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オランジェットの輝き

「aotenさん実は僕、先々週の土曜日LIFEでお見かけしたんですよ」

仕事でお世話になっている方とランチをしていた時に、突然言われました。

どきりとしました。
とうとう私のLIFEスタイルを見られたのか、と。

私のLIFEスタイルコンセプトは、自分らしく丁寧に暮らす事。手作りハーブティを楽しむとか、ベランダで野菜を育てるとか、テキスタイルで洋服作りなんかも楽しんだり…っていうそのLIFEスタイルではなくて、まぁそのLIFEスタイルだったとしてもそんな暮らしはしてないんですけど。

見られたのは、私が休日LIFEに出没する際のスタイルでした。

洗いざらしのノーワックスファサァヘア
何も施さない天然物のピュアフェイス
袖口が末広がりに変形した縁起物のグレーパーカー
雨の日も風の日も履きこんだマイヴィンテージデニム
ネイビーからグレーへと絶妙に変色したノンウォッシュスニーカー
避難に使えるビッグサイズのブラックリュック


ピーコかドン小西に怒られる。

「それ本当に私でしたか?何着てましたか」

「えーっとね、、、確かグレーのパーカー」

正解やないか。
縁起物のグレーパーカーやぞ。

「リュック背負ってましたか」

「ええ、めっちゃでかいの、ふふ」

笑うな。
そのまま避難できるんやぞ。

「間違いなく私ですね、私、何してましたか」

「いちごにロックオンしてました、声かけようかと思ったんですがロックオンしてらしたのでやめました」

「怖かったんちゃいますか」

「ええ、ぶっちゃけ、何かに取り憑かれた感ありました、ふふ」 

笑うな。
怖かった気持ちわかるぞ。

ロックオン、してた。
確かにしてました。

正確には、いちごコーナーに設置された音声POPから流れる声に、しつこく耳を傾けていました。
ネーブルオレンジをPRする音声が流れていたのです。

いらっしゃいませ
こちらは
アメリカ産の
ジョージさんの
こだわりネーブルオレンジです
マイクおじさんのネーブルオレンジの園地と栽培方法をジョージさんが引き継ぎ美味しさはそのまま甘くて濃いネーブルオレンジになりました

私は混乱していたのです。

結局ネーブルオレンジを作ったのは、ジョージさんなのか、マイクおじさんなのか、まさかアメリカさんなのか、と。

アメリカさんは人じゃない。

私の傾聴力が足りないのだろうか。とにかく、このフレーズを音声のみで理解するためには繰り返し聞く必要があり、さらには目の前にあったのがいちごでしたので、脳の処理が追いつくまでに相当の時間がかかったというわけです。

私は確かその時に、オレンジを使ったお菓子を作りたいと考えていました。

しかし音声が気になり、もっと音声メディアである事を前提に原稿を作ればいいのにと首を斜め45℃に傾けてブツブツと1人ごちながら、フルーツコーナーを後にしたのです。

すっかり忘れていました。

そうだ、ネットで見つけたオランジェットを作りたかったんだ。

オランジェットは、砂糖漬けの柑橘類の皮をチョコレートで包んだフランス生まれの菓子だそうで、それに興味を持っていたのです。

「今日はLIFE行かれる予定はないですか?」
「はい、今日はないです」
「私は行く予定です」

そう宣言して、帰りにLIFEへ行きオレンジを購入しました。

皮を使うので防腐剤を使っていないオレンジにしました。ジョージさんごめんなさい。

とても幸せな色をしている


大量に作っても食べられないので、1個だけ6等分して皮をむきます。
皮を水と一緒に鍋に入れて5分煮込むという作業を4回繰り返したあと、鍋から取り出して5ミリ程度にカットします。

そして鍋に戻し、皮に対して70〜80%程度の砂糖とブランデーを順次加えながら煮込んでいきます。

フツフツと泡が


幸せが煮詰まって泡をふいていますが私はこの日仕事のトラブルで泡をふいていました。
奇遇だね。

この後網に乗せて1日乾燥させるのですが、網がない事に気がつきました。
しかし私は動じません。道具の代替えが得意なのです。

いずれ代替えプランナーとしてお客様のお困りに対応する新規ビジネスを立ち上げたいと考えていますので、まずはお試しでオンラインサロン月額10万円からスタートしたいと思います。


代替え1号「粉ふるい」

80点。アリですね。
細かすぎる網目がむしろやわらかいオレンジの皮を安定して受け止めながら、それでいて通気性抜群です。


しかしこれ1つでは足りませんので、もう1つ用意しました。


代替え2号「持ち手付きザル」


13点。底面積ちっさ。
普段ザルとして使う分には機能している側面部分も、こうなれば全く役に立ちませんし、取っ手もただの邪魔者と言わザルを得ません。ザルだけに。


一晩乾燥させたら、チョコレートでコーティングを施すのですが、チョコレートが思いの外残りわずかでしたので、できる限りとなりました。

チョコかけてもらえた人とそうでない人

そうですね、私がもしこのオランジェットなら、間違いなくチョコをかけてもらえないグループに属するでしょうねと何故か自分の運の無さを嘆いてみたり。

冷蔵庫で冷やすととても艶やかなオランジェットができました。

コンセプトは太陽の輝きと宇宙の漆黒

さわやかなオレンジ色を口に運ぶと、チョコレートのビターな甘さと共にフルーティーな香りが一気に口の中いっぱいに広がって、、、

食感がねちょっとする。
うん、ねちょっとするね。

見た目も香りも味もこんなにさわやかでフルーティーなのに、食感がねっちょねちょ。
ギャップ萌えってこいう時に使う言葉かな?
でも見た目さわやかなのに性格ねちっこい人は嫌やなぁ。何の話。


とにもかくにもビビットに輝くオランジェットはとてつもなく美しく、そして美味しくて、心も身体も元気にしてくれるおやつでした。



#日記   , #エッセイ , #スイーツ , #お菓子づくり , #オレンジ , #オランジェット , #LIFE , #手作り






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