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(詩)ダンボールの野良猫

木枯らしのダンボールにうずくまり
野良猫が眠っているのを

誰も気付かない
ただ空地にダンボールがひとつ
転がっていると思うだけ

この星空と凍りつく冬の荒野で
ダンボールの野良猫が見ている夢は

いつかわたしも見た覚えがある
待ち遠しい春のにおいのする夢
まだ土の中で眠る草の芽が見ている夢
海にとけた雪のかけらが
ゆらゆら波をただよいながら
また空に帰る日を夢見ている
そんな夢とおんなじ

寒さに目を覚ました野良猫の
夜更けのダンボールにしみついた
涙のにおいを誰も知らない

ダンボールにしみついた
夢のかけらを
誰も分かち合いはしない

夜が明けたら
また生きてゆくための
戦いがはじまる
ダンボールの野良猫

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