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心理学者が考える「心理学のスキル」ー論文紹介ー

福島県の医学部で学生教育をしながら、心理カウンセラーをしたり、研究をしたり、YouTubeの運営をしたりしてるあおきしゅんたろうです。

心理学についてのイメージは?と聞かれたときに、マインドリーディング(読心術)やカウンセリング(臨床心理学)、深層心理の理解、そして心理テストといったものが頭に浮かんでくると思います。

一方、専門的な心理学者たちは、心理学はどのようなものであると考えているのでしょうか?

本日はそんな疑問に答えた以下の論文を紹介いたします。

A Revised Definition of Psychological Literacy: Multiple Stakeholder Perspectives

高等教育の心理学者 18 名 (オーストラリア、米国、英国) が心理学に必要なスキルについての認識と実践を調査しました。

調査の結果、心理学者は、心理学部生が卒業するまでの間に以下のような能力が必要であると考えていることがわかりました。

科学的研究方法 17
批判的思考 16
心理学的知識の応用 15
コミュニケーションスキル:筆記 15
データ収集と統計分析 13
心理学の知識 12
対人スキル 10
コミュニケーションスキル:口頭 9
倫理 8
コミュニケーションスキル:一般 7
エビデンスに基づく実践 7
問題解決 7
省察(リフレクション) 7
異文化理解 6
文献調査 6

具体的に心理学のイメージとしては、コミュニケーションスキルはイメージがあるかと思いますが、それ以外はイメージがないものが並んでいるかもしれません。

それこそ深層心理の理解やカウンセリング力なんかは具体的な項目としては出てきていないのが特徴的だなと思います。

他方で、「科学的研究方法、データ収集と統計分析、エビデンスに基づく実践といった客観的に物事を理解する姿勢や、批判的思考、問題解決、省察といった論理的に物事や自己を理解する態度が必要」とされていることがわかります。

心理学リテラシーとも言いますが、皆さんのイメージと実際の心理学はちょっとちがうということがわかっていただけたかなと思います。これからも、正確な心理学をお届けできるように頑張りたいと思います!

心理学おたくチャンネルでは心理学の誤解についてのお話をしています。もしよろしければあわせてご覧ください(チャンネル登録ぜひお願いします!)。

それでは、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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