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私の膠原病 自己モニタリングが必要な理由②「ステロイドの副作用」

ステロイドの副作用

私が自分の体をモニターし、変化に早く気づく必要があるもう一つの理由は、ステロイドの副作用です。ステロイドの副作用は一般的にもよく言われ、ステロイドが忌み嫌われる理由もここにあります。

一方で、症状が活発な状況では、病気の趨勢を抑える治療方法が他にないため、ステロイドに頼らざるをえません。
私にとっては、ステロイドこそが私の命と体を救った薬だと、今でも思っています。あの時、ステロイドにすがるしかありませんでした。だから、副作用もやむを得ないと思いましたし、結果として副作用以上の効果があったと考えています。

1.ステロイドの副作用の種類


約十年前、膠原病を初めて発症し退院した後、本を読みステロイドについて学習しました。
その時に、注意すべき大きな副作用は5つあると私はとらえました。
①高脂血症、②糖尿、③胃潰瘍、④うつ、⑤骨粗鬆症です。
私はこれらを5本の柱と呼んでいます。
このほか、ムーンフェイスや野牛肩等もありましたが、外見に関するものは外見以外の害が特にないため、私はあまり気にしませんでした。

この他の変化として「食欲亢進」等が挙がっていました。これは私にも自覚がありました。体感は、「疲労感が強くなるために、無意識に糖質を摂る」という感じに近いものでした。

2.副作用 私の場合

実際に、私にも副作用はありました。

①     高脂血症
退院後数カ月経ってから、リハビリと体重を増やさない(食欲亢進は抑えられないため、運動でカロリー消費する)ために、毎日プールに通っていました。一時期は約1時間かけて2キロを泳いた後に入念にストレッチをしていました。同じ体重を維持し続け体脂肪率が7%になったことがありましたが、その時に血液検査で「高脂血症」を言われました。食事と運動に、これ以上ない程に注意していましたので、予想していなかった結果でした。
ドクターはこれを「ステロイドの副作用」と診断し、抑制のためにクレストールが処方され、現在まで服用が続いています。心筋梗塞の入院時に、ロスバスタチンに変わりましたが、作用は同じです。
 
②     胃潰瘍
胃潰瘍ではありませんが、胃の膨満感(胃酸過多)と胃のムカムカした感じがあるため、胃液の分泌を抑える薬が長い間処方されてきました。ステロイドが「胃粘膜を荒らす」と一般的に言われており(今はこの傾向は言われなくなったそうです)、また下記の骨粗鬆症薬も同様に胃に良くないと言われていました。この頃から、「服薬とその副作用の予防薬を更に飲む」という連鎖のような印象を持ち始めました。
もしかすると、次は長期服薬による腎機能の低下ではないか、とも思っているのです。
胃の薬は、心筋梗塞の入院時からタケキャブに変更になり、引き続き服用しています。
 
③     うつ
入院中のステロイドパルス療法中にもありましたが、退院直後が顕著でした。朝起きてから、動く意欲さえ出ない時期が2週間くらい続きました。また、日内変動もありました。道を歩いていて、まったく理由なく突然気分が落ち込み、涙が出ることもありました。
振り返って俯瞰してみると、退院後1~3年目までは、「下がったメンタルをどう上げるか」が一番のテーマだったのだと思います。別のブログに掲載している退院後の日記を読むと、気分のアップダウンの様子がよくわります。
様々な試行錯誤の結果、効果を体感できたのは有酸素運動でした。そのため水泳や歩行を始めて、十年経った今も続けています。その他の方法としては、調理などが良かったです。
 
④     骨粗しょう症
発症から6~7年経た頃に、骨粗しょう症の可能性が気になったために、自分からドクターに検査を申し出ました。「骨年齢が実年齢より十歳くらい高いため骨粗鬆症予防が必要」と言われ、ボナロンが処方さました。その後週1回の服薬で胃がムカムカするとドクターに話し、月1回のボノデオに変更になりました。十年を経て、再び自分から申し出て骨密度検査をしたところ正常値になっており、ボノデオの服用は終わりになりました。

3.症状の再燃および副作用の起きる確率

退院後の学習で読んだ本によれば、「膠原病の再燃」と、「ステロイドの副作用」それぞれの発生確率は、合計が200%を超えていました。つまりは、必ず副作用が、それも複数出るということを示していました。

かつて読んだ本では、副作用は「起きることがある」と書かれていましたが、今回の本には、「必然」と「避けられるように対応するもの」に分けて書かれており、「起きるもの」という認識のようです。
病人は、発症時の辛い時期を知っているため、どうしても希望的観測で考えがちになります。副作用を「軽いもの」と考えがちになるのだと思います。

このように、副作用が「必ず」あるため、常に体の変化に敏感である必要があるのでしょう。体に何かの異変があった場合には、膠原病症状の再燃や副作用の可能性をまず疑うようにした方が良いのだと思います。

 

4.ステロイド減薬と再燃

副作用が懸念されるとのことで、退院から2年くらいかけて、医師の処方で減薬を行いました。ステロイドの減薬は、服薬により体内でステロイドが自己生成されなくなっているため、体の機能を回復を促しながら年に数mg単位で慎重に行われます。

2年以上かけて当初の20mgから減薬していきましたが、プレドニン5mgを切ったタイミングで視覚障害を発症しました。視覚障害は一年間に3回に起きました。ステロイドパルス療法で一時症状を回復しつつ、合計で6か月間近く、左右の視野が完全に交錯した状態で過ごしました。
その際の生活への影響があまりにも大きかったため、ステロイド量は10mgに戻され、以後は5年以上減薬を避けてきました。
再度減薬を開始したのは5年を経た後で、約1年に1mgずつ減薬し、現在は3mgになっています。

医師は、ステロイドについては、可能なら減薬をしようとする傾向があるようでした。一般的にはプレドニンでは5mg以下で副作用が少なくなると言われているため、この数値が目標となります(最近では3~4mgという説もあります)。最初の主治医は、プレドニンの減薬を急ぎ過ぎる傾向があったように感じます。
減薬の必要性はわかるのですが、再燃時の生活への影響が大きすぎて、医師の勧めを断った期間が数年間ありました。私の最初の再燃は視覚でしたが、症状がどこに出るのかがまったくわからなかったのが一番怖くて、減薬を躊躇していました。
仕事や、育児等、個々の生活事情により再燃を避けたい時期があり、減薬を迷うことと思います。

5.副作用から更に起きる別の病気

目に見える副作用は血液値の異常ですが、身体症状があるわけではないため、簡単に考えてしまいがちです。

例えば主な副作用として高脂血症があります。これは、心筋梗塞や脳梗塞の原因に、容易になり得ます。薬で血液値をコントロールできてはいましたが、それでも私は心筋梗塞を発症しました。
このような、更に発症する可能性がある病気について、医師からの説明は、(入院中も退院後も)まったくありませんでした。血液値が悪化した場合には、薬を処方されるか、「ステロイドは副作用がありますからね」と言われるにすぎませんでした。

医師の傾向としてしばしば感じたのは、発症した病気への関心とくらべて、再燃予防への関心がほとんどないことでした。また、これまでの減薬は、ほとんど患者である私の申し出によって行われてきました。一度処方された薬は、必要性の見直しがされない傾向がありました。

心筋梗塞を発症し、改めて順を追って考え思い至ったのは、今からでもステロイドの減薬をした方が良いのではないか、ということでした。

6.これからの生活

心筋梗塞を経て、命の危険に至る副作用があることがわかりました。
減薬を躊躇する理由のひとつだった仕事では、もうある程度やりたいことができたと思います。

今、自分の残された時間と予後の見通しの中で、悔いのないように何をするかを改めて考える時期なのだと思います。

その時間を長いものとするためにも、起き得ることを正しく理解し、医師に頼らない自己モニタリングを続ける必要があることがわかりました。

見ないようにするのではなく、見つめる姿勢が必要なのだと思います。

(おわり)

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文・写真Ⓒ2020 青海 陽


読んでいただき、ありがとうございます!☺ かつての私のように途方に暮れている難病や心筋梗塞の人の道しるべになればと、書き始めました。 始めたら、闘病記のほかにも書きたいことがたくさん生まれてきました。 「マガジン」から入ると、テーマ別に読めます(ぜんぶ無料です)🍀