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#ネタバレ 映画「哲人王~李登輝対話篇~」

「哲人王~李登輝対話篇~」
2018年作品
若い頃は日本人として育った
2019/7/17 9:43 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

私は台湾の元・総統である李登輝さんが好きです。

親日家のシンボルとして注目し、本を読んで増々好感を持ったのです。

先日、偶然この映画のチラシを見つけ、観たい作品の一本になりました。

若い頃は日本人として育った李登輝さんの想いに、もう一度ふれたいと思います。

追記 ( 裸足で歩く桃果さんにハラハラ ) 
2019/7/22 18:13 by さくらんぼ

観てきました。

現在のNHK朝ドラ「なつぞら」には、インテリと凡人が出てきますが、両者はときどき話が合わないことがありますね。

この映画「哲人王~李登輝対話篇~」には、悩める大学生・まりあ(桃果さん)が出てきて、入水自殺しようとします。でも、失恋したわけでもなく、「現代社会に疲弊した」と言われても、凡人の私には、それが、どうして自殺に結びつくのか、正直なところ、良く分からないのです。

ですから、李登輝さんの精神と通い合い、生きる力を取り戻したと言われても、その理由が(どの琴線に触れたのかが)、やはり良く分かりませんでした。

それはともかく…

李登輝さんのお話はとても素晴らしいもので、伝記というか、台湾の歴史というか、そんな本を一冊読んだように、ためになりました。

最近は「漫画で描く偉人伝」みたいな本が売れているみたいですが、これは、その映画版なのでしょう。

もし台湾を観光地としか見ていなかった方がいらしたら、ぜひ観て頂きたい一本だと思います。

★★★★

追記Ⅱ ( 自虐史観の傷跡 ) 
2019/7/22 22:19 by さくらんぼ

>この映画「哲人王~李登輝対話篇~」には、悩める大学生・まりあ(桃果さん)が出てきて、入水自殺しようとします。でも、失恋したわけでもなく、「現代社会に疲弊した」と言われても、凡人の私には、それが、どうして自殺に結びつくのか、正直なところ、良く分からないのです。

>ですから、李登輝さんの精神と通い合い、生きる力を取り戻したと言われても、その理由が(なぜ琴線に触れたのかが)、やはり良く分かりませんでした。(追記より)

書くことは自分に問いを立てることにもなるのですね。この後、夕食を食べていて、ふと気がつきました。

ヒロインである大学生・まりあは、卒業して就職する(社会人になる)ことに自信がなく、怯えていたのかもしれません。それで、行き場が無くなって自殺しようとしたのです。

しかし、こんな悪い社会では生きられないと、問題のすり替えをした。無意識にお洒落をするために。

それに気づいた李登輝さんは、自分の苦労、台湾の苦労と比べれば、今の日本で生きていく事はそんなに大変なことではないと言い、また、かつて日本人は台湾人の先生だった。(米軍の占領政策で、日本人は自虐史観を植え付けられたけれど)自信を持ちなさいと励ましたのです。

出だしには、「引きこもり」の話ではないけれど、そんな現代の学生の心情!?が、ベースにあるのかもしれませんね。

追記Ⅲ ( 「最も危険なところが、最も安全だ」 ) 
2019/7/23 6:19 by さくらんぼ

李登輝さんは蒋経国から勧誘されて国民党に入りました。この辺りから政治家への道を歩み始めるのです。

しかし、二・二八事件では李登輝さんたちを弾圧・虐殺した国民党です。本来、そんなところに入るのはおかしいのですが、この問いに対し、李登輝さんは「最も危険なところが、最も安全だ」と述べています。

ならば、もしかしたら、かつて台湾を統治した日本と仲良くすることも!?。

私は李登輝さんのリアリズムに驚くと同時に、これは大学生・まりあにたいする、人生に対するアドバイスでもあるのだと思いました。

追記Ⅳ ( 日本統治前の台湾の姿は ) 
2019/7/23 8:33 by さくらんぼ

日本が統治する前の台湾は、少数民族ごとに分断されており、山の向こう側とこちら側とでは、言葉も通じない、国としての体を成していないような所だった。

さらに、今でこそ「麗しの島」などというキャッチコピーが似合う台湾も、日本が統治する前は、疫病が蔓延する、よそ者にとっては入るのが恐ろしい島だった。

そこに日本が入り、学校を作って、日本語という共通言語を教え、衛生観念とインフラの整備を進め、今の台湾の基礎を作った。

これは、かつて私が本で読んだ話しですが、出典を忘れてしまった上に、台湾の人たちにとってあまりにも失礼な気がして、公の場で言うのは躊躇しがちでした。

しかし、この映画「 哲人王~李登輝対話篇~」でも、似たような話が李登輝さんから語られており、やはり本当だったのだと思いました。

追記Ⅴ ( 若い頃は日本人として育った )
2019/7/23 8:38 by さくらんぼ

>大学生・まりあは、卒業して就職する(社会人になる)ことに自信がなく、怯えていたのかもしれません。それで、行き場が無くなって自殺しようとしたのです。(追記Ⅱより)

女子大生を話し相手に選んだ理由は、女子大生を主なターゲットに選んだからでしょう。

彼女たちの就職の悩みに答えてあげるリターンとして、台湾に興味を持ってもらい、卒業旅行に来てもらう。そして、もっと良く台湾を知ってもらう。

さらに、将来生まれてくるであろう子供にも、台湾と李登輝さんの話をしてもらい、台湾に理解のある、(統治時代の日本人のように)武士道精神を持った人に育ててもらいたいと。

つまり、自虐史観に沈んでいる現代の日本人から、文字通り生まれ変わって欲しい、そう願っているのだと思いました。

追記Ⅵ ( 映画「僕はイエス様が嫌い」 )
2019/7/23 9:21 by さくらんぼ

>何を言いたいのかと言えば、少年も祖父も、単純なあかちゃんだから、欲望に正直で、自分の願いを聞いてくれない存在は、イエス様であっても認めないわけです。

( 映画「僕はイエス様が嫌い」 私のレビュー追記Ⅲより )無いレビューは順次掲載する予定です。

苦労人の李登輝さんは、プロテスタントのクリスチャンになりました。

一方、映画「僕はイエス様が嫌い」の主人公である(まだ人生の多くを知らぬ)少年は、イエス様が嫌いです。

日本には信仰の自由がありますから、別に嫌いでも良いのですが、観客としては、両方の映画を観ると面白いと思います。

追記Ⅶ ( 桜 ) 
2019/7/24 9:22 by さくらんぼ

ヒロインが着ている薄いピンクの服は、桜の記号なのでしょうね。

桃果さんのキャラも合っていました。

さらに、裸足で歩きまわるのは、散っていく花びらの表現だったのかもしれません。

そして、桃果さんは日本。

自虐史観で自殺しようとする日本なのでしょう。

追記Ⅷ ( トムの革ジャン ) 
2019/7/26 17:49 by さくらんぼ

『  続・トップガンで消えた、日本と台湾の旗 トムの背から

「トップガン」の革ジャンから日の丸と台湾の旗が消えた。1986年に大ヒットした映画の続編となる新作の予告編が公開され、前作と同様、主演のトム・クルーズさんがおなじみの革ジャン姿で登場したが、背中のデザインは前作とは違うものに。今回は主要製作会社に中国企業が加わっており、その影響ではないかとの臆測も出ている。 』

( 2019年7月24日09時38分 「朝日新聞デジタル」より抜粋 )

(追記)これは、その後、日の丸が復活しましたね。新作を観ました。

追記Ⅸ ( 学校から家庭へ ) 
2020/2/29 13:32 by さくらんぼ

>日本が統治する前の台湾は、少数民族ごとに分断されており、山の向こう側とこちら側とでは、言葉も通じない、国としての体を成していないような所だった。

>さらに、今でこそ「麗しの島」などというキャッチコピーで観光客を誘致している台湾も、日本が統治する前は、疫病が蔓延する、よそ者にとっては入るのが恐ろしい島だった。

>そこに日本が入り、学校を作って、日本語という共通言語を教え、衛生観念とインフラの整備を進め、今の台湾の基礎を作った。(追記Ⅳより)

たとえば、日本人の常識的な衛生観念が、台湾に限らず、諸外国にとっての常識だとは限りません。

かつて読んだ記憶が間違っていなければ、当時の日本政府は、「義務教育を通じて子どもに教えることで、子どもから家族に教えさせる」という方法を取り、浸透させたという趣旨の事が書いてありました(結果論かもしれませんが)。

追記Ⅹ ( 若い頃は日本人として育った② ) 
2020/7/30 22:15 by さくらんぼ

「 李登輝・元台湾総統死去 97歳 民主化に尽力、親日家 」

〈 毎日新聞2020年7月30日 21時15分(最終更新 7月30日 21時39分) 〉

ご冥福をお祈りします。


( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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