コロナ禍で旅に出られない今こそ
最初に触れたように、コロナ禍で旅に出かけられない今だからこそ(特にワンダーラストな人々にとっては)、自分のことを語る(書く)ことが、精神的な安定を得るための、ひつつの方法であると思います。
心理学研究によっても、語ることが精神衛生上、社会適応上、いい結果をもたらすことは知られています。
5月6日までだった緊急事態宣言は延長されました(首都圏)。当然ながら宣言が解除されないと、撮影の依頼はほとんどないし、撮影旅行にも出かけられません。
いつもなら、今ころは棚田が美しいときで、毎年撮影に出かけていました。毎年「旧暦棚田ごよみ」を発行しているので、そのための撮影も兼ねていました。そして一年一時期の「田毎の月」の撮影のチャンスでもあります。この時期にしか「田毎の月」は見られません。(↓に掲載の写真が長野県千曲市、姨捨棚田の「田毎の月」)
この棚田の撮影ができなくなってしまっています。コロナに罹り病気では死ななくても、経済的に殺されてしまいます。いや、もっと言えば精神的に殺されてしまうのです。私は自分の心の危ない兆候を察したので、なんとかそれを回避する方法をと思い、noteに「物語る」ことを思いついたわけです。これだったらStay Homeでもできるので。
社会心理学の授業で知った自己開示の大切さ、物語の大切さです。もちろん、普段から悩みを人に話すことで気持ちが軽くなるという体験はあるので、予想はつく話ですが、でも、心だけではなく、体にも良い影響があるということが実験で明らかになっているそうです。
ところで、活動自粛の効果がそれほど現れているようにもみえませんが、当初恐れられていたニューヨークのような感染爆発は今のところ起きていず、新規感染者も徐々に減少していて(2020/5/16時点)、緊急事態宣言の延長もやむなしと思う一方、ロックダウンもなしでここまで感染拡大を抑え込んだ日本は、外国から「どうして?」と不思議がられるほど、成功しているともいえるかもしれません。
欧米からは、さんざん日本の対応は甘いと批判されていましたが、「おまえが言うか?」という感じですね。やっぱりこの期に及んでも、「欧米は一番」「欧米のやることが世界標準」なのでしょうか。あとで触れますが、もしかしたら、この欧米のメンタリティ自体が、今回のウイルスには「マイナス」に作用しているのかもしれません。
日本での感染拡大が抑えられた理由は、いろいろ説が出されていますが、私はやはり生活習慣とメンタリティではないかなと思っています。
まず物理的に、他人との接触、たとえば、あいさつはお辞儀で、握手やキスはむやみにしない、家に入るときは靴を脱ぐ、すぐマスクを使用する、手洗いうがいはたくさんする、といったところでしょうか。
それとこれはメンタリティなんですが、とにかく、今回のウイルスのやっかいなところは、症状がない人がうつす、潜伏期間が長い、致死率がそれほど高くない、という性質です。
これによって、周りの人すべてが感染者じゃないか、あるいは、自分も感染しているのじゃないか、と疑心暗鬼になり、ボディブローのように徐々に私たちの心にストレスを与え続けます。身体的には弱いウイルスですが、精神的なダメージを与えるウイルスです。
日本人(アジア人)は、どちらかというと村社会で、他人に迷惑をかけてはいかん、といったメンタリティが強く、だから今回のウイルスの性質では、「自分が罹らないようにする」こと以上に、「他人にうつさない」ことが大切で、結果、日本人のメンタリティが功を奏したのではないかと考えています。もちろん、私は素人なので、あくまでも想像の範囲です。
BCG説などもあるし(どこかの国の研究では関連性はないとのことですが)、もともと遺伝子的なものが関係しているのではとか、去年12月にはすでにフランスでかなり感染が拡大していたのではないかということが言われてもいて、日本でも12月には、初期の弱い新型コロナが流行って、あるていどの抗体を持った人がいて、欧米から入って来たウイルスの感染拡大を防いだのではといった説もあります。どれが本当か嘘かは今のところわかりません。
とにかく、第一波はなんとかしのぐことができそうです。でも緊急事態宣言が今月解除され、人々の活動が再開されたら、必ず第2波、第3波がやってくることは覚悟していないといけません。
世界中が収束に向かわないと、コロナ禍の収束はないです。鎖国状態をずっと続けるわけにもいかないし、1国で抑え込めたからOKという話ではありません。ワクチンが開発されるか、確実な治療薬が開発されるかしない限り、収束はないでしょう。
と、いうことは旅することもなかなかしずらい状況は、しばらく続くということになると思います。だから私には「語る」ことが必要なのです。コロナに負けないためにも。
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