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教えられるよりも仲間同士で意見を出し合ったほうが勉強になるー協働学習ー

誰かに教えてもらう、独学など学習方法っていろいろありますよね。最近だとアクティブ・ラーニングという学習方法を耳にすることが多くなりました。教えられる学習方法ではなく、じぶんで考える学習方法のことを言います。

https://www.researchgate.net/publication/220040324_Cooperative_learning_methods_A_meta-analysis

一方、ひとりで勉強するだけではなく、誰かと勉強する方法もあります。学生時代だれかといっしょに勉強したり、ディスカッションすることで、効率的に勉強できた経験ってありませんか?

教育用語では「協働学習」といいます。英語では、Cooperative learningですね。辞書的定義では、「共通の学習目標を達成するために協力して取り組むこと」といえます。

正式なやり方はいろいろとあるのですが、ここでは割愛します(英語のwikipediaに詳しく書いてあります)。今回は、「なぜ仲間と一緒に勉強することが良いのか?」について考えてみたいと思います。

協働学習の効果

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まず、協働学習が、個人の学習よりも効果的である可能性について述べたいと思います。

ジョンソンとジョンソン (2000) では、さまざまな研究成果の効果をまとめたメタアナリシスという手法を使って、協働学習の効果を調べました。

そうしたところ、ひとりで勉強する場合よりも、協働学習を行うほうが、学業パフォーマンスが高くなることがわかりました(例えば、試験や成績など)。

またロゼスら(2008)の研究では、個人的な目標を立てるよりも、協働的な学習目標を立てたほうが、目標の達成度が高く、良い仲間関係を作れることを示しています。

良い学びをするためにも、目標達成をするためにも、仲間と取り組んだほうが良いということがいえるかもしれません(個人で取り組んだほうがパフォーマンスが高い人ももちろんいると思います)。

なぜ仲間と一緒に勉強したほうがいい?

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では、協働学習はなぜ効果的な学習方法なのでしょうか?ここでもでてきますジョンソンとジョンソン (2009) です。協働学習の効果がなぜ起こるのか?について5つの要因を示しています。

1.積極的な相互依存

協働学習ではグループに参加して、努力をしなければいけません。各メンバーにはタスクや役割、責任があるので、自分だけではなくグループの学習に対して責任を負うことになります。そのため学習が進むと考えられています。

2.促進的な相互作用

グループメンバーで、自分が学んだことや学んでいることをお互いに説明したり、課題を理解したり、終えることができるようにお互いに助け合います。説明をすることで知識が定着するといわれますので、教えることもじぶんの学習にも良い影響を及ぼします。

双方向的なフィードバックの効果も有効なようですね。

3.個人とグループの説明責任

1.とも近い部分がありますが、自分の学習をすることがグループに与える影響について自覚し責任を持つことで、さぼらないように設計されています。

4.ソーシャルスキル

協調学習のためには、社会的スキルが必要です。対人関係、グループスキル、リーダーシップ、意思決定、信頼関係の構築、友情の構築、コミュニケーション、いざこざのマネジメントスキルなどが必要です。

5.グループプロセシング

(a)どのメンバーの行動が役に立ったかを振り返り、(b)どの行動を継続または変えるかを決定する際に行われるそうです。この目的は、グループの目標を達成するために必要なプロセスを実行するメンバーの効果を明確にし、改善することであるそうです。

じぶんで何をすべきかを明確にして、目標の達成のために、自分自身がグループに責任を持つことが重要ということでしょうか。

まとめ

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もはや会社や学校なんかでは、協働学習は普通に行われていることなので、組織管理上は重要なことのように思います。ただし、なぜ協働学習を行うのか?について考えながら作業を行うことで、より効率的に作業をすることができると考えられます。

グループに対しての責任を持ち、自ら努力しようと考えることが学びの意欲につながり、そしてお互いに助け合うことで、目標達成を効率的に行っているものと考えられます。

長くなりましたので本日はこの辺で。協働学習についての私自身の考えについてはまたの機会に述べさせてください。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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