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ニラムシを釣りし恋も韮の花

桜が咲くと一斉に他の花々も咲き乱れるが桜ばかり目が行ってしまう。足元をみれば韮の花が咲いていたりする。韮の花はあの韮からこんな可憐な花がと思ってしまう。子供の頃、ニラムシを韮で釣っていたことを思い出してしまう。

ニラムシを釣りし恋も韮の花

そうだ虫といえば昨日図書館で『佐川ちか全集』を借りられた。昆虫という詩や以外に虫の詩が多い。

昆虫
昆虫が電流のやうな速度で繁殖した。
地殻の腫物をなめつくした。

美麗な衣裳を裏返して、都会の夜は女やうに眠った。

私はいま殻を乾す。
鱗のやうな皮膚は金属のやうに冷たいのである。

顔反面を塗りつぶしたこの秘密をたれもしつてはゐいないのだ。

夜は、盗まれた表情を自由に廻転さす痣のある女を有頂天にする。

島田龍編『佐川ちか全集』

図書館で他に借りたのは短歌雑誌と正津勉『川東碧梧桐』。川東碧梧桐は子規門下だが虚子と差がついてしまったよな。本もあまり出てないようで。サブタイトルが「忘れられた俳人」となっているが本当にそう思う。結構いい句があるんだよな。

赤い椿白い椿と落ちにけり  川東碧梧桐

読書は大江健三郎『燃えあがる緑の木』電子書籍はページ数がわからないがまだ一割も読んでない。けっこう長編なのは三冊分だからか。普通の本だったら鈍器本だよな。それでも大江健三郎は同じ話を円環構造のようにしているので読み慣れてくるとそれほど難解でもないのだった。人物再登場という手法、バルザックとかやっていたやつ。人物再登場法でいいみたいだ。フォークナーとか小説の架空の土地に起こる神話的物語なんだけど、大江健三郎の場合四国の森になる。まあ、マジック・リアリズムという手法かな。

丸谷才一『輝く日の宮』は小説内批評というよなメタフィクション。主に『源氏物語』なんだが、その中の物の怪というような霊がテーマ。それは日本に巣食う天皇制だったりするのかな。今日中に読んでしまいたいのだが。

映画は、スピルバーグの自伝映画、『フェイブルマンズ』。複数形なのは「フェイブルマン家」ということなんだろうか?家族映画だった。


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