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ハルツーム 水とガソリン


 スーダンの首都ハルツームに降り立ち、2日間はこの先1ヶ月に向けた準備期間とした。といっても装備や食糧は、飛行機の預け荷物の重量制限ギリギリまで日本で用意したものを持ってきたので、その他に、飛行機に乗せられなかった水や、調理ストーブ用のガソリン、生鮮食品、予備用のライターなどを買い揃えた。

↑日本から持ち込んだ食糧。この他にナッツやシリアルバー、サプリメントの錠剤を準備した。


 今回の計画では物資は無補給で最後まで行くと決めており、途中の町などにも立ち寄るつもりはなかった。1ヶ月分の食糧と燃料をカヤックに積み込み、毎日川沿いでキャンプ。


 砂漠で生命線となる水は、出発時に12Lほど用意した。8Lのウォーターバッグと1Lのナルゲン、1.5Lのペットボトルを2本。おそらく3日くらいで無くなると予想できたが、携帯浄水器を持ってきていたので、無くなったらフィルターを通してナイル川の水を飲む。

 それなら最初からナイルの水を飲めば良いのでは?と思われるかもしれないが、これはなんとなく気持ち的な問題である。出発地はハルツームという大きな街なので、その分、川に流れ込む生活排水も多い気がしたし、使ったことのない新品の携帯浄水器を100%信用できてはいなかった。

 実際にスーダンへ来てから見たナイルの水は恐ろしく茶色かった。見た瞬間に思った。できれば1日でも長くクリーンな水を飲んでいたい。笑

この酷暑の中で水が無くなれば、否が応でも川の水を飲むしかなくなる。というか自分の性格上、おそらく何の抵抗もなく飲み始める。

 というわけで、気休め程度に12Lの水を持ったのであった。街から数百キロ離れれば多少は川の水も浄化されているであろう。



燃料

 また、調理ストーブ用の燃料は、ガソリンスタンドで入手した。スーダンは南スーダンの独立により多くの油田を失ったそうで、ガソリン不足だという情報を得ていた。街を歩くと確かに閉業しているガソリンスタンドが何軒かあったが、営業しているスタンドもあり、タクシーやトゥクトゥクが行列を作っているのですぐにわかった。

 空のペットボトル2本を手に、なんの乗り物にも乗っていない僕も、タクシーたちに倣ってその行列に並んでみたが、周りの運ちゃんたちが「なんだなんだ?」と楽しそうに話しかけてきて、結局列の1番最初に入れてくれた。
 この旅で出会ったスーダン人は皆、人懐こくて親切であった。


 調理用ストーブは、グリーンランド遠征の時も使ったもので、全幅の信頼を寄せるMSRのドラゴンフライである。マルチフューエルOKではあるが、長期で使う為、メンテナンス面を考えると、ホワイトガソリンなど純度の高い燃料が好ましかった。グリーンランドの時は町にアウトドアツアーを行う旅行会社があったため、そこで譲ってもらえたのだが、さすがにスーダンでは調達できなかった。

↑調理用ストーブ

 列の先頭に入れてもらえたものの、アラビア語しか通じないので、僕のコミュニケーション能力では一体なんのガソリンが売られているのかもわからなかったが、3つグレードがあるうち、とりあえず1番値段が高いやつを3L買った。


その他

 日本から持ってきた食糧は、乾麺、アルファ米、カロリーメイトが主で、飽きないようにそれぞれ味にバリエーションを持たせたものの、野菜や果物などの生鮮食品が欲しくなるのは予想できた。街の露店で売っているフルーツの種類は限られていたが、日持ちしそう+雑に扱っても潰れないオレンジを10個ほど購入。

 あとはパンが驚くほど安かったので、コッペパンサイズのバゲットを朝食用に10本と、そのパン用にヘーゼルナッツペーストも買った。

 この10という数字には特段意味はない。カロリー計算をしたわけでもなく、なんとなく多すぎず少なすぎずの量を買っただけである。

 最後にライター。調理ストーブに火をつける用である。これがなければ、燃料があっても火がつかない。
 飛行機に持ち込めるライターは1人1つまでという謎のルールを知らずに、空港の荷物検査で予備用のライターを取り上げられてしまった。
 日本ならコンビニに行けばライターは手に入るが、スーダンではどこで買えるのだろう、と思いながら歩いていると、路上でタバコを売っている青年がいたので、彼から1つ譲ってもらった。


 こうして必要物資は揃った。明日、出発である。何か準備し忘れている気もしたが、ないものはあるもので補えばいいのだ。




続く

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