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読書日記

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記事一覧

たまにはネットの接続も切って、考えろということか?

『動きすぎてはいけない: ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』千葉 雅也【著】 (河出文庫ち 6-…

やどかり
1日前
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『源氏物語』の物の怪は「愛の亡霊」なのか?

『源氏物語論』吉本隆明 『源氏物語』の解説本というよりも吉本隆明が『源氏物語』を通して文…

やどかり
3日前
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吉野は桜ではなく葛の幻影

『吉野葛・蘆刈』谷崎潤一郎 (岩波文庫 ) ある方のレビューを読んで後藤明生『吉野大夫』と書…

やどかり
1か月前
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『源氏物語』の「もののけ」は当然の感情である。

『源氏物語 A・ウェイリー版2』紫式部 ,アーサー・ウェイリー(翻訳),毬矢 まりえ(翻訳),森山恵…

やどかり
7日前
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外部からの批評に短歌はどう答えたか?

『現代短歌史〈2〉―前衛短歌の時代』篠弘 戦後短歌は外部からの批評に晒され、戦後世代が育…

やどかり
7日前
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日本の最果て(境界)の旅、林芙美子、宮沢賢治が見たサハリン。

『サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する』梯 久美子 梯久美子が鉄オタとは知らなかった。特に…

やどかり
10日前
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池澤夏樹の十大世界文学

『世界文学を読むほどく』池澤夏樹 (新潮選書) こういう十大小説という枠はその著者限定のと付くから、それを読めば文学が理解出来たと思わない方がいい。「十大小説」の走りはモームが「世界の十大小説」と世界文学の広告塔として上げたものなのだと思う。今では誰も読まないと思うが(読んでいる人がいたら謝っておく)。 その時代にジョイスは早すぎたし、卓見なのは池澤夏樹が一人も女性作家を入れてないのに二人も入っていた。これは池澤夏樹は反省すべきだな。自分の小説をいれるぐらいなら女性作家の

『石垣りん詩集』を読む

『石垣りん詩集』伊藤比呂美編集 (岩波文庫) 梯久美子『この父ありて 娘たちの歳月』で石垣り…

やどかり
2週間前
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哲学を否定しながら哲学するって?

『日本語は哲学する言語である』小浜逸郎 西欧哲学の二元論はユダヤ・キリスト教が思考がその…

やどかり
2週間前
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4Tという枠の中で

『観賞 女性俳句の世界 第2巻』 サブタイトルに「個性派の登場」とあるのだが、その前の一巻…

やどかり
3週間前
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2024年3月の読書

後半は気候変動が激しく、思うように読書は出来なかった。暇だから読書ぐらいしかやることはな…

やどかり
3週間前
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歌は世につれ、世は歌につれ

『七年の最後』キム ヨンス【著】/橋本 智保【訳】 (韓国文学セレクション) オーウェル的世界…

やどかり
3週間前
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父が偉大なのはそれを伝える娘がいるからか?

『この父ありて 娘たちの歳月』梯久美子 題名に父とだけあるが、その陰には母がいるというエ…

やどかり
4週間前
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ディストピア小説の金字塔

『1984』ジョージ・オーウェル,(翻訳)田内志文 (角川文庫) 最初に読んだのが1983年で本屋に積まれていたことを思い出す。オーウェルは『カタロニア讃歌』とかのようなノンフィクションの方が好きだが、『1984』はけっこう理屈っぽいというか、通常のSF小説のようには楽しめなかった。 それは反政府組織のリーダーであるゴールドスタインの理論書がまるまる引用(これも創作だが思想書を読んでいる感じ)する中で「二重思考」や「ニュースピークス」の言葉の解説がなされる。特に「二重思考