バーチャルギガントサウルスちゃん

バーチャルギガントサウルスちゃん

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電脳灯争戦Ⅲ・ギガントの場合

時はメンバー募集まで遡る…… ギガントは当初、てっきり前回出たチームであるもりいつつで出るものと思っていた。 緑髪限定メンバーとなるとメンツも限られるため、先に押さえておかなければいけないと思っていたのである。 そこに突如熱烈ラブコールを送ってくるドラゴンが居た。 天紅龍さんである。 今回組まれたこの「じょ~くるほ~ぷす・バ美肉たっちおじ」は予想外のメンバーが集ったと思った人が多かったようだ。 しかし実際は、それぞれの配信の中で視聴者参加対戦会をやっており、参加したりされたり

    • 燃えるようなコロナを呑め

      今日も私はコロナを求めて筆を運ぶ。 ひと月に1ダースのコロナだけが投下されるここは、ノーツ。 コロナ無くばジェネレーターは動かず、コロニーは凍えて死ぬ。 コロナを得る資格は、ただテキストの出来だけで判断される。 審判するのは天上の不死者たちだ。 コロナ・エナジィが発見されてすぐ、独占のための戦争が始まった。 不死者たちはその戦争の勝者だ。 エネジィを飲み干し、文字通り不老不死となった「死に難きものども」は今は天上にあり、娯楽として定命者の妄想を集めている。 皮肉な話だ。

      • 傷だらけのリセマラ

        「大丈夫か!?スカー!」治癒術師が傷だらけの傭兵に声をかけた。 彼女の傷は古傷からたった今負った真新しい刀傷まで数え切れない。 「放っといてくれ、リセ」スカーが眉を潜めて言った。 「そりゃあ君の種族の治癒能力は知ってるよ。だからといって、痛みまで無くなりはしないんだろ?」 リセは許可もなしに、刀傷に治癒のルーンを押し当てる。 「……おせっかいめ。こんなことをしてもアタシの報酬を安くしてやったりはしないぞ」 本当のところ、スカーは早く死にたかったのだ。 異世界転生は、最近は流

        • 雀の旅籠

          (前回までのあらすじ) 仕事が続かない男、太助はとうとう人間街道を外れ、あやかしの飯屋に務めることになる。 ところかこれが存外居心地がいい。 雀の妖怪だという女将もよくしてくれ「俺はここでやっていこう」と人に雇われて居たときよりむしろ力を出していた太助だったが、ある日女将が消え、客を捌ききれなくなってしまい、飯屋を逃げ出してしまう。 そこに通りかかった非番の職場の先輩が話を聞いてくれ、飯屋へ来てこう言った。 「すまねえなお客さん、女将さん二度目のおめでたが来ちまった!今日は祝

          アナザーヘイブン

          積雪の上を異形のマシンが這っていた。 スパイクとビスのダンゴムシのような装甲と、ムカデのような機脚を無数に備えた、列車よりも大きく長いマシンだった。 走っていくそれの脇腹が開き、中から三人の人間が降りる。 マシンの装甲と似た分厚い耐環境スーツで、性別は愚か、体格や目鼻立ち、髪や肌の色も分からない。 スーツに『A-2』とプリントされた人間が雪に脚を取られ、無様に転んだ。 「しっかりしろよ、ジグ。新米の前で格好がつかねえヤツ」 無線通信で『BV-1』とプリントされた人間が声を掛

          ハイドパークで二度死ぬ。

          加速されたジョニィの視界の中で、無数の雨粒がゆっくりと光っていた。 ネオンに照らされ、まるでシャンデリラのようだった。 地上344mの高さから、今まさに雨粒より速い速度で落ちていかんとするジョニィの脳神経はスパークを起こし、なんとかこの窮地から逃れようと全力で走った。 しかし、吐き出されるのは「何故こんなことに」という呪詛ばかりだ。 注文に応えるように、ジョニィの記憶は4Dフィルム編集され、28時間前の事の起こりを写し始める。 警官という職業が果たしてこの23世紀に必要なの

          ハイドパークで二度死ぬ。

          True name for a tax

          マスターはグラスを客の前に置いた。 貧相な旅荷の割に高い酒を注文した小柄の女。 こういう奴はトラブルを引き寄せる。 お愛想を浮かべながらも、マスターは客に尋ねた。 「お客さん、支払いは大丈夫なんですか。旅人にツケは効きませんよ」 「ああ……」 女は不揃いな髪の向こうから微笑み、紙とカラスぐち、インク壺を取り出して書き付けた。 書かれたのは、マスターの真の名だ。 真の名による命令文は、力を持つと信じられている。 「魔術師だとは知らなかったんだ!不吉なことは書かんでくれ!」 マ

          Autobiography from Mars

          「何故プロレスが前世紀に潰されたのか?何故俺が、地球宛に名演説をぶってるのか?すべて教えてやる。あんたらが少しずつの寄付をしてくれれば、俺はベビーシッター担当のクソガキと、愛すべきダックスフンドと、このファッキン火星ベースを脱出して、地球で自伝を出版するだろう」 その奇妙なメッセージは突如地球のネットワークに届き、あらゆるデバイスに表示された。 火星に移住した人物など居ない。プロレスは相変わらず人気だし、ダックスフンドは絶滅したはずだ。 チバ市のプロレスラー、サカキはこのメ