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「お祭」や「大きな楽しみ」など区切りがないとこころがしんどくなる

パンデミックになり、生活の多くに変化が起こりました。

特に、ひととひとが集まるイベントやセレモニーはことごとく中止や延期になっています。

それでもいいっていう人もいると思いますが、イベントやセレモニーがメンタルヘルスに大きく影響していることも考えられます。

今回の記事では、私見ではありますが、「イベントやセレモニーとメンタルヘルスがどう関係しているのか?」について考えてみたいと思います。

区切り効果

何か大きな仕事を成し遂げたときや頑張ったなあと思えることがあったとき、どんな過ごし方をしていますか?

仲間同士でお祝いをしたり、労をねぎらったりということはありませんでしたか?

そうなんです。人と人が集まるイベントには、「区切りをつけて、次に進む」という効果があったと考えられます。

飲み会をして、お互いに労をねぎらうことで、がんばったことを語り合ったり、うまくいかなかったことを消化する機会になっていたのだと思います。

この区切りをなしに次に進む場合だと、「頑張り続けなければいけない」現象が起こります。おそらくですが、ずっと頑張り続けることはこころにかなり大きい負荷をかけているのではないかと思います。

さらに大きめな区切り:セレモニー

セレモニーには、たとえば、結婚式とかお葬式なんかがあります。

結婚式であれば、いままでのじぶんの生活から新しい生活に入るための切り替えの意味があるでしょう。

そして、新しい人間関係をそこで再構築したりもします。そういった切り替えがないとなると、新しい生活への気持ちの切り替えが難しかったりするでしょう。

切り替えがないことによって、こころに何らかの負荷がかかることもあるかもしれません。

特に、お葬式など、近しい人がいなくなったことを実感したり、気持ちを整理したりする時間はだいじです。

お葬式だけではなく、なにかを失ったときには悲しみが生じますが、その悲しみを十分にかみしめることなく過ごすと、こころのバランスが保てなくなることがあります。

喪失体験はしっかりと体験しないと先に進もうとするときの引っかかりになることが十分に考えられます。そういう意味で、セレモニーは大切な時間と考えられます。

学校の卒業式や入学式も同じような効果があると思います。友達に別れを告げて、新しい生活に入る。このときに、区切りとなるセレモニーがないと、やはりこころに引っ掛かりが残るのではないかと考えられます。

祭りやイベントなど楽しみがあるから頑張れる

お祭りやお祝い事は、世界各地で行われてきました。ハレとケという考え方があって、ハレ=お祝い事(非日常)、ケ=普段の生活、なのですが、普段の生活を過ごすうえでもハレが大事という考えのあらわれです。

祝祭事は、その祭りに向けて、普段の生活を頑張ろうという意味があります。楽しみがあるから頑張れるということです。

今現在はパンデミック関係なしに少なくなっていますが、社員旅行や忘年会などがハレにあたるとおもいます。

フェスに行くから毎日の仕事を頑張れる!とか、友達と旅行に行くのを楽しみに頑張ろう!とか、非日常体験は普段の生活のモチベーションになります。

非日常体験がないとどうなるでしょうか?

毎日毎日仕事をし続けないといけない、この生活はいつまで続くんだろう…というように、ここまで持ちこたえたら何とかなるという期限がなくなるのですね。

コントロール不能性はうつの原因になります。ここまで何とか耐えたらというラインがないことが、コントロール不能性につながるわけです。

頑張り続けるということは一部のひとを除いてはなかなか難しいことです。どこかで負荷がかかって、緊張が切れた瞬間に燃え尽きるなんてこともあるかもしれません。

日常だって切り替え大事ですよ

仕事ー日常生活の切り替えでも、非日常がはいるかはいらないかでけっこう気持ちの切り替えに影響するのではないかと思います。

これは人によると思いますが、私の場合だと、居酒屋とかバーとかに行って、普段と違う環境にいることがけっこうなリフレッシュになります。

テイクアウトのご飯ももちろんいいですが、環境が違うということ自体が非日常体験をするうえで大事なのではないかと思います。

ショッピングとかもそうですよね。とにかく、少し違う環境に身を置くことが気持ちの切り替えにつながることもあるかなあと思います。

ということでつらつらと書いてきましたが、パンデミックでセレモニーや祝祭事・イベントが制限されることは、こころにも負荷をかけているのではないかと思います。

特に、子どもたちにとって、気持ちが揺れ動きやすい時期に、区切りをつけさせてあげられないということは、こころの成長にとってもけっこう大きいのではないかなと思います。

現場では、本当にいろいろな工夫をされて、制限される中でも少しでもプラスの経験をできるような試みがたくさんされていて、そういった工夫をし続ける方々には頭が上がりません。ありがとうございます。

ここから先は本当に政策レベルの話で、パンデミックの対応とのバランスをとりながらですが、祝祭事やセレモニーがあまりに制限され過ぎないような世の中であってほしいなあと思います。

最後までお付き合いいただいて、ありがとうございました。

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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