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#ネタバレ 映画「ニューヨークの恋人」〈2001年〉

「ニューヨークの恋人」〈2001年〉
https://eiga.com/movie/51579/photo/
2001年作品
写真の謎
2002/6/22 6:59 by 未登録ユーザ さくらんぼ 
(修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

メグ・ライアンさんは私もファンの一人。彼女のロマンチック・コメディーはもうブランドになっていると思う。公開されれば、これからも見に行くだろう。「ゴジラ」「007」に匹敵する。

しかし、同じロマンチック・コメディーでも、これからはもっと多彩な役を演じた方が良さそうだ。子供がいる女性の再婚物語でも良い。むしろその方が光り輝く年代になってきたかもしれない。

ところで、この映画の中に「オペラ」の話が出てくる。聞いた事のあるタイトルだが忘れてしまった。私はオペラを良く聴く。しかし、それは単純に「心地よいからで」、BGMとして聴いていて、それ以上のマニアではない。知識も無い。忘れたのはそんな理由もある。あのオペラを鑑賞すれば、もしかしたらこの映画をより深く読み解くヒントがあるかもしれない。

むかし、映画「プリティーウーマン」があった。あれはオペラ「椿姫」の後編として作られていると思う。時空を超えた長編ラブストーリーの大作だ。

内容の一部を挙げると、映画の冒頭、およそ、あのラブストーリーにふさわしくない殺人事件(娼婦が被害者)が描かれる。そして同時に主人公(娼婦)の目覚めも描かれる。ここは二人の娼婦を使い「死と再生」を表現し、「椿姫」の悲恋のヒロインをこの世に甦らせて、恋の成就をさせる映画である事を意味していると思う。

ちなみに、今回の映画「ニューヨークの恋人」では、タイムトラベルにより現代に男が現われる。あのオペラを知れば映画が違って見えるかも知れない。もしかしたら無関係かもしれないが。

追記 ( 移住と転職で生まれ変わる )
2002/7/4 21:58 by 未登録ユーザさくらんぼ

窓から出入りして隣の家に行くなんて、なんと面白いのだろう。少年の心をくすぐるアイディアだ。それに、非常階段のおどり場にソファーを出して、テラス代わりに彼とすごす。(非常階段は彼の発明のエレベーターと呼応している)いいなあ。

そんな私の大好きなシーンの中に、一つ心に引っかかるセリフがあった。日曜日の午前零時。ソファーで彼とすごしていたメグが「日曜日はきらい・・・月曜日には又仕事が始まるから・・・」みたいなことを言うところだ。日本にもサザエさん症候群が有り、日曜日の夕方にブルーになる人はいるが、メグはさらに重症である。

これがただの恋人たちの戯言ではない証拠に、その後彼から「意に反してこんなまずい物を作っているから会社に行くのが嫌になるんだ」などと言われる。(この映画の中に唐突にエダマメが登場するのが疑問だったが、今日のニュースで分かった。あれもアメリカ人にとっては今流行の健康食品らしい。)さらにラストでは、出世のチャンスである会社のパーティーを、メグは究極の選択で抜け出し、彼のもとへ走る。

ところで、彼といえば、エレベーターの発明もトースターの改良も、創作の喜びと求める人々の願いが一致しており、良き流れの中にいる。この映画はさながら仕事に対する哲学の映画でもあるように見える。

メグは映画「ユーガットメール」でも面白い事を描いた。メグの小さな本屋さんが、彼の大きな本屋さんにつぶされるストーリーで、これが不満だという意見もあったが、あの映画は「企業再編」の物語だった。映画の中でいろいろなものが再編をしている。メグの映画も意外とこだわりやさんである。

話しを「ニューヨークの恋人」に戻す。ふと面白い事に気づいたからだ。彼はエレベーターという新しい技術を目指し、貴族かもしれないが家計は苦しく、金持ちの娘と政略結婚をさせられる危機にある。一方メグはキャリアウーマンかもしれないがあまり裕福には見えず、仕事にメンタルを病み、川に身を投げるのである。

もちろん「ラ・ポエーム」だなどと言うつもりは無い。それは教えていただいた。ただ、別の角度から見た恋人たちの姿、あるいは夏の蒸し暑い夜の戯言である。

追記Ⅱ ( 現代社会に苦しんでいたメグ )2002/7/5 21:20 by 未登録ユーザさくらんぼ

ところでもう一度エダマメの話しに戻りますが、私は唐突にでたエダマメのシーンにつまずいています。あの時メグは上司の出した枝豆をいらないと断りました。枝豆は先に述べたとおり健康食品で、これを拒否する事で、彼女がダイエットバターを嫌いな事を密かに表現する重要なシーンだと思ったからです。

そして、それはまさに彼女の仕事への苦悩を示すシグナルだからです。彼女が表面上生き生きと仕事をしている様に見えれば見えるほど、逆に苦悩の深さが表現されていきます。

ひとつ私は不思議に思っていたのですが、彼女の目の下の「クマ」、あれは、その気になればハリウッドのメイクやCG技術で消せると思うのです。でも、あえてそれをしていないのは、それなりの意味があったのだと今思いました。

それから、エレベーターが壊れ、垂直に非常階段でご近所さんが交流する様子にもエレベーターとの因縁を感じます。映画は何も無いスクリーンに一から構築するもので、スクリーンに映ったものには意味があるとの私の基本姿勢からです。

そんな事を考えていましたら新たなインスピレーションが有りました。

あのアパートは「過去の世界」を表現していると思いました。彼のいた昔をモチーフにして作られた世界です。なぜ・・・それは、おそらくヒロインの精神世界は、現代のニューヨーカーではなく、意外と古風な事だったのでしょう。その表現です。だからこそ彼女は苦しんだ。

そして、それを証明する様に映画のラストはメグの方が過去に嫁いでいきました。あれは移住と転職でもあるのでしょう。

追記Ⅲ 2022.9.24 ( お借りした画像は )

キーワード「時代」でご縁がありました。キラキラ心地よい球体ですね。そのままでも良かったのですが、少し拡大してみました。ありがとうございました。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

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