かれました。
この中では災害ゴミは仮置き場から処理施設への搬出がほとんどの自治体で終わり、来年3月末の処理完了に向けて取り組んでいることや、県の災害対応には問題があったという批判を受けて、市町村や東京電力との間で情報を共有する体制の強化についての報告されました。
一方で台風の被害を受け、公費の補助を受けて修理を終えられた住宅は申請の63%、農業用ハウスは49%にとどまり復旧が遅れている状況も報告され、できるだけ早く終えられるよう対応を急ぐ方針を確認しました。
「台風15号の千葉県直撃から9日で1年 住宅などの復旧に遅れ」NHK NEWS WEB

「今後の「台風」 最強クラスに発達する可能性 南の海面水温30℃」というニュースもある。今年はまだ関東まで台風が来ていない(それも例年に比べ1ヶ月ずれているらしい)。東京都の新規感染者数は170人。国はイベント制限を19日に緩和を検討。上限5000人を撤廃し、収容人数の50%を維持。11日の有識者会議で最終判断。

2020年9月9日(水) 自宅

朝からTokyo Art Research Lab 研究・開発プログラムの位置付けを整理する。午後に上地里佳さんTARLディスカッションの企画を議論する。「ディスカッション」をオンラインでどう実現していくのか。対面とは違い、面識のないゲスト同士のオンラインでのやりとりは難しいのではないか。ゲストとの関係に合わせて、毎回の形式も変えていったほうがいいのかもしれない。参加者とのディスカッションをどうつくるか(そもそも、あったほうがいいのか)。新しい人との出会いが狙いにあった企画なだけにオンラインにシフトする困難さが多い。この状況下で新たなゲストを探す(会いにいく)リサーチもままならない。
イギリスのアストラゼネカは日本でのワクチン治験を中断。臨床試験で副作用の疑いあり。東京都の新規感染者数は149人。19日から緩和予定の国のイベント制限は、落語、歌舞伎などの古典芸能やクラシックコンサートでは撤廃の方針。

2020年9月10日(木) 市ヶ谷→秋葉原

朝から市ヶ谷のオフィスに出社。午前はZoomをひとつ。オンラインミーティングの企画を詰める。方向性は見えてきたけれど、ネーミングが決まらない。午後は3331 Arts Chiyodaへ。NPO法人アート&ソサエティ研究センターの引っ越ししたてのオフィスでミーティング。この状況下におけるアートプロジェクトのアーカイブ環境の変化や実態調査のアンケートと動画配信コンテンツを議論する。テスト版として見せてもらった動画のタイトルは「Art Archive Online」。頭文字をとって「エイエイオー」。アーカイブを始めよう! その意気込みとともにノウハウを短くまとめたものだった。ネーミングがうまい。やられた。
八丁堀のnichido contemporary「Identity XVI - My Home? -」へ。入口で検温。村上慧さんのプロジェクト「移住を生活する」。各地を背負って歩いた発砲スチロールの家を見るのはひさしぶり。ギャラリー中央においてある家のなかを覗くと、家のなかから撮った映像がプロジェクションしてある。家を置いて泊まれる場所を歩いて探し、交渉する。決まったら家を置く。暗くなった家のなかでノートPCで作業をする。寝る。朝起きて家の窓を開ける…。知っていたプロセスも映像で見ると生々しい。オープン時間短縮の展示も多いから、帰りの時間に寄れる場所も少ない。
厚生労働省の専門家組織の会合では、感染者数は全国的に減少と評価。10月1日から「Go To トラベル」の対象に東京都を追加。東京都は感染上昇の警戒度を最も高いレベルの「感染が拡大していると思われる」から1段階下の「感染の再拡大に警戒が必要であると思われる」に引き下げ。第2波は収束に入ったのだろうか。東京都の新規感染者数は276人。1週間ぶりの200人超え。

2020年9月11日(金) 自宅

11日。東日本大震災から9年6ヶ月が経った。10年目の3月11日まで、あと半年。2001年のアメリカ同時多発テロから19年。あまりニュースは見かけなかった。
ウェブサイト『Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021』の記事アップ作業をする。「10年目をきくラジオ モノノーク」のレポート、「10年目の手記」を5本掲載。毎月11日更新の「復興カメラ 今月の1枚」は、旧大槌町役場跡地の写真だった。大槌町役場は津波を受け、多く職員の方が亡くなり、震災遺構として建物を残すかで町民の意見はまっぷたつになったが、最後はあっけなく壊された。最新の写真は青々とした緑が一面に広がるなかに、亡くなった人を悼むための小さな小屋と地蔵が並んで立っているものだった。自然の旺盛な生命力に抱かれるように人々の慰霊の営みがある。震災の後(跡)を象徴するような写真。
夕方は係会(東京アートポイント計画スタッフの定例会)。それぞれの担当事業にある引っかかりや気づきを細かく共有する。情報や検討材料が多い。この頃は、いい意味で長引く。約3時間。
「10年目をきくラジオ モノノーク」は明日配信し、2週間後は休みにすることにした。ここまで企画からすべてオンラインで進めてきた。けれど、ここで一息ついて、残りの回をやりきるためにも対面の打合せが必要なタイミングなのかもしれない。細々した作業が溜まってきている(詰まってきている)感じがある。積み重なった作業を、どう消化するかという「詰め」もあるけれど、やりとりの継ぎ目に溜まったホコリを吹き飛ばすようなことが必要そう。それは「会う」ことで解消される何かだと確信があるんだけど、それは何なのだろうか。言い当てようとすると途端に困難になる。仙台行きの日程を探りはじめる。

2020年9月12日(土) 自宅

アメリカ同時多発テロから19年のニュースが増えた。Yahoo!ニュースのトップにも記事が出ていた。ニューヨークのグラウンド・ゼロでの追悼式は遺族や関係者に限って開催。例年は犠牲者の遺族が1人ずつ故人の名前を読み上げるが、今年は事前に家族が録音した音声を会場で流す方法が取られたのだという。代読では駄目なのだろう。肉声で名を呼ぶことのこだわりについて考える。
夜は「10年目をきくラジオ モノノーク」。韓国のドヨンさんとのオンライン中継がつながらず、ひやひやする。後から思えば、それもライブ配信の醍醐味でもある。ドヨンさんは日本語がネイティブではない。言葉が途切れたり、たどたどしさがある。そんな声を聴きながら、メディアに合わせて声を整えるのではなく、多様な声にメディアが合わせるというありように気がつく。ラジオ風やテレビ風にオンラインメディアを使う。それはラジオらしく、テレビらしくある必要はない。「らしく」なればなるほどに失われる良さもあるのではないだろうか。整えるためではなく、合わせるために技術を駆使する(その技術を開発する)。それでいいのではないか。そうあるべきなのではないか。スイッチが切り替わる。

2020年9月13日(日) 自宅

朝から涼しい。何もしない。日曜日らしい日曜日を過ごす。

2020年9月14日(月) 自宅

肌寒いほどの涼しさ。エアコンを付けずに過ごす。朝から各所に連絡をする。返事があるものがあれば、ないものもある。午後は移動する中心|GAYAのオンラインミーティング。映像をテーマから見るのか、見てからテーマを引き出すのか。映像を(「読む」ように)見るためのテーマのフレキシビリティをどう設定するか。みんなが手を動かしやすいルールの閾値はどこか。筆力に左右されない記事の書き方とはどんなものか。活動のコクをどう伝えるのか。ミーティングで飛び交う議論のちょっとした言葉づかいに引っかかりがある。そこが、この事業の旨味なのだと思う。それを、どう伝えていけばいいのか。繰り返し、考える。ついにGAYAのnoteも始まりそう。
そのまま、上地さんとTARLディスカッションの企画の詰めをする。おおむね方向性は見えてきた。あとはゲストへの声がけ次第なのだろう。オンラインをベースに企画を考えることで距離の離れた人をゲストにすることは容易になった。ただ、実際に、複数の地域の人をディスカッションに組み合わせようとすると、いまの状況の地域差が気になってくる。それぞれの地域の感染者数の多寡は議論の本題ではない。それでも、いま考えていることや実践していることを議論するかぎり、その「前提」は微妙に影響してくるようにも思う。いま企画をつくるには、その前提に自覚的になったほうがいいのかもしれない(そこに議論をすくわれないためにも)。
昨夜、瀬尾夏美さんが出演したDate FMの番組をradikoで聴く。つい数日前にradikoのプレミアム会員になった。タイムフリーかつエリアフリー。月350円で獲得した自由。
東京都の新規感染者数は80人。いつも週の前半は数字が少ない。自民党総裁選は菅官房長官が圧勝。いずれも周知の事実。もはや誰も驚かない。

(つづく)

コロナ禍を経験したいま、どのように他者と出会い、関係性をつくっていくのか? Tokyo Art Research Lab ディスカッションはオンライン開催! プロジェクト「嫁入りの庭」(宮城県仙台市)を軸に、施主の社会福祉法人ライフの学校理事長の田中伸弥さん、庭の設計を担当したtomito architectureの冨永美保さん・林恭正さんをゲストにお招きします。
noteの日記は、Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021「2020年リレー日記」のテスト版として始めたのがきっかけでした。9月の書き手は、西村佳哲さん(リビングワールド 代表)→遠藤一郎さん(未来美術家)→榎本千賀子さん(写真家/フォトアーキビスト)→山内宏泰(リアス・アーク美術館 副館長/学芸員)さん。以下のリンク先からお読みいただけます!
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