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読書日記

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2022年12月の記事一覧

意地悪な茂吉短歌

『斎藤茂吉の百首』大島 史洋 (歌人入門)  ふらんす堂の「歌人入門」シリーズは、『石川啄木…

やどかり
1年前
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年末に夏の栞の稲光

『夏の栞―中野重治をおくる』佐多 稲子(講談社文芸文庫) タイトルは俳句的だけど季語がめ…

やどかり
1年前
16

師走にて救世主(メシヤ)を探し吉野家へ

『短歌 2022年9月号』 この号は読みたいたい記事が少ないな。特集が「ほっこりする歌」なんだ…

やどかり
1年前
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文芸誌の短歌特集を読む

『文學界(2022年5月号) (文學界新人賞発表)』 「第127回 文學界新人賞発表 年森瑛(としもり…

やどかり
1年前
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たこ八郎と重ねた中也絶唱

『完本 中也断唱』福島泰樹 「中也断章」のⅠが中原中也の伝記を短歌にしたもので、これが一…

やどかり
1年前
5

こころを鍛えるには内蔵から

『内臓とこころ』三木成夫 この表紙を見たときに『胎児の世界―人類の生命記憶』 (中公新書 )…

やどかり
1年前
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学校一の秀才お嬢さんはいかに漢な男に惚れてしまったか?

『人と作品 与謝野晶子』福田 清人【編】/浜名 弘子【著】 第1編 与謝野晶子の生涯 二部構成で第一編が晶子の伝記、第二編が作品論でわかりやすい。鳳晶子は『みだれ髪』で女性の身体的欲求を感情のままに歌っていた。当時はそれが不道徳なこととされ、バッシングされたのだ。しかし後年は、与謝野晶子がそうした不道徳な女性運動を批判し、女性教育者となり、保守化していく。その思想的流れも汲み取ることが出来る。 なによりも与謝野晶子が与謝野鉄幹を愛していたのは、『明星』廃刊後、鉄幹がダメ

短歌の「カラオケ化」から「AKB化」なのかな、昨今は。

『ねむらない樹vol.4』編集委員:大森静佳、佐藤弓生、染野太朗、千葉聡、寺井龍哉、東直子、…

やどかり
1年前
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まとまらない『失われた時を求めて』の感想。

『失われた時を求めて〈10 第7篇〉見出された時 』マルセル プルースト (翻訳) 井上 究一郎(ち…

やどかり
1年前
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啄木の哀しきユーモア

『石川啄木の百首』小池光 この「~の百首」シリーズ他に寺山修司と斎藤茂吉と森鴎外があった…

やどかり
1年前
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「十二月八日」に読んだことにして

『ぼくらの戦争なんだぜ』高橋源一郎(朝日新書) 第1章 戦争の教科書 (ニッポンの教科書…

やどかり
1年前
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「眠らない樹」とは何か?

『短歌ムック ねむらない樹 vol.5』 特集1短歌における「わたし」とは何か? 最近気になって…

やどかり
1年前

社会詠よりも「啄木ごっこ」

『短歌 2022年7月号』 【緊急企画】戦火を目の前に この月は、ロシアのウクライナ侵攻の歌…

やどかり
1年前
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ことばは生もの

『ことばと国家』田中克彦 (岩波新書) 学校教育の国語は、母語を母国語を矯正するためのものだとか。母語は、子供が母親から自然と覚えることば。そして、それは方言の場合もあれば国語とは別の言語でもあるかもしれない。アイヌ語とか琉球語は国語とは言わない。外国語とも違う。ではなんなのか?方言の一種とされているのか?琉球語(沖縄語)はそうでした。アイヌはまた違うようなのだが。 沖縄では方言を使うと罰札があって、沖縄方言を使った子供はそれをずっと付けていなければならない。外せるのは、他