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(詩)星が泣く時

星も泣くだろうか
この星の夜がしずかなのは
この星の夜がまっ暗なのは

時としてこの惑星も
ふと銀河系の果てに
ひとりいってみたい、と思う

太陽系の軌道をはずれて
ふと

あまりにこの星の過去が美しすぎて
あるいはこの星の現在いまが常にかなしすぎて

ねえ
この、宇宙の、大宇宙の
どこをさがしても
きっと恋の存在する星は

あなた、しかいない
そんな気がしませんか?

そしてそれは
とても素敵な、ことだと思いませんか?

地球という名前は
誰がつけたのでしょう

わたしならもっと
別の名前にしたよ
きっともっと
あなたが喜んでくれそうな

恋する星とか
生命いのちの星とか
ねえ、

星も泣くだろうか
この星も泣くでしょうか

この星の夜がしずかなのは
この星の夜がまっ暗なのは

人は単純な生きものだから
この星の涙といえば
雨だとか雪だとか
海鳴りだとか、想像するけれど


星が泣く時
この星が泣く時は
人知れず夜明けの空の薄明かりの下

まだ寝静まったぼくたちの街を包み込む
あの透明な青さ、だけが

この星の涙なんだよ

生命いのちの涙がどんな生命いのちであっても
涙が美しいことにかわりはないように

この星が泣く時
この星のすすり泣きは
夜のしずかな暗闇の中で
わたしたちが眠っているすきに

こっそりと泣いている

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