小説詩集「二足歩行者と遁走」
二足歩行者は息をきらして、そしてまた何かに怯えてすがる様子でドアから入ってきた。
「助けてください」
僕は事情がのみ込めなくて、
「と言いますと?」
となるべくとげのないように、あるいは不審がっていないように聞いてみた。
「ウサギに追われているのです」
二足歩行者は今入ってきたばかりの入り口を何度も振り返って、何者かが入ってはこないかと心配しているようだった。
「ライオン、のお間違えではないのですか?」
「ウサギです」
「わかりました。とはいっても私は文章の肖像家ですから、ど