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夜のともだち

眠れない夜はちょっとだけワクワクしてしまう。
時には布団から出て月明かりを頼りにお茶を淹れ、ヘッドホンで音楽を聴いてみたり。
あまりにも眠気が来ない時、たまに散歩に出てみたりもする。人も車も少なくなった町はいつもより空気が美味しい。ポケットに数枚だけ入れてきた小銭が音を立てる。この町の猫がお腹を出してくつろぐ姿はこの時間ならではだ。
いつもより詳細を把握できない暗い町の景色に感覚は鋭くなる。どこからか、風に吹かれた空き缶が転がってきた。乾いた金属音が響く。遠くでサイレンが鳴っている。街路樹の影で真っ暗になった公園で、何かが空へ羽ばたいていく。足元の影はこんなに長かっただろうか。

あれ、いま僕の後ろになにか居なかったか?

鋭くなっているのか、眠れていないため変な興奮状態なのか、夜は時々知らない感覚に繋がる。背筋が凍るような不気味さとかではないが、ちょっと「ちがった」なにかが僕に会いに来たのだろうか。彼らに話せる気の利いた小噺はあるか、なんて考えている僕はどうやら夜に化かされてるようだ。


「夜のともだち」という詩を書いた。

夜ふかしの詩だ。絵本のような優しい世界、ちょっと不思議な生き物に出会う話。怖くないけど不思議ななにかに出会いたくなってしまったのだ。満点の空はまるでおもちゃ箱をひっくり返したようだったから、彼らも遊びに来たのかもしれない。けむくじゃらの怪物やスライムのような生き物、変な生き物から見たら夜に現れた僕こそ変な生き物だろう。
みんな違ってみんな良い、受け取るあなたがそう思える絵になっていたら僕は嬉しい。

また窓に水色が降りてくる。
足音が増える時間だ。目に見えない部分がみんな違う変な生き物たちの行進が始まる。帰り道に買った缶のコーラを一口だけ飲んで横になり、夜ふかしな僕の一日は終わりを迎えた。

目を覚ました時、缶のコーラは空になっていた。
無意識に僕が飲んだのだろう。だがもしかした
ら、夜のともだちがこっそりついてきて飲んでしまったのかもしれない。
もしも後者なら、今度は2本分の小銭を持って散歩に行こう。
ともだちよ、今夜のコーラは一緒にどうだい?

夜のともだち

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