オンライン授業を阻む要因と解決策

昨日に引き続きで、オンライン授業について考えていきます。今日は「Barriers and solutions to online learning in medical education – an integrative review」(O'Doney et al., 2018)という論文を取り上げます。

https://www.researchgate.net/publication/331207155_Barriers_and_solutions_to_online_learning_in_medical_education_-_An_integrative_review

この論文では、医学教育でのオンライン学習を阻む要因とその解決策について書かれています。この研究は、複数の研究成果を統合し、ひとつの結果を導く方法であるレビュー(Review)という方法が用いられています。

複数の電子検索データベースから2006年~2016年までの期間に出版された2,210編の論文が収集されました。そのうち、医学教育者のオンライン授業での経験について述べられている、医学教育者のデジタルリテラシースキルの向上に関連した介入を具体的に説明した研究、オンライン学習への参加・コンテンツの開発・高等教育機関での実施された介入に焦点を当てた研究の10編が今回のレビューの対象となっています。これらの論文内にある情報について研究チームがカテゴリー分けをおこない、以下の要因がオンライン授業を阻む要因であること、そしてその解決策が浮かび上がってきました。→以降は私の簡単な感想です。

①スキル 教育者がオンライン授業を開発あるいは実践する際に、技術的なスキルが不足していることが障壁となる。この解決策は、実際に取り組んで覚えることである。

→ そりゃそうだって感じですね笑。技術面がついてこないと円滑に授業実施できないので、スムーズに実施するのに何回も練習してみるのが良さそうですね。 

②時間 忙しくて時間がないことが障壁となる。時間がないために、スキルを磨く時間がなく、実装する時間が取れない。解決策としては、オンライン学習を行うことで将来的には時間を削減できることを考える、実装のための時間を組織が作ることである。

→ これもそらそうだって感じですねー。時間あればいくらでもやるよ、って思っちゃいますもんね。。一度システムを整えたら将来的な時間が削減されるっていう考えには賛成です。

③インフラ 低中所得国では、電子メールなどの技術不足やインターネットアクセスなどの質の低さが問題となる場合がある。オンライン教育を行うことで、従来の対面式教育よりもコストベネフィットが良いという研究結果もあるため、インフラを構築するコストと将来的なコストを合わせて検討する必要がある。

→これも今の日本や諸外国でも同じような状況になってますね。各家庭でネットインフラが整っていればいいですが、そうではない場合に整っていない家庭の方に教育格差が生じてしまう。少なくともPCとネット環境は学習者に整えることができるようなシステムが重要になってきますね。

④コミュニケーションの弱さ  組織による制度的なサポートがない場合である。例えば、組織内の構造が構築されていなかったり、部門間のコミュニケーションが不足していることが含まれる。すべての関係者をプロジェクトに含め、資格のある専任の人材を確保し、財政源を配分し、すべての関係者のニーズに応じた支援を行うことが必要である。

→これも難しい問題ですね。組織が同じ方向を向いて動けたら一番いいですが、色々とみなさんなりに考え方がありますからね。

⑤態度 新しい技術やツールを利用する際の教育者の否定的な態度が障壁となります。例えば、新しいツールを使用するプロセス全体に圧倒され、技術的問題を使いこなせないという態度が出てきます。解決策としては、前向きな姿勢やポジティブな態度を維持することが大事です。これらの新しいツールを使用することは、実際には全体的にポジティブな経験を生み出し、先入観を打ち破ることにもなるかもしれません。
→認知変容が重要になってくるのでしょうが、どうやって認知変容をもたらすかが重要ですね。わたしならあまりごり押しせずに、ちょっとずつ認知変容を促していくかなあ。

まとめ 

今日もオンライン授業の論文の紹介でした。先行研究を読んでいると、意外とそんなにたくさん研究されているわけではないのかなあと思ったり。オンライン授業の効果を検証した研究もいくつか見つけたので、順次情報共有出来たらなあと思っています。では!

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